443 / 586
学園6年目
踊る4侯爵
しおりを挟む
あの後、俺とお医者様とで出来る限り分娩室の用意を整え、
ベルガモット教授の体調管理を後宮のお医者様と執事リチャードに託し、
毎週末には見舞いに来ると約束し、
殿下と一緒に学園へ舞い戻った。
そこからベルガモット教授は急病で緊急入院、いつ出られるか分からないという設定で学園に話を通し、産休育休休暇と同じだけの休みをもぎ取った。
だが問題は残された水・風・雷・光の4侯爵。
当然のことながらベルガモット教授が心配だし、どうにかしてお見舞いに行きたいし、何なら全てを投げ出して看病しに走りたいわけで…
現在、俺は研究室で朝から4人の突撃を喰らった後、そこそこの圧の尋問を受けている。
「ね~ぇ、ルースくぅん?
セドに何があったのか、教えてくれるよねぇ?」
「はあ、何のことでしょう」
「ふうん、しらばっくれるつもりだ…だけどね?
分かってるんだよ、キミがぜ~~んぶ裏で糸を引いてるコ・ト」
「良いのかなあそういう態度で?死ぬ手前まで切り刻んであげようか?」
「そうは申されましても、何のことだか?」
すると、雷のボロニア教授がとんでもない事を言い始める。
「…そういえば、サンダーアームで動物が考えている事が分かるんだっけ?
人間だとどうなるのかなあ」
「や…やだなあ、物騒ですよボロニア教授」
バチバチ…と、どう見ても「ちょっと」ではない電圧を放つボロニア教授。
ジト…と俺の事を囲む8つの目。
俺は必死で言う。
「と、とにかく、俺は何も知りませんってば!」
「ふぅううん…おいキュー、そいつを拘束しろ」
「おう」
風のオレガノ教授が俺の襟足をぐっと握って持ち上げた。
簡単にぷらーんとなる俺。
「ぐっ、ぐるじいっ…」
そんな俺に、水のフェンネル教授が素敵な笑顔を極限まで近づけて言う。
「僕、良いことを考えたよ。
ルースを人質にして、直接殿下に聞けばいい」
「ちょ、やめて!事によっちゃ謀反に…!!」
その言葉に笑顔で答える光のヒソップ教授。
「なあに、国よりセドだよ、ルース君」
「ぬああああ!?」
まさか、ベルガモット教授は傾国キャラ!?
「じゃあ、僕ら殿下を探して来るね。
あとはヨロシク、キュー」
「ああ、早いとこ頼む」
「あ、ちょっと!やめて!!待って!?」
俺をぶら下げたオレガノ教授を残して全員が部屋を出て行く。
「…まあ、椅子にでも座って待ってろ。
それとも縛り上げた方が雰囲気が出るか?」
「いえけっこうです!!」
全力拒否する俺。
怯える俺にオレガノ教授が言う。
「何で喋らないんだ、お前ら」
「…お前『ら』?」
「火の侯爵殿も脅したが駄目でな」
「何しとんですかあんたら!!」
うっかり学園が火の海になるやろがい!!
***
暫くして殿下が出て行った3人と一緒にやってきた。
「はあ…本当にもう、何をしているかと思えば」
「だって教えてくれないんですもん」
「可愛い側室が聞いてるんじゃないですか」
風と水の教授がそう言うと、殿下が切り返した。
「ベルガモットも可愛い側室の一人だが?」
やめて火に油だから!!
「…へえ」
「ふーん…」
一触即発の雰囲気を醸し出す4人。
殿下はその雰囲気をため息一つで躱して言う。
「まあいい、こういう事は予想していた。
ベルガモットには、必要ならお前たちだけには話す事になる、と先に言ってある。
但し、今から俺のいう事を守れればの話だ」
「「「「はっ!必ず守ります!!」」」」
本当にもう…調子が良いんだから!!
でも殿下は大まじめな顔で言った。
「では今から話をするが…その前にこれにサインを」
…殿下が取り出したのは一枚の誓約書だった。
そこにはこう書かれていた。
・この件について一切口外しない事
・この件がばれるような行為・行動は慎む事
・教授としての職務を全うすること
・見舞いは1回につき1人とする
・物を送るのは避ける事、手紙も同様とする
全員がそれを読んで、しっかりとサインをした。
それを見届けてから殿下は言った。
「ベルガモットは今、ユーフォルビアの屋敷に匿われている。
腹の中に、子どもがいるそうだ。
だが誰の子かは、分からん」
殿下はそこで言葉を切って、溜める。
4人に沈黙と緊張が走る。
何故か全員俺を睨む…なんで殿下まで!?
殿下が続きを告げる。
「……お前たち4人の中の誰かではあるがな」
4人が息を飲む…
そして、
「いぃいやったあーー!!さすがセド!」
「本当ですか!すごい!」
「名前どうする、誰がつける!?」
「奇跡だ~!奇跡が起きたんだ!!」
「「ひゃっほー!」」「「イエーイ!!」」
「だから!騒がないのー!!」
4人は飛び跳ねて踊る。
踊りながらハイタッチしている。
言った先からもうこれだ!
だから言えなかったんでしょ!!
「そうだ、ベビー用品!!」
「今すぐ王都へ買いに行こう!」
「見舞いが先だろ、馬鹿!」
「だーかーら、あんたら誓約書読んだでしょ!?」
俺の言葉虚しく、4人の小躍りはしばらく続き…
殿下は大層お怒りになられましたとさ。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
最近、一番最初に書いた作品を読み返してみたらば、あまりに読みづらくて絶望。
このままでは死ねないクラスの感情が沸き起こりまして、全面改稿に踏み切ることに致しました。
もし、こちらに「どれだけ永く生きてても」を読んで頂いている方がいらっしゃいましたら、御礼とともに、お知らせさせて頂きます。
やっぱりスマホのみで文章を書くってなかなか辛いもんですね…
こちらの「当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!」のほうも順次改稿しております。
今日もク「レ」ビアさんを探してウロウロ…。
名前が安定しないの、一番駄目(泣)
今後とも宜しくお願い致します!
ベルガモット教授の体調管理を後宮のお医者様と執事リチャードに託し、
毎週末には見舞いに来ると約束し、
殿下と一緒に学園へ舞い戻った。
そこからベルガモット教授は急病で緊急入院、いつ出られるか分からないという設定で学園に話を通し、産休育休休暇と同じだけの休みをもぎ取った。
だが問題は残された水・風・雷・光の4侯爵。
当然のことながらベルガモット教授が心配だし、どうにかしてお見舞いに行きたいし、何なら全てを投げ出して看病しに走りたいわけで…
現在、俺は研究室で朝から4人の突撃を喰らった後、そこそこの圧の尋問を受けている。
「ね~ぇ、ルースくぅん?
セドに何があったのか、教えてくれるよねぇ?」
「はあ、何のことでしょう」
「ふうん、しらばっくれるつもりだ…だけどね?
分かってるんだよ、キミがぜ~~んぶ裏で糸を引いてるコ・ト」
「良いのかなあそういう態度で?死ぬ手前まで切り刻んであげようか?」
「そうは申されましても、何のことだか?」
すると、雷のボロニア教授がとんでもない事を言い始める。
「…そういえば、サンダーアームで動物が考えている事が分かるんだっけ?
人間だとどうなるのかなあ」
「や…やだなあ、物騒ですよボロニア教授」
バチバチ…と、どう見ても「ちょっと」ではない電圧を放つボロニア教授。
ジト…と俺の事を囲む8つの目。
俺は必死で言う。
「と、とにかく、俺は何も知りませんってば!」
「ふぅううん…おいキュー、そいつを拘束しろ」
「おう」
風のオレガノ教授が俺の襟足をぐっと握って持ち上げた。
簡単にぷらーんとなる俺。
「ぐっ、ぐるじいっ…」
そんな俺に、水のフェンネル教授が素敵な笑顔を極限まで近づけて言う。
「僕、良いことを考えたよ。
ルースを人質にして、直接殿下に聞けばいい」
「ちょ、やめて!事によっちゃ謀反に…!!」
その言葉に笑顔で答える光のヒソップ教授。
「なあに、国よりセドだよ、ルース君」
「ぬああああ!?」
まさか、ベルガモット教授は傾国キャラ!?
「じゃあ、僕ら殿下を探して来るね。
あとはヨロシク、キュー」
「ああ、早いとこ頼む」
「あ、ちょっと!やめて!!待って!?」
俺をぶら下げたオレガノ教授を残して全員が部屋を出て行く。
「…まあ、椅子にでも座って待ってろ。
それとも縛り上げた方が雰囲気が出るか?」
「いえけっこうです!!」
全力拒否する俺。
怯える俺にオレガノ教授が言う。
「何で喋らないんだ、お前ら」
「…お前『ら』?」
「火の侯爵殿も脅したが駄目でな」
「何しとんですかあんたら!!」
うっかり学園が火の海になるやろがい!!
***
暫くして殿下が出て行った3人と一緒にやってきた。
「はあ…本当にもう、何をしているかと思えば」
「だって教えてくれないんですもん」
「可愛い側室が聞いてるんじゃないですか」
風と水の教授がそう言うと、殿下が切り返した。
「ベルガモットも可愛い側室の一人だが?」
やめて火に油だから!!
「…へえ」
「ふーん…」
一触即発の雰囲気を醸し出す4人。
殿下はその雰囲気をため息一つで躱して言う。
「まあいい、こういう事は予想していた。
ベルガモットには、必要ならお前たちだけには話す事になる、と先に言ってある。
但し、今から俺のいう事を守れればの話だ」
「「「「はっ!必ず守ります!!」」」」
本当にもう…調子が良いんだから!!
でも殿下は大まじめな顔で言った。
「では今から話をするが…その前にこれにサインを」
…殿下が取り出したのは一枚の誓約書だった。
そこにはこう書かれていた。
・この件について一切口外しない事
・この件がばれるような行為・行動は慎む事
・教授としての職務を全うすること
・見舞いは1回につき1人とする
・物を送るのは避ける事、手紙も同様とする
全員がそれを読んで、しっかりとサインをした。
それを見届けてから殿下は言った。
「ベルガモットは今、ユーフォルビアの屋敷に匿われている。
腹の中に、子どもがいるそうだ。
だが誰の子かは、分からん」
殿下はそこで言葉を切って、溜める。
4人に沈黙と緊張が走る。
何故か全員俺を睨む…なんで殿下まで!?
殿下が続きを告げる。
「……お前たち4人の中の誰かではあるがな」
4人が息を飲む…
そして、
「いぃいやったあーー!!さすがセド!」
「本当ですか!すごい!」
「名前どうする、誰がつける!?」
「奇跡だ~!奇跡が起きたんだ!!」
「「ひゃっほー!」」「「イエーイ!!」」
「だから!騒がないのー!!」
4人は飛び跳ねて踊る。
踊りながらハイタッチしている。
言った先からもうこれだ!
だから言えなかったんでしょ!!
「そうだ、ベビー用品!!」
「今すぐ王都へ買いに行こう!」
「見舞いが先だろ、馬鹿!」
「だーかーら、あんたら誓約書読んだでしょ!?」
俺の言葉虚しく、4人の小躍りはしばらく続き…
殿下は大層お怒りになられましたとさ。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
最近、一番最初に書いた作品を読み返してみたらば、あまりに読みづらくて絶望。
このままでは死ねないクラスの感情が沸き起こりまして、全面改稿に踏み切ることに致しました。
もし、こちらに「どれだけ永く生きてても」を読んで頂いている方がいらっしゃいましたら、御礼とともに、お知らせさせて頂きます。
やっぱりスマホのみで文章を書くってなかなか辛いもんですね…
こちらの「当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!」のほうも順次改稿しております。
今日もク「レ」ビアさんを探してウロウロ…。
名前が安定しないの、一番駄目(泣)
今後とも宜しくお願い致します!
15
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる