541 / 586
あの人は今
駄目人間だもの ~ルージュ視点~
しおりを挟む
陛下の言葉に項垂れて、カールの言葉にまた項垂れる男を見て思った。
そして思った事を言った。
「はは、シュタインって最低だね」
実家に戻れないからって、いつまでもドグサレ野郎と結婚してた僕はもう悟ったんだ。
我慢して良いことなんか何にもない。
言いたい事は言ったほうがいい。
察して貰えるまで待つなんて馬鹿馬鹿しい。
そしたらシュタインが咎めるみたいに僕を呼ぶ。
「……っ、ルージュさん」
牢屋の中でずっと過去を反省してたシュタイン。
馬鹿だなぁ。
かっこつけてるからそうなるんだよ。
「最初から言えば良かったんだよ。
気持ちよくしてやるから抱かせろ、って。
最悪のセックスは最高のセックスでしか癒せない、僕はそう思うけどね」
「ルージュ様…いやに実感こもってません?」
ルース君が僕に聞く。
こういう直截さが大事だと思うんだよね。
いかに遠回しに嫌味を言うかなんてくそくらえだ。
「う~ん、実体験?」
「経験者が語りすぎる!」
はは、変な言い回し…
なるほど、この重い空気をちょっと軽くしようって事ね、何となく分かった。
「でも最高のセックスってなんだろうね?
結構深い問題だと思うんだ。
だから、そういう問題に真摯に取り組んでいるトリエステさんと、一緒に働きたいなって」
「えっ、陛下の命令じゃなくて?」
「最初はそうだったけど、打ち合わせで話してるうちに自分からそう思うようになったんだ!
この歳でもやりたい事ができるなんて嬉しいね。
ところで、トリエステさんって恋人いる?」
「いやぁ…どうでしたっけね」
「今度執事のリチャードに聞いといてよ」
「下手すりゃ彼氏がリチャードですけどね」
「えー、そうだったら困るな…なーんてね!
まあ、恋人がいてもいなくてもいいんだ。
カール殿の言う通りだよ、恋が出来るって、それだけで素敵なことだもん!
セックスは…まあ、オマケみたいなもんかな?」
「オマケってアナタ」
「だって、あってもなくても恋には関係ないもん」
……可愛そうだから、シュタインの為に最後のセックスを笑って流せるようにしてあげる。
だって、日付が決まってない話は社交辞令、という前提でこの場は回ってるんだ。
ということは、カールの「最後にセックスしよう」って誘いは社交辞令ってこと……
つまり、痛烈な皮肉だ。
かなり貴族的で、恐ろしいお誘い。
笑って断れたら…
最高にカッコつけて終われる。
ただし本気にしてコトに及ぶなら……
さて、どうなるかねぇ。
そして思った事を言った。
「はは、シュタインって最低だね」
実家に戻れないからって、いつまでもドグサレ野郎と結婚してた僕はもう悟ったんだ。
我慢して良いことなんか何にもない。
言いたい事は言ったほうがいい。
察して貰えるまで待つなんて馬鹿馬鹿しい。
そしたらシュタインが咎めるみたいに僕を呼ぶ。
「……っ、ルージュさん」
牢屋の中でずっと過去を反省してたシュタイン。
馬鹿だなぁ。
かっこつけてるからそうなるんだよ。
「最初から言えば良かったんだよ。
気持ちよくしてやるから抱かせろ、って。
最悪のセックスは最高のセックスでしか癒せない、僕はそう思うけどね」
「ルージュ様…いやに実感こもってません?」
ルース君が僕に聞く。
こういう直截さが大事だと思うんだよね。
いかに遠回しに嫌味を言うかなんてくそくらえだ。
「う~ん、実体験?」
「経験者が語りすぎる!」
はは、変な言い回し…
なるほど、この重い空気をちょっと軽くしようって事ね、何となく分かった。
「でも最高のセックスってなんだろうね?
結構深い問題だと思うんだ。
だから、そういう問題に真摯に取り組んでいるトリエステさんと、一緒に働きたいなって」
「えっ、陛下の命令じゃなくて?」
「最初はそうだったけど、打ち合わせで話してるうちに自分からそう思うようになったんだ!
この歳でもやりたい事ができるなんて嬉しいね。
ところで、トリエステさんって恋人いる?」
「いやぁ…どうでしたっけね」
「今度執事のリチャードに聞いといてよ」
「下手すりゃ彼氏がリチャードですけどね」
「えー、そうだったら困るな…なーんてね!
まあ、恋人がいてもいなくてもいいんだ。
カール殿の言う通りだよ、恋が出来るって、それだけで素敵なことだもん!
セックスは…まあ、オマケみたいなもんかな?」
「オマケってアナタ」
「だって、あってもなくても恋には関係ないもん」
……可愛そうだから、シュタインの為に最後のセックスを笑って流せるようにしてあげる。
だって、日付が決まってない話は社交辞令、という前提でこの場は回ってるんだ。
ということは、カールの「最後にセックスしよう」って誘いは社交辞令ってこと……
つまり、痛烈な皮肉だ。
かなり貴族的で、恐ろしいお誘い。
笑って断れたら…
最高にカッコつけて終われる。
ただし本気にしてコトに及ぶなら……
さて、どうなるかねぇ。
15
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる