246 / 586
学園4年目
なぜうちに泊まる 3
しおりを挟む
宮中晩餐会が終わってすぐにサロン室へ連れていかれ、話し込んでいるうちにクリビアさんちのお子様2人はすっかりおねむ。
話はまた明日ということで一旦解散となった。
俺と殿下はうちにお泊りする(している)人たちと一緒にユーフォルビア邸へ。
数人の使用人さんと料理人さんはすでに出発しており、俺たちが家へ着いたときには王宮の使用人さんたちをバックに、執事リチャードがしょぼん…と玄関に佇んでいた。
「お部屋の準備は完璧になりました…。
屋敷もすっかり綺麗になり…不甲斐ない…」
リチャードさんは自分の仕事が甘かったと猛省しているらしく、すっかりしょげ返っている。
「そんな落ち込まなくても大丈夫だよ、王宮で働く人はその道でトップクラスの人ばっかりなんだからさ」
「ですが…」
「良いんだって、その代わりリチャードさんはユーフォルビア特化型の執事なんだからさ。
いい機会だし少し休ませてもらいなよ!
俺が帰って来てから働きづめだもん。
先にお風呂使っていいから…」
すると殿下が俺に聞いた。
「お前の家では、執事と主人が同じ風呂を使っているのか?」
「そうですよ?」
だって人を雇うなんて長らく無かった家だもの。
「客人用の浴室は?」
「それも無いですね」
たとえそんな場所があったとしても、今や「執事と庭師の部屋」以外は全部子ども部屋と物置に変貌している。
何せ歴代でぶっちぎりの子どもの多さだから…。
「つまり、学園の寮と変わらんという事か」
「そうですね、言われてみれば」
ごはんと風呂を用意してくれるぶん、寮のほうが豪華とも言える…あーでも実家は1人部屋だからな~。
どっちが豪華か甲乙つけがたいかも。
「…組立式シャワールームを早急に開発しろ」
「えっ、何ですか急に?」
「皆に風呂の時間を配分していたら、お前とゆっくり風呂に入れんではないか」
「ふぇっ…!」
こ、子どものお客様がいるのになんてこと!!
「一体何の問題がある?
婚約者同士は仲睦まじくするのが普通だ」
「そ、そ、それは…そう、ですけど」
「ならば良いな?
おいリチャード、俺たちの部屋はどこだ」
「あ、はい、ただいま!!」
慌てて俺と殿下を案内するリチャードさん。
どうやら父さんたちの寝室を使う事になるようだ…
「こちらは当屋敷で最も壁の厚いお部屋でございます」
「えっ、リチャードさん!!?」
「ほう、なるほど…ああルース、心配するな。
マットレスもシーツも王宮から運ばせてあるものだ。
何をしようが証拠は残らん」
「!!!」
「では、これにて失礼致します」
…………。
「さて、風呂に入る前にひと汗かいておくか」
「はいっ!?」
待って!
行かないで執事リチャード!
ルース坊ちゃまは大ピンチですぞ!!
話はまた明日ということで一旦解散となった。
俺と殿下はうちにお泊りする(している)人たちと一緒にユーフォルビア邸へ。
数人の使用人さんと料理人さんはすでに出発しており、俺たちが家へ着いたときには王宮の使用人さんたちをバックに、執事リチャードがしょぼん…と玄関に佇んでいた。
「お部屋の準備は完璧になりました…。
屋敷もすっかり綺麗になり…不甲斐ない…」
リチャードさんは自分の仕事が甘かったと猛省しているらしく、すっかりしょげ返っている。
「そんな落ち込まなくても大丈夫だよ、王宮で働く人はその道でトップクラスの人ばっかりなんだからさ」
「ですが…」
「良いんだって、その代わりリチャードさんはユーフォルビア特化型の執事なんだからさ。
いい機会だし少し休ませてもらいなよ!
俺が帰って来てから働きづめだもん。
先にお風呂使っていいから…」
すると殿下が俺に聞いた。
「お前の家では、執事と主人が同じ風呂を使っているのか?」
「そうですよ?」
だって人を雇うなんて長らく無かった家だもの。
「客人用の浴室は?」
「それも無いですね」
たとえそんな場所があったとしても、今や「執事と庭師の部屋」以外は全部子ども部屋と物置に変貌している。
何せ歴代でぶっちぎりの子どもの多さだから…。
「つまり、学園の寮と変わらんという事か」
「そうですね、言われてみれば」
ごはんと風呂を用意してくれるぶん、寮のほうが豪華とも言える…あーでも実家は1人部屋だからな~。
どっちが豪華か甲乙つけがたいかも。
「…組立式シャワールームを早急に開発しろ」
「えっ、何ですか急に?」
「皆に風呂の時間を配分していたら、お前とゆっくり風呂に入れんではないか」
「ふぇっ…!」
こ、子どものお客様がいるのになんてこと!!
「一体何の問題がある?
婚約者同士は仲睦まじくするのが普通だ」
「そ、そ、それは…そう、ですけど」
「ならば良いな?
おいリチャード、俺たちの部屋はどこだ」
「あ、はい、ただいま!!」
慌てて俺と殿下を案内するリチャードさん。
どうやら父さんたちの寝室を使う事になるようだ…
「こちらは当屋敷で最も壁の厚いお部屋でございます」
「えっ、リチャードさん!!?」
「ほう、なるほど…ああルース、心配するな。
マットレスもシーツも王宮から運ばせてあるものだ。
何をしようが証拠は残らん」
「!!!」
「では、これにて失礼致します」
…………。
「さて、風呂に入る前にひと汗かいておくか」
「はいっ!?」
待って!
行かないで執事リチャード!
ルース坊ちゃまは大ピンチですぞ!!
24
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々
慎
BL
SECRET OF THE WORLD シリーズ《僕の名前はクリフェイド・シュバルク。僕は今、憂鬱すぎて溜め息ついている。なぜ、こうなったのか…。
※シリーズごとに章で分けています。
※タイトル変えました。
トラブル体質の主人公が巻き込み巻き込まれ…の問題ばかりを起こし、周囲を振り回す物語です。シリアスとコメディと半々くらいです。
ファンタジー含みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる