上 下
382 / 586
学園6年目

学内探索 4

しおりを挟む
第3~6寮、特に問題なし。
闇魔法に掛かった人たちの共通点を探してそこを集中的に調べる作戦にしたほうが良さそう…

移動の度に人が増えて、いつの間にかケンタウレア先生の新しいお弟子さん2人に各種剣術体術の研究生までくっついてきた。
人手があるから捜索の時間は短くて済むんだけど、闇飛ばしは俺1人だからなあ…

結構大変。

現在は一般棟で、各研究室を訪ね歩き片っ端から闇飛ばし中。
結果、殆どの教授が闇魔法の影響下にあるという有様で、多くの授業が自習になった。

「どこで掛かってきたんですかね」
「知らん、後で聞いてみるしかないな」

ぐったりしている教授たちを一つの教室に集め、見張りに武術棟の数人を残す。

今日は自習デーだな…
授業開始早々、とんでもない騒ぎだ。


そんなわけで、騒ぎを聞きつけた殿下がフィーデ君とプリムラ君をつれてやってきた。

「この調子で7~12寮まで続けるのか?」
「各教室も調査するとなると、班で分かれた方が良いんじゃないですかね」
「そうですね、じゃあ手分けして…」

捜索係をネリネ・ルディ班とガーベラ・ワルド班に分ける。
人を調べるのは魔法総合と殿下だ。

「寮にはそれほど人はいないでしょうから、我々は一般棟と魔法棟でそれっぽい人を探しましょう」
「それより、ルースの魔力が持つのか?
 その闇飛ばしを誰かに教えて、人手を増やした方が良いんじゃないか」
「そうですね、今日一日なら何とかなりそうですけど…
 今日以降は光のヒソップ教授の手を借りられるようにお願いしてみましょう」

教授の都合もあるだろうし、さすがに教えてすぐ…ってわけにはいかないもんな。
いやヒソップ教授なら出来そうだけど…一応。

「光の侯爵様か…ヒソップ家はずっと光属性なんですかね」
「確か光属性の者が跡を継ぐというやり方を取っているはずだ。
 ヒソップ家でも光属性以外の者が生まれる事があるそうでな」

ふーん、やっぱり純粋に遺伝ってことじゃなさそうだな。
ただ、今は最初の発現属性から派生して多属性を取得できるようになったからその辺は気楽になったかも…
ってことは純粋に魔力量がものをいう事になるのかしら。

そんな話を殿下としていると、おじいちゃん先生が言った。

「さっきの話じゃがの?
 少なくとも魔力量は遺伝かもしれん。
 魔法棟5侯爵の家は代々魔力量が多いからのう…
 ベルガモット家にしても属性は代々バラバラじゃが、かなり高位の魔法使いになるからの」
「そういや火の侯爵って、実は空席なんでしたっけ」
「僕、ずっとベルガモット家が火の侯爵家だと思ってたのになあ…」

俺も俺も、と色んな所から声が上がり…まあ確かに火魔法への教授の拘りって勘違いを産むくらい強いもんな。
正確には「魔法のような、練習量がものをいう能力を鍛える」ことへの執着だけど…。
努力すれば報われるってすごく分かりやすい構図だもんな、魔法って。

しかし、そうなると問題はベルガモット教授がやたらと対抗心を燃やすあの人だ。

「ただそうなると、ヘヴィさんの存在が困ったことになりません?」
「そうじゃの…それが魔法師団の中で不和が起こった理由でもあるしの」

だって元々平民だもん。
平民と貴族で何が違うって、基本的には魔力量なわけで…。
だからこそ「魔力無し」って言葉は貴族間でそこそこの悪口になるんだけどね。

するとデューイ君が「あっ!」と声を上げて、言う。

「実は先祖が高名な貴族のご落胤とか!?」
「それは無いよ!突然変異か何かじゃないの」

毎度のヘザー先輩の言いぐさに全員が苦笑する。
まあ、多分それが正解だとは思うんだけど…あっ。

「…そういうことにすればグロリオサ家を侯爵家にしても言い訳が立ちますね?」
「ほう…確かにそうじゃの」
「えっ、うち侯爵家になるの!?」
「領地ならイフェイオン領も空いとるし、もうすぐエルム領も空くから問題ないぞい」
「本当ですか!?すごい、大出世ですよ!」
「ええええ」

どっちも侯爵の一個上の公爵家の領地だけど、半分くらいにすれば侯爵家にはちょうどいいんじゃないか…とか勝手に話を進めるおじいちゃん先生とカート君に、ヘザー先輩は及び腰だ。

「僕とヘザー先輩が後宮を辞めたらそこに住みましょう!」
「そんな、勝手に…僕領地経営なんか分かんないよ」
「後宮にいるうちに教わればいいじゃない」
「俺だって国家運営なんかした事無いのに正室になるんですから、何とかなりますよ。
 1人で全部しなきゃいけないわけじゃないし」

そんな話をしながら俺たちは一般棟から魔法棟へ移動する。
結構な話題を歩きながらしてるけど気にしない。

やつらに話が届こうがもう構う事はない。

王家の暴走を止める機構は、公爵派から別へ移動させる。
その話はもうすでに、神殿と冒険者ギルドの間で始まっている…

よね?

頼むぜおっさん!!
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

処理中です...