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学園5年目
学祭シーズン到来
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「えっ、講演会のお願い?」
「そうっす、王都国立大学の医学部から」
「…………何で?」
2学期も終盤になってくると、学園と同じように各大学でも学園祭が催される。
この時期は前世で言うとハロウィンシーズンなんだけど、この世界にはイマイチ浸透していない模様。
考えてみたら結構厳密に「女性を表す言葉」を排除している世界だから、女装も無いしバニーガールも居ないので仮装のハードルが高いというか…
変装するキャラクターが無いというか。
サンタとトナカイはクリスマスだしなあ。
そういえばバレンタインも無いし…
殿下の誕生日だけどな!
それはさておき、医学部で俺が何を喋るねんな。
穏便にお断りしておこ…
「こういうの他にもちらほら来てるっすよ」
「とりあえず全部お断りしましょう」
なんせこっちも魔法学会があるしな。
というわけで、便箋を取り出してお手紙を…
というところで、派手な足音が聞こえ、乱暴に扉が開き、
「大変だルース!!」
「ふわっ!?どうしましたジョンさん!?」
波乱を予感させる一報が…
「今年の学園祭、カメリアから、スプーラ殿下が、お越しになる」
「…は?」
届いた。
***
ジョンさんから遅れてやってきたエルさまが説明する。
「クリスマスに送ったワインの効果が出なくてイラだっているんでしょう」
完全に無表情だ。
愛想笑いすら浮かべていない。
怖い。
「不穏なものが検出されたと聞きましたからね、それの言い訳でもしに来るんじゃないですか」
「えっ…やっぱり、……毒」
「いいえ媚薬です」
「……はっ?」
どういうこと?
「私がこちらの国で側室として一生を過ごすのであれば、第1王子派としては安泰ですからね、最低限、放逐されない様にこちらでアルファード殿下との子どもを産めということでしょう、さらに欲を言うなら、側室の中で一番に子を産ませて、王位継承権の上位にカメリアの血を分けた子を付かせたいと考えているんでしょう、権力ボケした父と兄の考えそうな事です」
エルさまは一気にまくしたてる。
俺は気になっていた事を尋ねる…
「…まだ派閥争いが?」
「ええ」
やっぱり…。
エルさまの二つ名を聞いたときに思ったんだ。
「未来の賢王」。
つまりこの二つ名は、カメリアの第二王子派が付けたものだ…ということだ。
そしてそれはまだ変わっていない。
「第二王子派…私を王位につけようとする者も、別に私が優れているから推しているのではありません。
単純に私がなった方が旨味があるというだけ…
魔法と関連が深い家の者ばかりですから」
「その…第一王子のスプーラ殿下は、どちらかと言うと剣に重きを置く方だ。側近や警護の騎士にも、魔法使いより剣士を重用する傾向にある」
「はっきり言えば、魔法も魔法使いも馬鹿にしているということです!軟弱だとか言ってね!!」
珍しく怒るエルさま。
相当腹に据えかねる何かがあったらしい……
まあそれは置いといて、今カメリアでは
「第一王子派vs第二王子派=物理vs魔法」
という構図になっていると言うわけだ。
剣も拳も魔法も、仲良くやればいいのにね。
うちみたいに…
あっ。
「だったら、今回の訪問は、その考えを覆すいいチャンスじゃないですか」
「…えっ?」
「魔法術の大会に、ゴード先輩にお願いして出て貰いましょう」
「……?」
「もしスプーラ殿下が、魔法もアリだなと思うようになれば、派閥争いの種が1つ消えるわけでしょ?」
春休みに、海軍の人たちの魔法使いに対する意識を一気に変えてしまったケンタウレア一門なら…。
ジョンさんは俺の言わんとしていることが分かったらしい。
「なるほど!しかし、なぜわざわざゴードに?」
「ケンタウレア先生やカイト君は、魔法拳を使っていても肩書は拳闘士でしょ?
でもゴード先輩は…」
「あっ!魔法師団…!」
「そうです。
ゴード先輩の肩書は、魔法使いなんです」
なんせ参加資格が「戦いたい人」という超アバウトな大会だから、出る事には何の問題も無いし…
「それに、ケンタウレア先生やカイト君は、放っといても参加するでしょ」
「違いない」
王位の絡む話は複雑なのが当然だ。
だからこれ1つでかたが付くとは思わないけど…
何かの足しにはなるでしょ。
知らんけど!
「そうっす、王都国立大学の医学部から」
「…………何で?」
2学期も終盤になってくると、学園と同じように各大学でも学園祭が催される。
この時期は前世で言うとハロウィンシーズンなんだけど、この世界にはイマイチ浸透していない模様。
考えてみたら結構厳密に「女性を表す言葉」を排除している世界だから、女装も無いしバニーガールも居ないので仮装のハードルが高いというか…
変装するキャラクターが無いというか。
サンタとトナカイはクリスマスだしなあ。
そういえばバレンタインも無いし…
殿下の誕生日だけどな!
それはさておき、医学部で俺が何を喋るねんな。
穏便にお断りしておこ…
「こういうの他にもちらほら来てるっすよ」
「とりあえず全部お断りしましょう」
なんせこっちも魔法学会があるしな。
というわけで、便箋を取り出してお手紙を…
というところで、派手な足音が聞こえ、乱暴に扉が開き、
「大変だルース!!」
「ふわっ!?どうしましたジョンさん!?」
波乱を予感させる一報が…
「今年の学園祭、カメリアから、スプーラ殿下が、お越しになる」
「…は?」
届いた。
***
ジョンさんから遅れてやってきたエルさまが説明する。
「クリスマスに送ったワインの効果が出なくてイラだっているんでしょう」
完全に無表情だ。
愛想笑いすら浮かべていない。
怖い。
「不穏なものが検出されたと聞きましたからね、それの言い訳でもしに来るんじゃないですか」
「えっ…やっぱり、……毒」
「いいえ媚薬です」
「……はっ?」
どういうこと?
「私がこちらの国で側室として一生を過ごすのであれば、第1王子派としては安泰ですからね、最低限、放逐されない様にこちらでアルファード殿下との子どもを産めということでしょう、さらに欲を言うなら、側室の中で一番に子を産ませて、王位継承権の上位にカメリアの血を分けた子を付かせたいと考えているんでしょう、権力ボケした父と兄の考えそうな事です」
エルさまは一気にまくしたてる。
俺は気になっていた事を尋ねる…
「…まだ派閥争いが?」
「ええ」
やっぱり…。
エルさまの二つ名を聞いたときに思ったんだ。
「未来の賢王」。
つまりこの二つ名は、カメリアの第二王子派が付けたものだ…ということだ。
そしてそれはまだ変わっていない。
「第二王子派…私を王位につけようとする者も、別に私が優れているから推しているのではありません。
単純に私がなった方が旨味があるというだけ…
魔法と関連が深い家の者ばかりですから」
「その…第一王子のスプーラ殿下は、どちらかと言うと剣に重きを置く方だ。側近や警護の騎士にも、魔法使いより剣士を重用する傾向にある」
「はっきり言えば、魔法も魔法使いも馬鹿にしているということです!軟弱だとか言ってね!!」
珍しく怒るエルさま。
相当腹に据えかねる何かがあったらしい……
まあそれは置いといて、今カメリアでは
「第一王子派vs第二王子派=物理vs魔法」
という構図になっていると言うわけだ。
剣も拳も魔法も、仲良くやればいいのにね。
うちみたいに…
あっ。
「だったら、今回の訪問は、その考えを覆すいいチャンスじゃないですか」
「…えっ?」
「魔法術の大会に、ゴード先輩にお願いして出て貰いましょう」
「……?」
「もしスプーラ殿下が、魔法もアリだなと思うようになれば、派閥争いの種が1つ消えるわけでしょ?」
春休みに、海軍の人たちの魔法使いに対する意識を一気に変えてしまったケンタウレア一門なら…。
ジョンさんは俺の言わんとしていることが分かったらしい。
「なるほど!しかし、なぜわざわざゴードに?」
「ケンタウレア先生やカイト君は、魔法拳を使っていても肩書は拳闘士でしょ?
でもゴード先輩は…」
「あっ!魔法師団…!」
「そうです。
ゴード先輩の肩書は、魔法使いなんです」
なんせ参加資格が「戦いたい人」という超アバウトな大会だから、出る事には何の問題も無いし…
「それに、ケンタウレア先生やカイト君は、放っといても参加するでしょ」
「違いない」
王位の絡む話は複雑なのが当然だ。
だからこれ1つでかたが付くとは思わないけど…
何かの足しにはなるでしょ。
知らんけど!
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