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学園4年目
似非論文のつくりかた
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魔法剣の話がひと段落し、ようやくフルートの話をする。
「ごめん、ほったらかしになっちゃって」
「いえ、フルートの練習をしていましたから…。
実は新しいフルートを買ったんです、これがまた魔道具化しないように、って…」
「あ、そっか、演奏する曲によっては魔法が出ないんだっけ」
「はい、比較的新しい曲を練習してます」
さすが神童、練習に余念がない…。
「まあ最悪魔道具化したとして…その時にはまた新しい論文を出すよ」
「はい、宜しくお願いします!」
「えーと、今決まってるのは、
・俺が古龍の墓で偶然発見した
・発見当時音が出なかった
・フルートと穴の数が一緒だった
↑フルートの原型?
・ガーベラ家に連なる人に修復してもらった
※ガーベラ先輩とは相談済
※歴史的価値は損なっていないはず
・演奏してもらって初めて魔道具だと発覚
・奏者がデューイ君だったのは偶然
↑折角なら音楽の神童にと頼んだだけ、他意無し
・条件が揃えば誰でも使えるはず。
魔道具とはそういうもの。
↑但し条件が揃っている人が他に学園にいない
=未確認
…と、こんな感じかな…」
するとデューイ君から質問が出た。
「どうして古龍の墓で発見したことになったんですか?」
「うん、夏休みに古龍の墓へ行ったから…なんだけど、そうだよね、何故そこにあったのか、か…。
吟遊詩人っていう古の職業に絡めてみる?」
「でも、フルートだと吟じられないので…」
「あ~なるほど、そりゃそうだ。
んじゃ何か音楽関係で都合のいい話が考古学あたりに落ちてないか調べてくるよ」
「こ、考古学、ですか?魔法の話なのに…」
「ん~~、歴史学あたりかもしんないな、属性魔法が生まれた後も暫くは古代魔法は使われてたから…その辺の、となると宗教学もありか…宗教学にあれば盾との兼ね合いもあるし後々…よし、宗教学で探そう」
「そんなんで良いんですか!?」
「正しい情報を選んでつなぎ合わせてでっち上げるのは、似非論文の基本だよ」
そうやって出来た似非科学に似非医療、前世でなんぼでも流行っとったがな。
こちとらお手の物やで!
ちなみにデトックスも俺が知る限りではエビデンスが無かった記憶がある。
だからすげー申し訳ない気分なんだよね…。
何でその名前にしたのかなあ、疲労回復。
「ま、そういうわけだから、どんどん気になるところ言ってみて」
「は…はあ…」
「あ、カイト君も疑問出しに参加してね」
「お…おう…」
2人とも困惑気味だけど、本格的に隠すなら仕方ない。
魔法馬鹿たちにはこのことに納得がいかないみたいで、ずっとブツブツ言っているけど。
「…今までの実績に傷が付くがの…」
「そもそも今まで実績があったのがおかしいんですから、大丈夫ですよ」
「…でも」
「そのうち真実を発表しなきゃならなくなったら…事情の説明は、トレッドさんとこの新聞で、独占インタビューをお願いしようかな?ま、うまくやりますよ、その辺は」
「…そう、ですか…」
確かに、学術的な交流会を主催したりすることも今後業務に入ってくるなら、その会の格を落としてしまう事にもなりかねない行為だ。
でも…。
強引にでもこの話は隠し通すしかない。
素敵な特殊効果が出る笛なんですよ~程度に話が収まるのならそれが一番だけど…
「あの公演を見る人が見れば、演奏を聞いた人々のボルテージを上げる効果がこの笛にあるようにも見えるでしょう?
現に魔法総合のメンバーはその可能性に気づいていました。
魔フルートの軍事転用を考える人は必ず現れます。
複製できると分かれば尚の事…。
でもこの笛1本だけが特殊ということであれば、拡散は防げます。
当然、複製できる可能性のある人も守られます。
それでもこの笛の複製を企む国は出るでしょうが、この笛を厳重に管理することである程度防げます」
「うむ…確かに、そうじゃな」
「それに、こんな素敵な演奏ができる笛を表に出せないんじゃ…もったいないですしね!」
「……ルースさん!!」
デューイ君がいきなり俺に抱き着いてきた。
俺もしっかりハグし返した…かったけど、
「…!」
「…。」
約2名、すごい顔をしてこっちを睨んでいたので空気を読んだ。
…この程度でそんな嫉妬する?
友情の範囲内やで!?
「ごめん、ほったらかしになっちゃって」
「いえ、フルートの練習をしていましたから…。
実は新しいフルートを買ったんです、これがまた魔道具化しないように、って…」
「あ、そっか、演奏する曲によっては魔法が出ないんだっけ」
「はい、比較的新しい曲を練習してます」
さすが神童、練習に余念がない…。
「まあ最悪魔道具化したとして…その時にはまた新しい論文を出すよ」
「はい、宜しくお願いします!」
「えーと、今決まってるのは、
・俺が古龍の墓で偶然発見した
・発見当時音が出なかった
・フルートと穴の数が一緒だった
↑フルートの原型?
・ガーベラ家に連なる人に修復してもらった
※ガーベラ先輩とは相談済
※歴史的価値は損なっていないはず
・演奏してもらって初めて魔道具だと発覚
・奏者がデューイ君だったのは偶然
↑折角なら音楽の神童にと頼んだだけ、他意無し
・条件が揃えば誰でも使えるはず。
魔道具とはそういうもの。
↑但し条件が揃っている人が他に学園にいない
=未確認
…と、こんな感じかな…」
するとデューイ君から質問が出た。
「どうして古龍の墓で発見したことになったんですか?」
「うん、夏休みに古龍の墓へ行ったから…なんだけど、そうだよね、何故そこにあったのか、か…。
吟遊詩人っていう古の職業に絡めてみる?」
「でも、フルートだと吟じられないので…」
「あ~なるほど、そりゃそうだ。
んじゃ何か音楽関係で都合のいい話が考古学あたりに落ちてないか調べてくるよ」
「こ、考古学、ですか?魔法の話なのに…」
「ん~~、歴史学あたりかもしんないな、属性魔法が生まれた後も暫くは古代魔法は使われてたから…その辺の、となると宗教学もありか…宗教学にあれば盾との兼ね合いもあるし後々…よし、宗教学で探そう」
「そんなんで良いんですか!?」
「正しい情報を選んでつなぎ合わせてでっち上げるのは、似非論文の基本だよ」
そうやって出来た似非科学に似非医療、前世でなんぼでも流行っとったがな。
こちとらお手の物やで!
ちなみにデトックスも俺が知る限りではエビデンスが無かった記憶がある。
だからすげー申し訳ない気分なんだよね…。
何でその名前にしたのかなあ、疲労回復。
「ま、そういうわけだから、どんどん気になるところ言ってみて」
「は…はあ…」
「あ、カイト君も疑問出しに参加してね」
「お…おう…」
2人とも困惑気味だけど、本格的に隠すなら仕方ない。
魔法馬鹿たちにはこのことに納得がいかないみたいで、ずっとブツブツ言っているけど。
「…今までの実績に傷が付くがの…」
「そもそも今まで実績があったのがおかしいんですから、大丈夫ですよ」
「…でも」
「そのうち真実を発表しなきゃならなくなったら…事情の説明は、トレッドさんとこの新聞で、独占インタビューをお願いしようかな?ま、うまくやりますよ、その辺は」
「…そう、ですか…」
確かに、学術的な交流会を主催したりすることも今後業務に入ってくるなら、その会の格を落としてしまう事にもなりかねない行為だ。
でも…。
強引にでもこの話は隠し通すしかない。
素敵な特殊効果が出る笛なんですよ~程度に話が収まるのならそれが一番だけど…
「あの公演を見る人が見れば、演奏を聞いた人々のボルテージを上げる効果がこの笛にあるようにも見えるでしょう?
現に魔法総合のメンバーはその可能性に気づいていました。
魔フルートの軍事転用を考える人は必ず現れます。
複製できると分かれば尚の事…。
でもこの笛1本だけが特殊ということであれば、拡散は防げます。
当然、複製できる可能性のある人も守られます。
それでもこの笛の複製を企む国は出るでしょうが、この笛を厳重に管理することである程度防げます」
「うむ…確かに、そうじゃな」
「それに、こんな素敵な演奏ができる笛を表に出せないんじゃ…もったいないですしね!」
「……ルースさん!!」
デューイ君がいきなり俺に抱き着いてきた。
俺もしっかりハグし返した…かったけど、
「…!」
「…。」
約2名、すごい顔をしてこっちを睨んでいたので空気を読んだ。
…この程度でそんな嫉妬する?
友情の範囲内やで!?
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