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学園4年目

本当に先生 ~魔法馬鹿4人組~

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「全く、急に薬学だ何だと…困ったのう」
ロス・リザードテール教授…本名はカルロス・ローズ前国王…が言った。

「いよいようちの研究室からルース先生の足が遠のいちゃうじゃない!」
エルグラン王子も不満たらたらである。

「殿下の婚約者になったんだから、教授に言って空き時間に寮まで家庭教師に来てもらえばいいのに」
ヘザーも完全にあきれ顔だ。

「変なところで「普通」を発揮するんだから…。そういうところが自覚が足りないって言ってるのに!」
カートに至っては怒ってさえいる。

ただその態度が変に取り入ろうとする人間を排除している部分もあり、悪い事ではないのだが…婚約者という立場を一切利用しないのも困るのだ。
誰が困るのかと言うと、そこらじゅうの研究室…主に魔法関連の研究室は昨年度「何の授業も採らない状態のルース」に慣れきっており、授業時間にスケジュールが開けられない状態に大反対している。

「砂漠でのサンドワーム退治の話は!?」
「身体強化魔法を探すんじゃなかったのか!?」
「魔石合成は?光魔法の魔道具の話は!?」

弱小研究室の3教授で残り少ない時間を奪い合い、

「各種属性を掛け合わせる実験をせっかくしてきたのだぞ!」
「全くだ、雷属性に新しい可能性が出てきたというのに」
「無詠唱だってまだセドだけしか出来てないのに」
「来たるべき砂漠戦に備えて、風属性をもっと追及しなきゃ駄目だと思うんだけどなあ」
「新しい光属性の魔法を開発したって聞きましたが…とても気になります」

強豪研究室の5教授でさらに少ない時間を奪い合い…

「王室に入られるのですから、政治経済は当然ですな…はっはっは」
「経営にも興味がおありとは…これは各商会との連携を深めるためでしょうかな?さすがですな~」

急に降って湧いたチャンスに喜ぶ教授もいれば、困った教授も出てきて、

「歴史学に新しい視点が見えたところなのに!」
「自然工学と魔石工学の連携はどうなる!?」
「言語学は履修届コレにねじ込みましたぞ」
「何だと、じゃあうちもだ」「うちも!」

授業が本人の意志ではないところで増えていく。

「ようやく薬学にも、チャンスが…!」

と喜んだ薬学教授も、

「簡単に授業に出すと思うなよ」

と、絶対に教育者が言ってはならない言葉でそこかしこから圧をかけられる。
スケジュール管理担当のアレク、最もルースに影響力のありそうな殿下とその次に影響力のありそうなアナガリス兄弟も巻き込んで、時間割会議は紛糾することになった…

・・・

カートがぼやく。
「結果的に、そこらじゅうに迷惑かけてるのが分からないのかなあ…」
エルグラン王子も考え込む。
「困りましたね、あと授業の空きは2枠…ですか…
 ……そうだ!!」
「お、何か良い案でもあるのか?」
「授業を採る時は、絶対に魔法も武術も1つは選択しないといけないってルール、ありましたよね」
「お、おお…そうじゃ。だから2年生のとき剣術教練を仕方なく……なるほど?」
「え、それじゃ魔法関連で1枠を争う事に…あっそうか、ルース「先生」だ!!」
「なるほど、ルース「先生」…なら、1枠確実にうちで押さえられる!」
「でしょう?ね、ジョン。この時間枠で、入れられそうな武術棟の授業は?」

それが、皮肉にも剣術上級だったのは…

「アルファード殿下にもご協力頂けそうですね」
「あっそうか、殿下は元々履修可能ですもんね」
「それなら急に上級でも、周囲を欺けますね!」
「久々の同じ授業…喰いつく事間違いなしじゃ」

神の采配だったのかもしれない?


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