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学園6年目
結婚式大作戦 4 ~ゴード視点~
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「…このままどこへ行く気でしょうか」
「ふむ、このルートなら叔父上の所じゃないか?」
スプーラ殿下は何でもない事のように言う。
この腹の座り様は凄い…やはりこの人は王の資質を持っているのだな。
「はてさて、まだ王位を諦めていないとは、叔父上にも困ったものだ」
「…殿下の叔父上ということは、王の弟君、ですか?」
「そうだ。困ったことに王位継承権第3位を持っていて、エルグランがローズで側室として子を産んだ場合には王位継承権は2位になる。
そして俺と次の王位を巡って争おうとしている。
俺が王になれば魔法使いはより冷遇されると言い続け、魔法関係の貴族を取り込んでいる」
別に魔法使いが嫌いなわけではないぞ?
細くてなまっちろい連中に、城内の忙しい部署をまかせるわけにはいかんというだけだ。
そういう連中は激務に耐えきれん事があるからな、
というのがスプーラ殿下の言い分だ。
そういうところが、誤解を招くと思うのだが。
確かに王城にいて思うのは、目の下にクマを作ってふらふら歩く文官が多いという事だ。
殿下が目の届く範囲にそういったものが居れば、問答無用で太るまで登城停止を命ずるそうだが…
それがみんなの目にどう映っているのかは考えた事が無いようだ。
そういうところが誤解を招くのだと思うのだが。
そうやって休ませた文官の仕事は殿下と側近たちで手分けして行っている。
だから書斎に持ち込まれる文書の内容はバラバラ。
だがそのおかげで水増し請求や不当な陳情差戻なども発覚したりする。
今の俺が手伝えるのは書類作成と計算くらいだが、そのうち何でも出来るように学ばなければな。
殿下は言う。
「エルグランは細い。
王という仕事に耐えられると思えんし、それに…
弟と戦うよりは叔父上と戦う方が、弱い者いじめにならずに済むだろう?」
…そういうところが誤解を招くのだと思うのだが。
さらに殿下は言う。
「叔父上は魔法使いでな、伴侶も魔法使いだ。
叔父上は水属性、伴侶殿は光属性だ」
「なるほど、ということは、最悪王弟殿下をぶん殴っても伴侶殿が治してくれる…ということですね」
「さすがゴード、そういう考え方もあるな」
最悪全員をぶん殴って式場へ行こう、と笑い合う。
色々あったけど俺はスプーラ殿下を愛してしまったし、支えたいと思う。
「しかし、私は剣士で魔法はどうも苦手だ」
「その為に私がいるのです、お任せを」
こちらに来て3ヶ月弱、近衛魔法師団の風魔法使いと共に風魔法拳の練習をしてきた。
最近では近衛騎士団のほうでも、興味を持って練習に参加してくれる方が増えた。
人に教える事で、より深く学べたはずだ。
今なら上位の水魔法使いにだって、勝てる。
「もう、簡単に流されたりしませんよ」
「頼もしいな、ゴードを伴侶に選んで正解だ」
馬車が停まった。
どうやら目的地に着いたらしい。
御者が馬車の外から震えた声で呼びかけてきた。
「殿下、到着して御座います」
「うむ、ご苦労であった。
我々が降りたら疾く去るがいい」
ここが式場でないことは百も承知で、堂々と馬車を降りるスプーラ殿下。
そしてエスコートされながら降りる俺…
これだけは一生慣れる気がしないな。
さて。
降りた先には武器を持った剣士たち。
その後ろは、魔法使いたちだろうか?
数十名の武装した人間が俺たちを囲っていた。
「皆の者、出迎えご苦労。
さて、神官殿はどちらかな?」
「ここは神殿ではないぞ、馬鹿王子!」
兵士の中の1人が王子に向かって暴言を吐く。
その言葉に高笑いして、スプーラ殿下が剣を抜く。
「さて、馬鹿はどちらか試してみよう。
何、腕の一本や二本、千切れても光魔法でくっつくらしいからな、殺すつもりで来れば良い」
俺は肩の力を抜き、拳を軽く握って構える。
「魔法ならこちらでお相手しよう」
そうして、軽く拳に火をともし…振ってみせる。
雄叫びが上がり、剣士たちが突っ込んでくる…
「はは、背中は任せるぞゴード」
「御意!」
そう簡単にやられてたまるか。
魔法殺しの兄弟子として、無様な姿は見せられん!
「ふむ、このルートなら叔父上の所じゃないか?」
スプーラ殿下は何でもない事のように言う。
この腹の座り様は凄い…やはりこの人は王の資質を持っているのだな。
「はてさて、まだ王位を諦めていないとは、叔父上にも困ったものだ」
「…殿下の叔父上ということは、王の弟君、ですか?」
「そうだ。困ったことに王位継承権第3位を持っていて、エルグランがローズで側室として子を産んだ場合には王位継承権は2位になる。
そして俺と次の王位を巡って争おうとしている。
俺が王になれば魔法使いはより冷遇されると言い続け、魔法関係の貴族を取り込んでいる」
別に魔法使いが嫌いなわけではないぞ?
細くてなまっちろい連中に、城内の忙しい部署をまかせるわけにはいかんというだけだ。
そういう連中は激務に耐えきれん事があるからな、
というのがスプーラ殿下の言い分だ。
そういうところが、誤解を招くと思うのだが。
確かに王城にいて思うのは、目の下にクマを作ってふらふら歩く文官が多いという事だ。
殿下が目の届く範囲にそういったものが居れば、問答無用で太るまで登城停止を命ずるそうだが…
それがみんなの目にどう映っているのかは考えた事が無いようだ。
そういうところが誤解を招くのだと思うのだが。
そうやって休ませた文官の仕事は殿下と側近たちで手分けして行っている。
だから書斎に持ち込まれる文書の内容はバラバラ。
だがそのおかげで水増し請求や不当な陳情差戻なども発覚したりする。
今の俺が手伝えるのは書類作成と計算くらいだが、そのうち何でも出来るように学ばなければな。
殿下は言う。
「エルグランは細い。
王という仕事に耐えられると思えんし、それに…
弟と戦うよりは叔父上と戦う方が、弱い者いじめにならずに済むだろう?」
…そういうところが誤解を招くのだと思うのだが。
さらに殿下は言う。
「叔父上は魔法使いでな、伴侶も魔法使いだ。
叔父上は水属性、伴侶殿は光属性だ」
「なるほど、ということは、最悪王弟殿下をぶん殴っても伴侶殿が治してくれる…ということですね」
「さすがゴード、そういう考え方もあるな」
最悪全員をぶん殴って式場へ行こう、と笑い合う。
色々あったけど俺はスプーラ殿下を愛してしまったし、支えたいと思う。
「しかし、私は剣士で魔法はどうも苦手だ」
「その為に私がいるのです、お任せを」
こちらに来て3ヶ月弱、近衛魔法師団の風魔法使いと共に風魔法拳の練習をしてきた。
最近では近衛騎士団のほうでも、興味を持って練習に参加してくれる方が増えた。
人に教える事で、より深く学べたはずだ。
今なら上位の水魔法使いにだって、勝てる。
「もう、簡単に流されたりしませんよ」
「頼もしいな、ゴードを伴侶に選んで正解だ」
馬車が停まった。
どうやら目的地に着いたらしい。
御者が馬車の外から震えた声で呼びかけてきた。
「殿下、到着して御座います」
「うむ、ご苦労であった。
我々が降りたら疾く去るがいい」
ここが式場でないことは百も承知で、堂々と馬車を降りるスプーラ殿下。
そしてエスコートされながら降りる俺…
これだけは一生慣れる気がしないな。
さて。
降りた先には武器を持った剣士たち。
その後ろは、魔法使いたちだろうか?
数十名の武装した人間が俺たちを囲っていた。
「皆の者、出迎えご苦労。
さて、神官殿はどちらかな?」
「ここは神殿ではないぞ、馬鹿王子!」
兵士の中の1人が王子に向かって暴言を吐く。
その言葉に高笑いして、スプーラ殿下が剣を抜く。
「さて、馬鹿はどちらか試してみよう。
何、腕の一本や二本、千切れても光魔法でくっつくらしいからな、殺すつもりで来れば良い」
俺は肩の力を抜き、拳を軽く握って構える。
「魔法ならこちらでお相手しよう」
そうして、軽く拳に火をともし…振ってみせる。
雄叫びが上がり、剣士たちが突っ込んでくる…
「はは、背中は任せるぞゴード」
「御意!」
そう簡単にやられてたまるか。
魔法殺しの兄弟子として、無様な姿は見せられん!
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