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学園5年目
3学期の終わりに
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今日は卒業式。
6年生を祝うために5年生は全員出席だそうで、俺は卒業するはずのアレクさんと一緒に講堂に向かう。
殿下は生徒会長として祝辞を述べるために先に出たから、久々の別行動だ。
あれから俺は政治学・法学・国際情勢学の教授たちと交渉し、プリムラ様改めプリムラ君を上級科目まで履修させてもらう約束を取り付けた。
というか、その話をしたら二つ返事で乗ってきた。
むしろ公爵家との繋がりを持てる事に感謝してくれたというか…
やっぱ家柄って強いんだな。
その代わり、上級の授業は全部ここで俺と一緒に受ける事になった。
要は補講だ。
ちゃんとフィーデ君も一緒に放課後毎日訪ねてきているのでとりあえず一安心…
ちなみに中級は授業で受けてくれとのこと。
あと、テストでなくて論文の提出で良いんだって…
…俺がな!
最終学年で何本論文書かされるのよ俺。
何の巻き込み事故なのよ…
前世の卒論(4万字)が頭をよぎって仕方がない。
ちなみにプリムラ君はガッツリ試験だって。
俺もそっちのほうが良かった…。
授業のことはさておき、ブカツのほうではそろそろ引継ぎも考えないとまずい。
下手したらこのまま後宮に俺が参加してるブカツがやってきちゃう…
そりゃ今のとこ部屋は余ってるけど、いつか埋まるかもしんないじゃん。
その話をおじいちゃん先生にしたら、「足りなかったら国王の分もあるぞい」だって。
そういう問題じゃないんですけど?
あー、でもそうなった場合、ケンタウレア先生をどうやって後宮に入れるんだろ。
既婚者ですぞ?
まあそれは置いといて。
この1年でコーラス様とシャムロック様を何とかしないといけないんだよな。
あれから生徒会室にも何度か行ったんだけど、完全に壁を作られてしまってどうにもならない。
早く現状を打破しないと、2人とも完全に追い詰まっちゃう。
窮鼠猫を噛む、ってな事になったら、2人を断罪から救う事は難しくなる。
何とか救済の余地があるうちに、こっちから距離を詰めなきゃ…。
生徒会にも入ったことだし。
俺は講堂の入口で1人決意を固め、そしてぼやく。
「は~ぁ、人生で一番忙しい1年になりそう」
すると今日も俺に付いてきてくれているアレクさんが言う。
「何でも手伝うから遠慮するなよっす!」
「えっ、でも、アレクさんも卒業するでしょ」
「だって俺、次期国王正室付官吏だぜ?
ルース様がいるとこが職場だしっす」
「そうか…有難う、アレクさん」
アレクさん、卒業したらカレンデュラ先生とラブラブ新婚生活を送るはずだったのに…
ほんと有り難いよな。
空いている席を探す。
ジョンさんの頭が見えたのでそっちへ近づく。
エルさまが俺に気付いて手を振る。
カート君とカイト君とデューイ君とイドラ君に、なぜかセント神官長も一緒だ。
「ルース先生!こっちこっち」
「珍しく遅かったな、ルース」
「席を取っておいて良かったです!」
「これでアレクさんも心置きなく卒業生の席に行けますね」
「魔法が飛んで来たら俺が全部巻き取ってやるから安心してくれ」
「一応フルートも持ってきました!」
「朝一番で祈りの結界もかけてあるからな!」
鉄壁の布陣に半笑いになりながら、アレクさんは祝われる側の席へ向かう。
今年の卒業生はざっと70人だそうだ…
俺はイドラ君に話しかける。
「何かさ…貴族の子弟しかいないはずなのに結構多いよね?」
「殿下の入学に合わせて入ってくる人もいるからね、今年と来年は特に多いんじゃないかな。
進路が決まるまで卒業しないって人もいるし…
ほら」
「あっ」
イドラ君の指さす方を見ると、そこにはワルド先輩がふてぶてしく座っていた…。
6年生を祝うために5年生は全員出席だそうで、俺は卒業するはずのアレクさんと一緒に講堂に向かう。
殿下は生徒会長として祝辞を述べるために先に出たから、久々の別行動だ。
あれから俺は政治学・法学・国際情勢学の教授たちと交渉し、プリムラ様改めプリムラ君を上級科目まで履修させてもらう約束を取り付けた。
というか、その話をしたら二つ返事で乗ってきた。
むしろ公爵家との繋がりを持てる事に感謝してくれたというか…
やっぱ家柄って強いんだな。
その代わり、上級の授業は全部ここで俺と一緒に受ける事になった。
要は補講だ。
ちゃんとフィーデ君も一緒に放課後毎日訪ねてきているのでとりあえず一安心…
ちなみに中級は授業で受けてくれとのこと。
あと、テストでなくて論文の提出で良いんだって…
…俺がな!
最終学年で何本論文書かされるのよ俺。
何の巻き込み事故なのよ…
前世の卒論(4万字)が頭をよぎって仕方がない。
ちなみにプリムラ君はガッツリ試験だって。
俺もそっちのほうが良かった…。
授業のことはさておき、ブカツのほうではそろそろ引継ぎも考えないとまずい。
下手したらこのまま後宮に俺が参加してるブカツがやってきちゃう…
そりゃ今のとこ部屋は余ってるけど、いつか埋まるかもしんないじゃん。
その話をおじいちゃん先生にしたら、「足りなかったら国王の分もあるぞい」だって。
そういう問題じゃないんですけど?
あー、でもそうなった場合、ケンタウレア先生をどうやって後宮に入れるんだろ。
既婚者ですぞ?
まあそれは置いといて。
この1年でコーラス様とシャムロック様を何とかしないといけないんだよな。
あれから生徒会室にも何度か行ったんだけど、完全に壁を作られてしまってどうにもならない。
早く現状を打破しないと、2人とも完全に追い詰まっちゃう。
窮鼠猫を噛む、ってな事になったら、2人を断罪から救う事は難しくなる。
何とか救済の余地があるうちに、こっちから距離を詰めなきゃ…。
生徒会にも入ったことだし。
俺は講堂の入口で1人決意を固め、そしてぼやく。
「は~ぁ、人生で一番忙しい1年になりそう」
すると今日も俺に付いてきてくれているアレクさんが言う。
「何でも手伝うから遠慮するなよっす!」
「えっ、でも、アレクさんも卒業するでしょ」
「だって俺、次期国王正室付官吏だぜ?
ルース様がいるとこが職場だしっす」
「そうか…有難う、アレクさん」
アレクさん、卒業したらカレンデュラ先生とラブラブ新婚生活を送るはずだったのに…
ほんと有り難いよな。
空いている席を探す。
ジョンさんの頭が見えたのでそっちへ近づく。
エルさまが俺に気付いて手を振る。
カート君とカイト君とデューイ君とイドラ君に、なぜかセント神官長も一緒だ。
「ルース先生!こっちこっち」
「珍しく遅かったな、ルース」
「席を取っておいて良かったです!」
「これでアレクさんも心置きなく卒業生の席に行けますね」
「魔法が飛んで来たら俺が全部巻き取ってやるから安心してくれ」
「一応フルートも持ってきました!」
「朝一番で祈りの結界もかけてあるからな!」
鉄壁の布陣に半笑いになりながら、アレクさんは祝われる側の席へ向かう。
今年の卒業生はざっと70人だそうだ…
俺はイドラ君に話しかける。
「何かさ…貴族の子弟しかいないはずなのに結構多いよね?」
「殿下の入学に合わせて入ってくる人もいるからね、今年と来年は特に多いんじゃないかな。
進路が決まるまで卒業しないって人もいるし…
ほら」
「あっ」
イドラ君の指さす方を見ると、そこにはワルド先輩がふてぶてしく座っていた…。
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