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学園3年目
婚前旅行 2 ~カイト視点~
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俺は朝早く、1人で港を散策していた。
同じ部屋のゴード先輩はまだ寝てる…合流が遅かったからなあ。
楽しみすぎて早起きしてしまうなんて、子どもみたいで恥ずかしいな…なんて思っていたら、前のほうから声が聞こえた。
「船で外国なんて…初めてです!」
「僕は海をみるのも初めて…綺麗だね」
「そうですね…。ねえ、ヘザー先輩!ルースさんに着いてきて…良かったですね」
「…うん、そうだね。それで、こうして…カートと一緒に、海を見られた」
「そして船旅!
……ね、いつか2人きりで…行きましょうね」
ヘザー先輩とカートが手を繋いで散歩していた。
この甘~い雰囲気は、多分デートだ。
そっとしておこう。
さてと方向転換して…っと、こっちのほうからも知った声が聞こえるな。
「本当にジョンは色んな場所を知ってるね」
「十何年と冒険者をしていると、色々な所からお声が掛かるというだけのことで…」
「そっか…。ね、ジョン。ルース先生の言う通り、やっぱりジョンはSランク冒険者だよ!」
「そう…か?」
「そうだよ!色んな人がそれだけジョンを頼りにしてるってことだし、色んな人がジョンの事…強い冒険者だって認めてるって、ことだもの」
「…そうか」
「うん…そう、だよ」
咄嗟に物陰に隠れて2人をやり過ごす。
甘い…蜂蜜を煮詰めたぐらい甘い…。あいつら絶対チューするじゃん!
何ならその後、物陰に隠れて…
って、やっば。
こんなとこで鉢合わせになったらクソ気まずい。
ちっ、こうなったらあっちの樽の影へ即移動だ。
風魔法拳覚えてて良かった。
ちっちゃい声で…
「足の裏ウィンド!」ぶわっ!ビュン!
…っしゃ、移動完了。
~~っと、どっち行こうかな…
あっちは、ヘザーとカートだろ。
こっちはエル王子とジョンさん。
じゃあもう上しかないか…風魔法拳覚えてて本当に良かった。
「足の裏トルネード!」ぶわぁ!ぴょーーーーん!
倉庫の屋根の上に飛び上がって、コソコソ…と伝いながら向こうの通りへ抜ける。
「ふ~、危機一髪」
何か疲れたし、もう大人しく宿へ戻ろっかな…
と、思ったら。
「…それで早く起きちゃったんですか?」
「…うん…」
おいおい、また見知った顔がやってくるよ…
まあ、あの2人は特に恋人同士ってことは無いから気に…気に…
よし、隠れよ。
「大丈夫ですよ、次はあんな事起きないように調査に行くんでしょう?」
「うん、でも…また、ルースに何かあったら」
「殿下が黙っていないでしょうね」
「そ、それは…もちろん、だけど、その」
「でも殿下はルースが調査に行くことを許した」
「…うん」
「つまり、ルースと殿下には勝算があるんです。
そして、その計算の中にはきっと…ソラン先輩のことも入っていますよ」
「ええ!?あ、う~…そ、そう、かな…」
「ルースが「盾」職を思い浮かべた時にね、真っ先に頭の中に浮かんだのが先輩だったんですって」
「えっ!!」
「……盾を武術棟で練習してるの、知ってますよ」
「…………うん」
「ですから、俺「先輩の為に」最高の盾を仕入れて持ってきましたから……ね?」
「えっ!?え、あ…そ、そんな、僕…どうしたら」
「ああ、それは…お金以外でお支払い頂ければ」
「ふぁっ!?な、なにを、急に」
「じゃあ頭金分、早速頂きますね」
「え?あ、ちょ、まっ~~~!?」
あっえっ………えっ?
待って待っていきなり俺何見ちゃってんの?
えっ、イドラとソラン先輩っていつの間にそういう仲なん!?え、何きっかけよ?
……マジでどういう事なの?
何組カップルあるの、この団体!?
俺とケンタウレア師と前国王教授は無いから…あと、ゴード先輩と、カレンデュラ師だろ、それからモローと、あっちに着いたらアレクさんとアナガリス兄弟だろ、それとコリアス商会のノースさんに…
「…まさか、ねえ」
俺以外の全員が、実はもう誰かとお付き合いしてたらショックだな…
いや、そんなことあるわけない、ない。
「…にしても長いな」
早く終わってどっか行ってくんないかな…
俺、宿に帰れないじゃん。
はー…。
同じ部屋のゴード先輩はまだ寝てる…合流が遅かったからなあ。
楽しみすぎて早起きしてしまうなんて、子どもみたいで恥ずかしいな…なんて思っていたら、前のほうから声が聞こえた。
「船で外国なんて…初めてです!」
「僕は海をみるのも初めて…綺麗だね」
「そうですね…。ねえ、ヘザー先輩!ルースさんに着いてきて…良かったですね」
「…うん、そうだね。それで、こうして…カートと一緒に、海を見られた」
「そして船旅!
……ね、いつか2人きりで…行きましょうね」
ヘザー先輩とカートが手を繋いで散歩していた。
この甘~い雰囲気は、多分デートだ。
そっとしておこう。
さてと方向転換して…っと、こっちのほうからも知った声が聞こえるな。
「本当にジョンは色んな場所を知ってるね」
「十何年と冒険者をしていると、色々な所からお声が掛かるというだけのことで…」
「そっか…。ね、ジョン。ルース先生の言う通り、やっぱりジョンはSランク冒険者だよ!」
「そう…か?」
「そうだよ!色んな人がそれだけジョンを頼りにしてるってことだし、色んな人がジョンの事…強い冒険者だって認めてるって、ことだもの」
「…そうか」
「うん…そう、だよ」
咄嗟に物陰に隠れて2人をやり過ごす。
甘い…蜂蜜を煮詰めたぐらい甘い…。あいつら絶対チューするじゃん!
何ならその後、物陰に隠れて…
って、やっば。
こんなとこで鉢合わせになったらクソ気まずい。
ちっ、こうなったらあっちの樽の影へ即移動だ。
風魔法拳覚えてて良かった。
ちっちゃい声で…
「足の裏ウィンド!」ぶわっ!ビュン!
…っしゃ、移動完了。
~~っと、どっち行こうかな…
あっちは、ヘザーとカートだろ。
こっちはエル王子とジョンさん。
じゃあもう上しかないか…風魔法拳覚えてて本当に良かった。
「足の裏トルネード!」ぶわぁ!ぴょーーーーん!
倉庫の屋根の上に飛び上がって、コソコソ…と伝いながら向こうの通りへ抜ける。
「ふ~、危機一髪」
何か疲れたし、もう大人しく宿へ戻ろっかな…
と、思ったら。
「…それで早く起きちゃったんですか?」
「…うん…」
おいおい、また見知った顔がやってくるよ…
まあ、あの2人は特に恋人同士ってことは無いから気に…気に…
よし、隠れよ。
「大丈夫ですよ、次はあんな事起きないように調査に行くんでしょう?」
「うん、でも…また、ルースに何かあったら」
「殿下が黙っていないでしょうね」
「そ、それは…もちろん、だけど、その」
「でも殿下はルースが調査に行くことを許した」
「…うん」
「つまり、ルースと殿下には勝算があるんです。
そして、その計算の中にはきっと…ソラン先輩のことも入っていますよ」
「ええ!?あ、う~…そ、そう、かな…」
「ルースが「盾」職を思い浮かべた時にね、真っ先に頭の中に浮かんだのが先輩だったんですって」
「えっ!!」
「……盾を武術棟で練習してるの、知ってますよ」
「…………うん」
「ですから、俺「先輩の為に」最高の盾を仕入れて持ってきましたから……ね?」
「えっ!?え、あ…そ、そんな、僕…どうしたら」
「ああ、それは…お金以外でお支払い頂ければ」
「ふぁっ!?な、なにを、急に」
「じゃあ頭金分、早速頂きますね」
「え?あ、ちょ、まっ~~~!?」
あっえっ………えっ?
待って待っていきなり俺何見ちゃってんの?
えっ、イドラとソラン先輩っていつの間にそういう仲なん!?え、何きっかけよ?
……マジでどういう事なの?
何組カップルあるの、この団体!?
俺とケンタウレア師と前国王教授は無いから…あと、ゴード先輩と、カレンデュラ師だろ、それからモローと、あっちに着いたらアレクさんとアナガリス兄弟だろ、それとコリアス商会のノースさんに…
「…まさか、ねえ」
俺以外の全員が、実はもう誰かとお付き合いしてたらショックだな…
いや、そんなことあるわけない、ない。
「…にしても長いな」
早く終わってどっか行ってくんないかな…
俺、宿に帰れないじゃん。
はー…。
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