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学園3年目

目指せ「穴」コンプリート

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「来たぞ!サラマンダーだ!」
「あいよ!クレイウォール!&結界!!」ズンっ…ぷわわ…
キシャアァァ!ゴゴゴ!ドスン!ヒュン…
サラマンダーの攻撃を結界と土の壁で防ごうとする俺、でもその壁の上から尻尾の一撃が…!
「ふん」ヒュパっ!!
それを俺の隣にいた殿下が一瞬で叩き落す。

前回3日目で踏破したところから先へ進み、昨日のお昼手前くらいから未踏破のゾーンへ入った。
昨日までに通ったところの穴は多分全部マッピングできたと思う。
今日は4日目、俺は今日の役割である「盾」に徹している。

「でかいなコレ…!ソラン先輩!どうですか!?」
「いや!平均程度!これは異常なし!!」

俺の後ろには「盾」の交代要員であるソラン先輩…ダンジョンの魔生物調査係も兼任している。
だもんで前に出られる水属性持ちはカート君とウィン兄。

「じゃあ行きます!アイスランス!!」ズシャッ!!
カート君の呪文で地面から氷の槍が突き出る!
そうやって、時間を稼いでいる間に…
「天より振りおり、この地に満ちる清浄と恵みの精霊よ、この器をあなたのものと成し、その力をこの剣に顕現せしめよ…水魔法剣アクアブレイド!」
ウィン兄の属性付与が完成!アイスランスでダメージを受けているサラマンダー目掛けて振り下ろす!
「せりゃあっ!!」ザシュッ!「もう一丁!」バシュッ!「せいアァ!」ビシュッ!!
怒涛の3連撃でサラマンダーが怯む。そこへもう一撃、
「ウォーターアロー!!」ビシィィ!!
カート君が魔法をぶち込む!

グオオオオ…ン…ドサっ…

「やったか?」
「念のためとどめを刺す!」ドスッ!

…サラマンダーは動かなくなった。
「よっし、バラすぞ!」「おう!」
魔石採取はガーベラ先輩とトレッドさんの係。
「サラマンダーは皮・爪・牙、尻尾まで素材として買い取って貰えます、忘れず拾ってください!」
素材取りはクリビアさん指示の元、残りのみんなで手分けしてやっていく。

「おい、奥からまだ何か来るぞ」
「あの柄はアースタラテクトですね、次は風が」
「嫌ぁ!蜘蛛は嫌い!!ウィンドカッター、ウィンドカッター!ウィンドカッター!!」ズバババババ…
エルさま錯乱。そして蜘蛛全滅。
他の風属性、出る幕無し。
「早かったっすね~」
「エル、魔力を一気に使いすぎては…」
「大丈夫!大丈夫だから!!早く燃やして!!!」

う~ん、アースタラテクト…ご愁傷様です。

「アースタラテクトはですね~」
クリビアさんは淡々と素材取りの指示。
「昆虫系はこのねちゃっとするのがな~」
「あ~、分かります!嫌ですよね~!!」
魔石取りあるあるを披露する魔石工学組。

「さて、また少し先に進むぞ…穴、あったか?」
「え~っと、ちょっと待ってください…ブロウ…おじいちゃーん!!光ーー!!」
俺は後ろで先に見つけた穴のところで待機しているおじいちゃんに声を掛ける。
これに関しては昨日鼻先から風魔法の初級ブロウを出しながら声を出すと遠くまで届くという裏技を発見したので楽勝だ。

~おー、了解じゃー…ライトぉ…

遠くからおじいちゃんの声が聞こえ、ポウっと地面が1ヶ所光る。
「あっあそこ!あれがあっちのと繋がってるのか」
「ではあそこまで進んで、他に穴が無いか見ましょう」

~~おー……

「魔法、鼻からも出るんだな…」
「な、どっからでも出るんだよ、魔法」
「要は気の発露と一緒だから、ちゃんと意識すれば出来るんじゃないか?何ならヘソからも」
「えええ!?へそからもでる!?」

またも魔法の出る場所を気にしているガーベラ先輩。
そろそろ慣れてもらいたいなあ。

「あっ、あそこにも穴あるぞ」
「道挟んで向かいか…でも光らなかったんだもんな?」
「ではこの穴からもライトしてみましょうか」
「お願いします、ブロウ…おじいちゃーん!新しい穴見つけたんでー!ライトしまーす!みててくださーい!!」

~~おー……ヘザー……光……来るぞ……

「じゃ、いきますよ~!せーの、ライト……!」
こっち側からの光は、戦闘に参加してなくて魔力に余裕があるクリビアさんにお任せ。
一昨日話し合った結果、火や風や水は戦闘用に温存しておこうということになったんだよね。

~~光らんぞ~い…あ~、ヘザー……どう……
…ました~…2…マッピン…して…そっち合流…
…じゃな…

おじいちゃん先生とヘザー先輩は、鼻からブロウを覚えるのが早かったもんですっかり通信係だ。
魔法が効かない敵が襲ってきたらいけないので、それぞれゴード先輩とカイト君がついている。
それぞれの戦闘力が高いから出来る荒業だよなあ…

「ヘザーとじじいが合流するまで、ここで暫く待つか」
「そうですね、しばらく待機…」
「おい、また何か来るぞ!」
「今度は何…うわ、腐りワンコの群れ…ってことは、雷の出番だぜ!」
アレクさんの一言で、殿下とウィン兄、ディー兄、ジョンさんが前に出る。
「アンデッドヴォルフだよ!!ちゃんと名前覚えて!?」
「知らねーよ!あっ、昆虫テカテカもいるぞ!」
「ダイオウコガネ!!ちゃんと覚えて!!」

ソラン先輩はアレクさんの適当なネーミングが許せないらしい。学者っぽさが出てきたな。
雷に関しては時間稼ぎの必要が無いので、俺も後衛に下がる。

「「「サンダーアーム!」」」バリバリバリ…、ドガン、ドゴ、バスン…「ごめーん俺は魔力温存!虫やるね!」ドス・ドス・ドス・ドス…「好きにしろ、ハッ」ザシュ、ドカッ、シュパン。

ギャアア…ガルゥゥ…ギギギっ…
ドス・ドス・ドス…
ギャオー!ウゥウウウー…ザン、バリバリ…

うーわ…この5人、強すぎない?
これ蹂躙ってやつじゃん、虐殺ですよ虐殺。
しかし、こんなに魔物って出てくるもんかね?

「最近誰も潜ってないからですね、前回ルースさんたちが来たのが最後ですから…」
「なんちゅうことだ」
「ゴブリンを倒したときの死体処理が甘かったんですかね、スライムがその分増えてこうなったのかも」
「あ~、あの時忘れてたから…」

殿下とトレッドさんとイドラ君が死体集めに行ってくれたけど、全部は回収しきれなかったんだな…。
申し訳ない。

「しかし、何で餌がゴブリンだと3割増しで増えるんでしょうねぇ」
「スライムもゴブリンも謎だらけですね」

魔生物学は進まない学問だそうだ。
生態を知るための観察が難しいんだって…
そりゃそうだよね。

「だから、魔生物を捕まえて話が出来たら、本当に飛躍的な進歩を遂げる。だから…」

ソラン先輩の目がじっと俺を見る。

いや、そんな期待しても何も出ませんぞ!?

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