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学園6年目
結婚式大作戦 2 ~ジョンさん視点~
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「ち、まさか御者からやられているとは」
「家族を人質にされてるんじゃ仕方ないですよね」
馬車に不具合があったと言われ、停車した直後。
スプーラ殿下とゴードが乗った馬車は俺たちが乗った馬車を置き去りにし、湖の方へ向かっていった。
そして、俺たちの馬車を操縦していた御者はカートを人質にして俺たちに迫った。
ナイフを持つ手が震えている。
「う、う、動くと、この子の命は、な、ないぞ!」
「サンダー」
「ぎゃあっ!!!」
……人質に取った人間が悪かったな。
御者がカートのサンダーを喰らってのけぞったので、その隙に俺が彼を羽交い締めにする。
エルが御者に聞く。
「どうしてこんなことをしたのか、お聞かせ願えますかね?」
そうして、彼の頭に「闇飛ばし」を食らわせた。
「うわああ!!」
しかし彼は尻もちをついただけだった…。
***
こちらの御者だけでなく、スプーラ殿下とゴードが乗った方の御者も、家族を人質に取られて脅されているそうだ。
普通こういうのは金を積んでするものだが、カメリア王家には金がないのだろうか。
ローズでは闇魔法で何でも操っていたが、こちらは使っていない…ということは、闇魔法の使い手が向こうには居ないという事か。
「家族が人質…?」
「どこに囚われているか分かるか?」
「…いえ、それは…」
「上手く事を運べたら開放する、という事は、僕らを連れて行く予定の場所じゃないでしょうか?」
「ふむ…まあ行けば少なくとも手がかりはあるかの。
御者殿、儂とこの2人を積んでそこへ行くがいい」
何と、校長はカートとヘザーをつれて相手のところへ乗り込むつもりらしい。
危険なのではないか、と一瞬思ったが、考えてみれば校長は「怪物」と呼ばれた魔法使いだ。
「えっ…い、いいんですか…?」
「ただ、馬を一頭ここへ残してな。
足りん馬は途中で借りよう、多少のごまかしにはなるじゃろ」
「は…はい!!」
「では行くぞ…あ、ちょっとプラウ」
モコモコモコモコっ
ここで何か起きた事を示す為か、土魔法で路上を軽く掘り返した校長は、俺とエルに命じた。
「エル王子とジョンは馬でスプーラとゴードの馬車を追え。
今ならまだ轍も残っとるから追えるじゃろ」
「はっ」
地の利が儂らにはないからのう、頼んだぞ!と言って校長は2人を連れて馬車に乗りこみ、来た道を引き返して行った。
俺は馬にまたがり、エルを馬上へ引き上げる。
鞍の付いてない馬だ、乗るにはコツがいる。
俺はエルが自分に掴まりやすいように、正面から抱きかかえた。
「エル、私に掴まっていて下さい」
「うん」
俺はスプーラ殿下とゴードが乗った馬車を追って、馬を走らせた。
走らせながら、エルと話す。
「こっちには確か、大きな湖がありましたね」
「うん、叔父…王弟殿下の屋敷があるところだね。
ゴードさんが火魔法使いだから、あえて水の多い場所を選んだのか…それとも」
「王弟殿下が関わっていらっしゃるか、ですね」
王弟殿下は王位継承権第3位のお方だ。
上の2人が居なければ、次の王は彼…
「まさか」
エルはローズで側室になった。
あとはスプーラ殿下さえ片付けば…
「父と叔父上の時にもね、あったんだって、王位をめぐる派閥争い」
「…その時も、魔法使いと騎士は対立していた?」
「そう、カメリアは常に魔法使いと騎士で対立する…分かり合えないんだ、何故かね」
言われてみれば不思議な話だ。
魔法と剣は連携してこそ、現場で最大限の効率を出せるというのに…
「勿体ない国ですね」
「ジョンに言われてちゃよっぽどだね」
エルは肩をすくめて言った。
「色んな国を渡り歩いたジョンには、カメリアとローズのどちらがいい国だと思う?」
俺は答えた。
「エルが楽しく過ごせるなら、どちらでも」
このスプーラ殿下とゴードの結婚を機に、エルがカメリアでもローズでも笑えるようになればいい…
「あ、屋敷が見えてきたよ」
エルの言葉で気を引き締める。
屋敷とやらから、戦いの空気が漂ってくる。
「…勝ちましょう、エル」
「もちろん」
エルの頼もしい返答に、俺は思わずニヤリとした。
「家族を人質にされてるんじゃ仕方ないですよね」
馬車に不具合があったと言われ、停車した直後。
スプーラ殿下とゴードが乗った馬車は俺たちが乗った馬車を置き去りにし、湖の方へ向かっていった。
そして、俺たちの馬車を操縦していた御者はカートを人質にして俺たちに迫った。
ナイフを持つ手が震えている。
「う、う、動くと、この子の命は、な、ないぞ!」
「サンダー」
「ぎゃあっ!!!」
……人質に取った人間が悪かったな。
御者がカートのサンダーを喰らってのけぞったので、その隙に俺が彼を羽交い締めにする。
エルが御者に聞く。
「どうしてこんなことをしたのか、お聞かせ願えますかね?」
そうして、彼の頭に「闇飛ばし」を食らわせた。
「うわああ!!」
しかし彼は尻もちをついただけだった…。
***
こちらの御者だけでなく、スプーラ殿下とゴードが乗った方の御者も、家族を人質に取られて脅されているそうだ。
普通こういうのは金を積んでするものだが、カメリア王家には金がないのだろうか。
ローズでは闇魔法で何でも操っていたが、こちらは使っていない…ということは、闇魔法の使い手が向こうには居ないという事か。
「家族が人質…?」
「どこに囚われているか分かるか?」
「…いえ、それは…」
「上手く事を運べたら開放する、という事は、僕らを連れて行く予定の場所じゃないでしょうか?」
「ふむ…まあ行けば少なくとも手がかりはあるかの。
御者殿、儂とこの2人を積んでそこへ行くがいい」
何と、校長はカートとヘザーをつれて相手のところへ乗り込むつもりらしい。
危険なのではないか、と一瞬思ったが、考えてみれば校長は「怪物」と呼ばれた魔法使いだ。
「えっ…い、いいんですか…?」
「ただ、馬を一頭ここへ残してな。
足りん馬は途中で借りよう、多少のごまかしにはなるじゃろ」
「は…はい!!」
「では行くぞ…あ、ちょっとプラウ」
モコモコモコモコっ
ここで何か起きた事を示す為か、土魔法で路上を軽く掘り返した校長は、俺とエルに命じた。
「エル王子とジョンは馬でスプーラとゴードの馬車を追え。
今ならまだ轍も残っとるから追えるじゃろ」
「はっ」
地の利が儂らにはないからのう、頼んだぞ!と言って校長は2人を連れて馬車に乗りこみ、来た道を引き返して行った。
俺は馬にまたがり、エルを馬上へ引き上げる。
鞍の付いてない馬だ、乗るにはコツがいる。
俺はエルが自分に掴まりやすいように、正面から抱きかかえた。
「エル、私に掴まっていて下さい」
「うん」
俺はスプーラ殿下とゴードが乗った馬車を追って、馬を走らせた。
走らせながら、エルと話す。
「こっちには確か、大きな湖がありましたね」
「うん、叔父…王弟殿下の屋敷があるところだね。
ゴードさんが火魔法使いだから、あえて水の多い場所を選んだのか…それとも」
「王弟殿下が関わっていらっしゃるか、ですね」
王弟殿下は王位継承権第3位のお方だ。
上の2人が居なければ、次の王は彼…
「まさか」
エルはローズで側室になった。
あとはスプーラ殿下さえ片付けば…
「父と叔父上の時にもね、あったんだって、王位をめぐる派閥争い」
「…その時も、魔法使いと騎士は対立していた?」
「そう、カメリアは常に魔法使いと騎士で対立する…分かり合えないんだ、何故かね」
言われてみれば不思議な話だ。
魔法と剣は連携してこそ、現場で最大限の効率を出せるというのに…
「勿体ない国ですね」
「ジョンに言われてちゃよっぽどだね」
エルは肩をすくめて言った。
「色んな国を渡り歩いたジョンには、カメリアとローズのどちらがいい国だと思う?」
俺は答えた。
「エルが楽しく過ごせるなら、どちらでも」
このスプーラ殿下とゴードの結婚を機に、エルがカメリアでもローズでも笑えるようになればいい…
「あ、屋敷が見えてきたよ」
エルの言葉で気を引き締める。
屋敷とやらから、戦いの空気が漂ってくる。
「…勝ちましょう、エル」
「もちろん」
エルの頼もしい返答に、俺は思わずニヤリとした。
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