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学園3年目
執事と庭師の秘密
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学園から丸一日かけて実家へ帰省。
3年ぶりの我が家は、庭も建物もちゃんと手入れが行き届いていて、ユーフォルビア家の人間がいつでも帰って来られるように整えられていた。
うちの執事と庭師は2人とも優秀なんだなあ。
実家にいたときは深く考えたこと無かったけど、昼間には2人で逢引…と、言っておこう…ができるくらいには仕事を片付けるスピードが早かったんだよな。
うん、えらい!
俺は少し感動しながら実家の門をくぐった。
「お帰りなさいませルース様」
執事と庭師が揃ってお出迎え。
何故か神妙な顔つきの2人。
何かあった?
「ただいま戻りました。
すみません、長いことおふたりに屋敷を任せっぱなしにしてしまって…」
「っあ、いや、それは、全然。な、リチャード」
「そ…そうです、それが私どもの仕事ですから」
いやいや、お給金だけあげて放ったらかしはさすがにまずかろう…時々手紙を出すことにしよう。
俺は2人と話をするためにダイニングへ移動した。
「それで、手紙の件なんだけど…」
「は、その、新しいサービスの指導役、ですよね」
「ユーフォルビア、の、やつですよね」
2人は緊張した面持ちで俺を見る。
「そうなんだ…あ、でも無理にじゃなくて、嫌だったら嫌って言ってほしいんだけど!」
外でアンアンやってんだから大丈夫だろ…なんて思ってたけど、よくよく考えたら俺が前世のエロ動画による知見を元に「ユーフォルビアの性技」を創作して、あとは2人で試行錯誤して完成させてくれって事は…
「お前らヤりまくれ」って事で。
これ超絶怒涛のセクシャルハラスメントだよね?
訴えられたら30000%負けるやつ。
「こんなの執事や庭師に頼む仕事じゃないんだけど、他に頼めそうな人がいなくて…」
申し訳ない、と俺は重ねて言う。
「やっぱり駄目…ですよね…」
すると庭師は緊張と諦念を混ぜた顔で俺に言った。
「……やらせて、頂きます」
「トリエステ…!?」
「元々それが目的で…ここに来たのですから」
「と、トリエステ!それは、」
「……いつかはバレる、分かっていたことじゃないか、リチャード……。」
うん?どういう展開?
何か隠してるのか?
目的…?
なんのこっちゃ。
「話を、聞いても?」
2人は顔を見合わせ、観念したように話し始めた。
・・・・・・
そもそも2人がこの家に来たのは、とある色街のボスからの命令だったそうだ。
そのボスは、他の色街との差をつけるためにサービスの幅を拡げたいと考え、あれこれとやってはみたけど上手くいかなくて…。
そこで、その界隈でまことしやかに囁かれる伝説「ユーフォルビアの性技」を手に入れるために2人をこの屋敷に潜入させたのだ、という。
「でも、このお屋敷には元々使用人がいなくて」
「雇うお金が無いからって、断られて」
「安くてもいいから雇って欲しいって、何度も何度も頼みました」
「そしたら、ロイ様が『そんなに言うなら雇ってあげたら』って、言ってくれて…ゼフ様も、仕方無いなって、言って、雇ってくれました」
それが、丁度俺が産まれる直前だったそうだ。
「まずは信頼して貰えるように、一生懸命働いて」
「少しずつ、管理を任される事も増えて」
「庭の管理も、俺一人でやらせてもらえるようになって。それで、旦那様方のお部屋から死角になる場所を確保するために生垣を作って…」
あっ、そういうことか!
家には常にユーフォルビア家の人間がいるから…
隠れるならむしろ外、だったのか。
「…まさかルース坊ちゃまに見られていたなんて」
でしょうね!
「で、目的のものはあった?」
「…はい、あれはこの屋敷に来て5年目のことでございました…」
えっ?あったの!?
「ルース坊ちゃまがそろそろ魔法に興味を持ち始めているから、書庫から初心者向けの魔法書を出してきて欲しいと…鍵をお預かり致しました」
「ああ、うん」
「それで、図書室の棚に並べておくように…と。
そこで見つけたのです、閨の書、を…」
ああ、閨教育の本ね。
「ちょうど4番目のノース坊ちゃまと5番目のトーレス坊ちゃまの閨教育が始まった頃で…図書室の棚に、入っていたのです、魔法書と一緒に」
「どっちかがうっかり一緒に返しちゃったんだな」
「それで、その本をこっそり拝借しまして…」
そこから、2人で本の内容を体で覚えるために、生垣の裏で逢引してはそういう行為に及んでいた、と。
「本は、トーレス坊ちゃまがお探しになられていた時にお返し致しましたが、他にも何かあるはずだ…と、書庫に行く度に探しまして…、その、ルース坊ちゃまが魔法書を次々にお読みになられてしまい、次を次をとせがまれるので、週に何度も書庫へ行くようになり、そこでゼフ様が私に書庫の鍵の管理もお任せ下さるようになりましたので…」
「…それで、時々書庫へ行っては探してた、と」
「…はい」
「で、見つけたんですね?」
「はい、魔法書の棚とは別の棚に、堂々と」
「堂々と」
うぉーい、まさかの隠す気NOTHING!?
伝説の秘奥義的なもんじゃなかったの!?
そもそもあったことにもびっくりだけど!!
「…んで、時々父さんたちの目を盗んではあそこで研究をしていた…ということ、か、な…?」
「「申し訳ございません!!」」
はー、なるほど。
毎日のように2人がアンアンしてたのは、そういう理由が…って、なんつーオチだよ、これ!!
3年ぶりの我が家は、庭も建物もちゃんと手入れが行き届いていて、ユーフォルビア家の人間がいつでも帰って来られるように整えられていた。
うちの執事と庭師は2人とも優秀なんだなあ。
実家にいたときは深く考えたこと無かったけど、昼間には2人で逢引…と、言っておこう…ができるくらいには仕事を片付けるスピードが早かったんだよな。
うん、えらい!
俺は少し感動しながら実家の門をくぐった。
「お帰りなさいませルース様」
執事と庭師が揃ってお出迎え。
何故か神妙な顔つきの2人。
何かあった?
「ただいま戻りました。
すみません、長いことおふたりに屋敷を任せっぱなしにしてしまって…」
「っあ、いや、それは、全然。な、リチャード」
「そ…そうです、それが私どもの仕事ですから」
いやいや、お給金だけあげて放ったらかしはさすがにまずかろう…時々手紙を出すことにしよう。
俺は2人と話をするためにダイニングへ移動した。
「それで、手紙の件なんだけど…」
「は、その、新しいサービスの指導役、ですよね」
「ユーフォルビア、の、やつですよね」
2人は緊張した面持ちで俺を見る。
「そうなんだ…あ、でも無理にじゃなくて、嫌だったら嫌って言ってほしいんだけど!」
外でアンアンやってんだから大丈夫だろ…なんて思ってたけど、よくよく考えたら俺が前世のエロ動画による知見を元に「ユーフォルビアの性技」を創作して、あとは2人で試行錯誤して完成させてくれって事は…
「お前らヤりまくれ」って事で。
これ超絶怒涛のセクシャルハラスメントだよね?
訴えられたら30000%負けるやつ。
「こんなの執事や庭師に頼む仕事じゃないんだけど、他に頼めそうな人がいなくて…」
申し訳ない、と俺は重ねて言う。
「やっぱり駄目…ですよね…」
すると庭師は緊張と諦念を混ぜた顔で俺に言った。
「……やらせて、頂きます」
「トリエステ…!?」
「元々それが目的で…ここに来たのですから」
「と、トリエステ!それは、」
「……いつかはバレる、分かっていたことじゃないか、リチャード……。」
うん?どういう展開?
何か隠してるのか?
目的…?
なんのこっちゃ。
「話を、聞いても?」
2人は顔を見合わせ、観念したように話し始めた。
・・・・・・
そもそも2人がこの家に来たのは、とある色街のボスからの命令だったそうだ。
そのボスは、他の色街との差をつけるためにサービスの幅を拡げたいと考え、あれこれとやってはみたけど上手くいかなくて…。
そこで、その界隈でまことしやかに囁かれる伝説「ユーフォルビアの性技」を手に入れるために2人をこの屋敷に潜入させたのだ、という。
「でも、このお屋敷には元々使用人がいなくて」
「雇うお金が無いからって、断られて」
「安くてもいいから雇って欲しいって、何度も何度も頼みました」
「そしたら、ロイ様が『そんなに言うなら雇ってあげたら』って、言ってくれて…ゼフ様も、仕方無いなって、言って、雇ってくれました」
それが、丁度俺が産まれる直前だったそうだ。
「まずは信頼して貰えるように、一生懸命働いて」
「少しずつ、管理を任される事も増えて」
「庭の管理も、俺一人でやらせてもらえるようになって。それで、旦那様方のお部屋から死角になる場所を確保するために生垣を作って…」
あっ、そういうことか!
家には常にユーフォルビア家の人間がいるから…
隠れるならむしろ外、だったのか。
「…まさかルース坊ちゃまに見られていたなんて」
でしょうね!
「で、目的のものはあった?」
「…はい、あれはこの屋敷に来て5年目のことでございました…」
えっ?あったの!?
「ルース坊ちゃまがそろそろ魔法に興味を持ち始めているから、書庫から初心者向けの魔法書を出してきて欲しいと…鍵をお預かり致しました」
「ああ、うん」
「それで、図書室の棚に並べておくように…と。
そこで見つけたのです、閨の書、を…」
ああ、閨教育の本ね。
「ちょうど4番目のノース坊ちゃまと5番目のトーレス坊ちゃまの閨教育が始まった頃で…図書室の棚に、入っていたのです、魔法書と一緒に」
「どっちかがうっかり一緒に返しちゃったんだな」
「それで、その本をこっそり拝借しまして…」
そこから、2人で本の内容を体で覚えるために、生垣の裏で逢引してはそういう行為に及んでいた、と。
「本は、トーレス坊ちゃまがお探しになられていた時にお返し致しましたが、他にも何かあるはずだ…と、書庫に行く度に探しまして…、その、ルース坊ちゃまが魔法書を次々にお読みになられてしまい、次を次をとせがまれるので、週に何度も書庫へ行くようになり、そこでゼフ様が私に書庫の鍵の管理もお任せ下さるようになりましたので…」
「…それで、時々書庫へ行っては探してた、と」
「…はい」
「で、見つけたんですね?」
「はい、魔法書の棚とは別の棚に、堂々と」
「堂々と」
うぉーい、まさかの隠す気NOTHING!?
伝説の秘奥義的なもんじゃなかったの!?
そもそもあったことにもびっくりだけど!!
「…んで、時々父さんたちの目を盗んではあそこで研究をしていた…ということ、か、な…?」
「「申し訳ございません!!」」
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