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学園4年目

船上会議

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学園からほぼ休むことなく、一気に港までやってきた。
港に着いたのは出発から2回目の深夜。
またも真っ暗な海とご対面である。

「皆さん、お待ちしておりました。
 一番早い船をご用意しております、こちらへ」

海軍さんも準備万端、近衛騎士団数名と魔法一個師団+1(ゴード先輩)はすでに乗り込んでいるとのこと。

「皆さん、今回の航海も宜しくお願いします」
「お任せください!総員、荷運びを」
「はっ!!」

みんなの荷物がどんどん運ばれて行く。
何度も旅を経験したせいか、個人の荷物はみんなコンパクトだ。
そんな中ひときわ大きくて目立つのが、ソラン先輩の「盾」。

「必要そうなものは全て積んでおります。
 こちら輸送物品のリストです、ご査収ください」

そういってモロー君は俺にリストを渡すと、出航の準備をしに自分ちの商船へ戻っていった。

「我々も出発しよう。もたもたしている間にまた人が死ぬ」
「はい!」

俺たちは急いで船に乗り込む。
シャラパールまでの5日間、船の中でゴーレム作りの答えを出せるか…

やるしかない。
ここには魔法の叡智が集まっている。
出来ると信じよう。

***

「というわけで、巨大サンドワームを引きずり出すのにゴーレムを作りたいんです」
「…は?」

俺の考えた作戦はこうだ。

①サンドワームを土属性の魔力でおびき出す

②ところがどっこい、それはゴーレムの魔力だ!

③出てきたところをガッ!いってズボーン!抜く
 <③がうまくいった場合>
  ↓ 
④ゴーレムでサンドワームをできるだけ弱らせる

⑤弱ったところを全員でぶっ叩く

「…ゴーレムの強度が分からんと、③が成立するか分からんからなぁ…」
と、おじいちゃん。
「そもそもゴーレムを作れなかった場合は、やはり最初の計画通り…誰かが囮になるしかないのか」
とベルガモット教授。
「わざと飲み込まれて中から攻撃できないか?」
とケンタウレア先生。
「飲み込まれた経験から言いますと、消化液を結界で防ぐことは出来るんですが、それ以外全く防げないです。
 それに触手が体内から溶かしにかかるんで、…えー、だから…やめた方がいいです」
これは俺。

「……分かった」

ケンタウレア先生の貞操を危険にさらすわけにはいかない。
貞操を奪われた瞬間に死亡確定だし。

「ゴーレムが無理だった場合は、俺とヘザー先輩の3人で、巨大クレイウォールを出して対抗しつつ…おじいちゃん先生が大地裂穿アースクラックで掘り起こして…ですね」

それを聞いてヘヴィさんが言った。
「とにかく地面から一度顔を出させん事には始まらん。
 最悪焼くとしてもどこに炎をやればいいのか分からなければ…難しいな」
カート君が言った。
「砂漠の大穴サイズのが、他にも見つかれば良いんですけど…」

被害のあった集落には穴が開いていたというけど、大穴ほど大きくはないそうだ。
と、いうことは…口から触手を出して開けたんだろう。

「当初の作戦では、最初のアプローチを人が飲み込まれた集落の穴から行う予定なのだな?」
「ええ、そうなります」
「ではその穴から俺が突撃して焼くか」
その言葉にヘザー先輩が喰ってかかる。
「何言ってるの父さん!?」
「いかんのか?」
「いかんに決まってるでしょ!!」

死にに行くような真似は止めてくれ、とヘザー先輩が涙目でヘヴィさんに訴える。

「俺1人死んだところで…」
「絶対に駄目!!」

そりゃそうだ。
どこから地獄の業火が噴き出るか分からないのは危険だし…ヘヴィさんが死ぬのも嫌だしな。

「とりあえず、ゴーレムが出来なくてもどうにかなるだけの戦力はある。
 軽々しく一個師団を失うような真似をするな」
「は…すみません」

まあ、気持ちは分かるけど。

「ヘザー先輩を囮に使うのが、嫌なんですね」
「ああ、そうだ、悪いか」
「いえ全然。ただ、それでしたらゴーレム作りにちょっとご協力いただければ」
「…何だと?」
「ヘヴィさん、歌、歌えますかね」
「…はっ?」

俺の言葉に、おじいちゃん先生がほっとした顔をする。
そう、おじいちゃんが「歌えない」と言うなら代役を立ててやってみようという作戦だ。
ヘヴィさんならおじいちゃんと同程度かそれ以上の魔力量があるだろうし、純粋に魔力を火に変えられるヘヴィさんなら土魔法が使えなくてもワンチャンあるかもしれない。
何より…

「おじいちゃんも、ヘヴィさんで駄目なら諦めがつきますでしょ」
「う…うぬう」

しかしこの期に及んでまだ拒否するとは…
どのくらい壊滅的なんだろう?
めっちゃ気になるわ…。

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