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学園6年目

踊る4侯爵

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あの後、俺とお医者様とで出来る限り分娩室の用意を整え、
ベルガモット教授の体調管理を後宮のお医者様と執事リチャードに託し、
毎週末には見舞いに来ると約束し、
殿下と一緒に学園へ舞い戻った。

そこからベルガモット教授は急病で緊急入院、いつ出られるか分からないという設定で学園に話を通し、産休育休休暇と同じだけの休みをもぎ取った。

だが問題は残された水・風・雷・光の4侯爵。

当然のことながらベルガモット教授が心配だし、どうにかしてお見舞いに行きたいし、何なら全てを投げ出して看病しに走りたいわけで…

現在、俺は研究室で朝から4人の突撃を喰らった後、そこそこの圧の尋問を受けている。

「ね~ぇ、ルースくぅん?
 セドに何があったのか、教えてくれるよねぇ?」
「はあ、何のことでしょう」

「ふうん、しらばっくれるつもりだ…だけどね?
 分かってるんだよ、キミがぜ~~んぶ裏で糸を引いてるコ・ト」
「良いのかなあそういう態度で?死ぬ手前まで切り刻んであげようか?」
「そうは申されましても、何のことだか?」

すると、雷のボロニア教授がとんでもない事を言い始める。

「…そういえば、サンダーアームで動物が考えている事が分かるんだっけ?
 人間だとどうなるのかなあ」
「や…やだなあ、物騒ですよボロニア教授」

バチバチ…と、どう見ても「ちょっと」ではない電圧を放つボロニア教授。
ジト…と俺の事を囲む8つの目。
俺は必死で言う。

「と、とにかく、俺は何も知りませんってば!」
「ふぅううん…おいキュー、そいつを拘束しろ」
「おう」

風のオレガノ教授が俺の襟足をぐっと握って持ち上げた。
簡単にぷらーんとなる俺。

「ぐっ、ぐるじいっ…」

そんな俺に、水のフェンネル教授が素敵な笑顔を極限まで近づけて言う。

「僕、良いことを考えたよ。
 ルースを人質にして、直接殿下に聞けばいい」
「ちょ、やめて!事によっちゃ謀反に…!!」

その言葉に笑顔で答える光のヒソップ教授。

「なあに、国よりセドだよ、ルース君」
「ぬああああ!?」

まさか、ベルガモット教授は傾国キャラ!?

「じゃあ、僕ら殿下を探して来るね。
 あとはヨロシク、キュー」
「ああ、早いとこ頼む」
「あ、ちょっと!やめて!!待って!?」

俺をぶら下げたオレガノ教授を残して全員が部屋を出て行く。

「…まあ、椅子にでも座って待ってろ。
 それとも縛り上げた方が雰囲気が出るか?」
「いえけっこうです!!」

全力拒否する俺。
怯える俺にオレガノ教授が言う。

「何で喋らないんだ、お前ら」
「…お前『ら』?」
「火の侯爵殿も脅したが駄目でな」
「何しとんですかあんたら!!」

うっかり学園が火の海になるやろがい!!

***

暫くして殿下が出て行った3人と一緒にやってきた。

「はあ…本当にもう、何をしているかと思えば」
「だって教えてくれないんですもん」
「可愛い側室が聞いてるんじゃないですか」

風と水の教授がそう言うと、殿下が切り返した。

「ベルガモットも可愛い側室の一人だが?」

やめて火に油だから!!

「…へえ」
「ふーん…」

一触即発の雰囲気を醸し出す4人。
殿下はその雰囲気をため息一つで躱して言う。

「まあいい、こういう事は予想していた。
 ベルガモットには、必要ならお前たちだけには話す事になる、と先に言ってある。
 但し、今から俺のいう事を守れればの話だ」
「「「「はっ!必ず守ります!!」」」」

本当にもう…調子が良いんだから!!
でも殿下は大まじめな顔で言った。

「では今から話をするが…その前にこれにサインを」

…殿下が取り出したのは一枚の誓約書だった。
そこにはこう書かれていた。

・この件について一切口外しない事
・この件がばれるような行為・行動は慎む事
・教授としての職務を全うすること
・見舞いは1回につき1人とする
・物を送るのは避ける事、手紙も同様とする

全員がそれを読んで、しっかりとサインをした。
それを見届けてから殿下は言った。

「ベルガモットは今、ユーフォルビアの屋敷に匿われている。
 腹の中に、子どもがいるそうだ。
 だが誰の子かは、分からん」

殿下はそこで言葉を切って、溜める。
4人に沈黙と緊張が走る。
何故か全員俺を睨む…なんで殿下まで!?

殿下が続きを告げる。

「……お前たち4人の中の誰かではあるがな」

4人が息を飲む…

そして、

「いぃいやったあーー!!さすがセド!」
「本当ですか!すごい!」
「名前どうする、誰がつける!?」
「奇跡だ~!奇跡が起きたんだ!!」
「「ひゃっほー!」」「「イエーイ!!」」
「だから!騒がないのー!!」

4人は飛び跳ねて踊る。
踊りながらハイタッチしている。
言った先からもうこれだ!
だから言えなかったんでしょ!!

「そうだ、ベビー用品!!」
「今すぐ王都へ買いに行こう!」
「見舞いが先だろ、馬鹿!」
「だーかーら、あんたら誓約書読んだでしょ!?」

俺の言葉虚しく、4人の小躍りはしばらく続き…

殿下は大層お怒りになられましたとさ。





≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

最近、一番最初に書いた作品を読み返してみたらば、あまりに読みづらくて絶望。
このままでは死ねないクラスの感情が沸き起こりまして、全面改稿に踏み切ることに致しました。

もし、こちらに「どれだけ永く生きてても」を読んで頂いている方がいらっしゃいましたら、御礼とともに、お知らせさせて頂きます。

やっぱりスマホのみで文章を書くってなかなか辛いもんですね…

こちらの「当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!」のほうも順次改稿しております。
今日もク「レ」ビアさんを探してウロウロ…。

名前が安定しないの、一番駄目(泣)
今後とも宜しくお願い致します!
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