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学園3年目
身近にいるSランク 2
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ジョンさんの同意を得られたので、このままランクアップシステムの草案について話し合うことに。
タイミングよく魔法総合研究室を訪ねてきたソラン先輩を捕まえ、話に加わって貰う。
「まずは、ランク分けなんですが、あまり細かくしても自由度が下がるのでまずは6段階で考えたいかと」
「ほう、どう6つに分けるんだ?」
「まずはビギナー。冒険者登録したての状態です。いくつかの依頼を受けつつ、まず3か月生き延びたらDランクに昇格します」
「ビギナー…初心者、ということか」
ふむふむ、とジョンさんが頷く。
ソラン先輩とエルさまも頷く。
「で、この3か月の間に冒険の心得とか野宿の仕方とか、最低限の技能と魔生物の基礎知識を身に付けてもらって」
「なるほど、Dランクになった時点で、冒険者っぽく振舞えるようになるんだな」
「はい、パーティーを組んでダンジョンに行くのも可…にするには、ズブの素人では困るかと」
「まあ、確かにな」
「それで、Dランク以上の依頼をいくつか受けて成功させたらCランク、CランクになったらまたCランク以上の依頼をいくつか受けて成功させたらBランク…と上がっていって、Aランクになったら自由…つまり、今までの冒険者と同じ生き方ができるようになります」
「つまり、Aランクが最高到達点?」
「先生、6段階って言ってませんでした?」
「ああ、Aの上にSランクを設定しようかと」
「ほう?」
俺はソラン先輩に尋ねる。
「現状、最強の魔生物となると何になるんです?」
「魔物ならドラゴン、魔獣ならフェンリルかな…」
「はー、なるほど」
「俺もドラゴンと戦った事は無いな…。遠目に見たことはあるんだが」
「何と!いつ!?どこで見たんです!?」
「あれは15の時だから…クレピスの山奥だ」
「あの山岳国家の山奥…相当ですね」
「俺はそこの生まれでな。
そのドラゴンを見た時に、いつかあれを倒せる男になりたいと思って冒険者になったんだ」
なるほど、竜殺しってやつに憧れたんですね。
わかります。
「ドラゴンを倒すっていう依頼はあるんですか?」
「無い。ドラゴンの死骸を探す依頼はあるが」
「倒すっていうのはほぼ不可能?」
「そもそもドラゴンを倒せるほどの装備を抱えていけるようなところに彼らは棲んでいないし、人間を襲いに出てきたこともないらしい。死ぬときには棲み処を離れるそうだが…」
「伝説の生き物ですし、個体数も少ないと聞きますからね」
「はー、なるほど。じゃあフェンリルは?」
「フェンリルのほうは時々討伐の依頼が出るぞ。ただ単独で挑むものでは無いな…最低でも4人はいないと」
すると、ソラン先輩が驚きのあまり立ち上がって言った。
「ええ!?4人で倒せるんですか!?」
ジョンさんは涼しい顔で言った。
「ああ、上位の光魔法使いがいれば何とかなる」
いや、あなたがいるから何とかなったんでは?
「…ジョンさんはフェンリルを討伐したことが?」
「まあ、3回程…剣士が足りんからと誘われてな」
どういう誘い方だよ、素直に誘えよ。
つーか3回出て3回とも倒したのか…
すげーな。
「じゃあ「フェンリルを倒す」のがAランクになるための最後の試練…で良さそうですね」
「うむ、それでいいんじゃないか?フェンリルはわりとどこの国でも出るからな」
「問題はビギナーからBまで…そういえば、スライムって物理攻撃じゃ倒せないでしょ?剣士が冒険者になって最初に戦うのは何なんですか?」
「ネズミか蝙蝠か蟻だな…場所にもよるが」
「ラット・ラットかブラッディバットかキラーアントですね」
ソラン先輩が正しい名称で言い直す。
んもう…細かいんだから。
「魔法使いは大体スライムからスタートなのかな…」
「まあローザンヌ地域だけならそうじゃない?」
「じゃあ今回はローズ国内だけで考えればいいから、そこからスタートですね」
まあ、細かい部分は後日でもいいかな…。
ちくちくメモをしているところへ、思い出したようにジョンさんが聞いてきた。
「ところでSランクになる条件は?」
「Aランクの依頼をいくつか成功させて、かつ人品に問題が無く、ダンジョンに詳しくて魔生物への知識も豊富な方をS…みたいな」
「人品も見るのか?それに知識も?」
「みんなが尊敬するような存在の方だけをSランクにしないと、上を目指したいと思わなくないですか?」
「なるほど、それこそ「英雄」レベルってことか」
「あ~そうか、「英雄」さんがいたか…じゃあ7段階にして「別格」ランクを作ろう」
すると、エルさまが俺に質問した。
「ところでルース先生の中でSランクって誰なんですか?」
「ああ、ジョンさんですね」
すると、ジョンさんが驚いた顔で俺を見た。
「は?」
は?じゃないんですよ。
どう考えてもあなたですけど?
「フェンリルを3回討伐して魔物の大発生で活躍して爵位貰って一国の王子と結ばれようって人間がSランクでなきゃおかしいでしょうよ」
「待ってくれ!俺は、そんな凄い人間では…」
「…」「…」「…」
う~わ~。
ここにも自覚の無い人おったで!!
タイミングよく魔法総合研究室を訪ねてきたソラン先輩を捕まえ、話に加わって貰う。
「まずは、ランク分けなんですが、あまり細かくしても自由度が下がるのでまずは6段階で考えたいかと」
「ほう、どう6つに分けるんだ?」
「まずはビギナー。冒険者登録したての状態です。いくつかの依頼を受けつつ、まず3か月生き延びたらDランクに昇格します」
「ビギナー…初心者、ということか」
ふむふむ、とジョンさんが頷く。
ソラン先輩とエルさまも頷く。
「で、この3か月の間に冒険の心得とか野宿の仕方とか、最低限の技能と魔生物の基礎知識を身に付けてもらって」
「なるほど、Dランクになった時点で、冒険者っぽく振舞えるようになるんだな」
「はい、パーティーを組んでダンジョンに行くのも可…にするには、ズブの素人では困るかと」
「まあ、確かにな」
「それで、Dランク以上の依頼をいくつか受けて成功させたらCランク、CランクになったらまたCランク以上の依頼をいくつか受けて成功させたらBランク…と上がっていって、Aランクになったら自由…つまり、今までの冒険者と同じ生き方ができるようになります」
「つまり、Aランクが最高到達点?」
「先生、6段階って言ってませんでした?」
「ああ、Aの上にSランクを設定しようかと」
「ほう?」
俺はソラン先輩に尋ねる。
「現状、最強の魔生物となると何になるんです?」
「魔物ならドラゴン、魔獣ならフェンリルかな…」
「はー、なるほど」
「俺もドラゴンと戦った事は無いな…。遠目に見たことはあるんだが」
「何と!いつ!?どこで見たんです!?」
「あれは15の時だから…クレピスの山奥だ」
「あの山岳国家の山奥…相当ですね」
「俺はそこの生まれでな。
そのドラゴンを見た時に、いつかあれを倒せる男になりたいと思って冒険者になったんだ」
なるほど、竜殺しってやつに憧れたんですね。
わかります。
「ドラゴンを倒すっていう依頼はあるんですか?」
「無い。ドラゴンの死骸を探す依頼はあるが」
「倒すっていうのはほぼ不可能?」
「そもそもドラゴンを倒せるほどの装備を抱えていけるようなところに彼らは棲んでいないし、人間を襲いに出てきたこともないらしい。死ぬときには棲み処を離れるそうだが…」
「伝説の生き物ですし、個体数も少ないと聞きますからね」
「はー、なるほど。じゃあフェンリルは?」
「フェンリルのほうは時々討伐の依頼が出るぞ。ただ単独で挑むものでは無いな…最低でも4人はいないと」
すると、ソラン先輩が驚きのあまり立ち上がって言った。
「ええ!?4人で倒せるんですか!?」
ジョンさんは涼しい顔で言った。
「ああ、上位の光魔法使いがいれば何とかなる」
いや、あなたがいるから何とかなったんでは?
「…ジョンさんはフェンリルを討伐したことが?」
「まあ、3回程…剣士が足りんからと誘われてな」
どういう誘い方だよ、素直に誘えよ。
つーか3回出て3回とも倒したのか…
すげーな。
「じゃあ「フェンリルを倒す」のがAランクになるための最後の試練…で良さそうですね」
「うむ、それでいいんじゃないか?フェンリルはわりとどこの国でも出るからな」
「問題はビギナーからBまで…そういえば、スライムって物理攻撃じゃ倒せないでしょ?剣士が冒険者になって最初に戦うのは何なんですか?」
「ネズミか蝙蝠か蟻だな…場所にもよるが」
「ラット・ラットかブラッディバットかキラーアントですね」
ソラン先輩が正しい名称で言い直す。
んもう…細かいんだから。
「魔法使いは大体スライムからスタートなのかな…」
「まあローザンヌ地域だけならそうじゃない?」
「じゃあ今回はローズ国内だけで考えればいいから、そこからスタートですね」
まあ、細かい部分は後日でもいいかな…。
ちくちくメモをしているところへ、思い出したようにジョンさんが聞いてきた。
「ところでSランクになる条件は?」
「Aランクの依頼をいくつか成功させて、かつ人品に問題が無く、ダンジョンに詳しくて魔生物への知識も豊富な方をS…みたいな」
「人品も見るのか?それに知識も?」
「みんなが尊敬するような存在の方だけをSランクにしないと、上を目指したいと思わなくないですか?」
「なるほど、それこそ「英雄」レベルってことか」
「あ~そうか、「英雄」さんがいたか…じゃあ7段階にして「別格」ランクを作ろう」
すると、エルさまが俺に質問した。
「ところでルース先生の中でSランクって誰なんですか?」
「ああ、ジョンさんですね」
すると、ジョンさんが驚いた顔で俺を見た。
「は?」
は?じゃないんですよ。
どう考えてもあなたですけど?
「フェンリルを3回討伐して魔物の大発生で活躍して爵位貰って一国の王子と結ばれようって人間がSランクでなきゃおかしいでしょうよ」
「待ってくれ!俺は、そんな凄い人間では…」
「…」「…」「…」
う~わ~。
ここにも自覚の無い人おったで!!
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