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学園5年目

久々のダンジョン 5

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「これが魔力溜まり…」

本来のルートを外れて森を歩くこと5時間。
ようやく着いたその場所には、5色に光る泉のようなものがあった。
泉と言っても湧き出しているのは水ではなく、魔力の素。
水を張った洗面器にドライアイスを入れた、みたいな?
ポコポコと極濃の霧が出ていて、それが色付きのスポットライトでギラギラしてる感じ。
底から大物演歌歌手ラスボスが出てきそうだ。

「この霧が風に乗って、魔力として空気中に拡散していくんだ。
 だから、この近くに来るほど強力な魔物が…となりそうなものなんだが、それが意外とそうでもないんだ。
 ただ、ここは森の中だし、魔獣が出る事は多いから、大きな音を立てないようにな」

ビスカリア教授が魔力溜まりについて解説してくれるのを聞きながら、
初めて見る光景に、みんなしばらく立ち尽くしてその泉を見ていた。
暫くして、ルディ君が言った。

「魔力溜まりって、こう、禍々しいものかと…」
「う~ん…なんちゅうか、派手だな…」
「ルディ、ワルド、あまり近づきすぎるなよ?」

ビスカリア教授の言葉に、神妙な顔で頷く2人。
マグノリア教授が聞いた。

「どこまでなら近寄っても良いんです?」
「ああ、一応それは分かりやすいようにロープを張っておいた」
「…ほう、意外といけそうですね」
「あまりギリギリを攻めるでないぞ?」
「分かってますよ校長!
 いいかルディ、ワルド。
 かつて人間が魔力溜まりを利用していたとしたら、何か痕跡があるはずだ。
 不自然に平らな石とか、人工的な並びの石とかな。
 そういうのがこの周辺に無いか探すんだ…魔物や魔獣には気を付けろよ」
「了解」
「俺も付いて行くわ、戦闘力が足りんだろ」
「それなら私も行こう。
 雷と多少の火魔法も使えるしな」

魔力溜まり周辺調査班には風のオレガノ教授と雷のボロニア教授が付いて行ってくれるらしい。

「それでは、ダンジョン攻略班はそろそろ元の進路へ戻ります」
「魔法だけでどこまで攻略出来るかなぁ…」
「土魔法と火魔法の融合…
 楽しみですね、ヘザー先輩!」
「………」
「ルース先生、どっちが最奥の穴に先につくか勝負しませんか?」

どうやらダンジョン攻略班はジョンさんがリーダーらしい。
ダンジョン経験値からして順当だと思う。

「いやいや、そもそもケーブルがそこまで長くないですから…」
「足りなくなったら繋げばいいんだ、一応補給物資で頼んである」
「さすがネリネ教授、手回しがいい」

当然ながらゴーレム実験班はネリネ教授がリーダー。
サブリーダーはガーベラ先輩。
最も人数が多いチームでもある。

「じゃあ俺とソランとフェンネル教授とヒソップ教授はアクアネス観察班な」
「あれ、ソラン先輩そっちなんですか?」
「うん、だって魔物が発生するとこなんてそうそう見られないしね」

それじゃまた数日後に、と言葉を交わして俺たちは魔力溜まりに残る人たちと分かれた。

この時は誰も、このチーム分けが後に明暗を分ける事になるとは、全く考えもしなかったのだ…。
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