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学園3年目

夏休み直前のドッキリ

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もうあと1週間で夏休み。

そう言えば今から1か月ほど前、

「ルースよ!
 お主の今年の夏休みの予定は儂らが頂いた。
 楽しみにしているがいい!」

と、おじいちゃん先生が悪役っぽく言ってたけどどうなってるんだろ?
昨日の晩御飯のときも何も言わなかったし。
まあ、知ったとて出来ることは「心の準備」しかないんだけど…
まさかドッキリじゃないよね?

そんなことを考えていると、
外を見ていた殿下が言った。

「…イドラとじじいが来る」
「は!?」

なぜに。

****

慌てて下に降りると、すでに食堂に2人がいた。
そしてなぜか台所にはイドラ君ちの従者さん。
促されて席に着くと、お茶とお茶請けを持って来てくれた。

全員がお茶を一口すする。
そしておじいちゃん先生が言った。

魔法総合うちの学外研修の計画が決まったぞい」
「あっ、はい」
「説明は…イドラ、頼む」
「はい、ではこちらの書類をご覧ください」

俺と殿下は数枚の書類を渡される。
イドラ君が説明を始める。

「魔法総合研究室の学外研修につきまして、
 まずは簡単な行程の説明を説明いたします。
 表紙開きまして1ページ目をご覧ください」

そこに書いてある行程を見る。

①学園発 (7/20)
↓<移動/5日間> 〇
②古龍の墓
↓<移動/2日間>
③大神殿 ※魔石・古代
↓<移動/3日間>
④鉱山見学 ※魔石
↓<移動/2日間>
⑤古龍の墓 ★全研究室合流
↓<移動/3日間> 〇
⑥暗き森の遺跡 ※魔総のみ
↓<移動/1日間> 〇
⑦学園 (8/30)

は?何これ。
めっちゃ大旅行じゃん。
これ全部参加すんの?
参加費えらいことになるんじゃないの?

イドラ君は俺の戸惑いをよそに説明を始める。

「まずは学園から北、馬車で5日間ほどの大型ダンジョン「古龍の墓」へ…こちらへの移動は、貸馬車をご用意しています。
 できるだけ冒険者と同じスタイルで、というご希望ありまして、御者はみなさんでやって頂きます。
 ここでは魔法剣・拳の実践練習と、魔生物との交流が可能かどうかの実験です。
 魔石工学のほうでも「倒し方によって魔石に変化があるのか」知りたいと…魔生物学との共同研究を。
 武術棟のみなさんと魔生物学のみなさんはこちらに暫く滞在となります。
 ギルドとも連携して実習を進めて頂きます」

「はあ」

「…で、属性付与の実践を見届けて、ダンジョン周辺での遺跡・文献調査をしましたら、古代魔法と魔石工学はその西、馬車で2日間ほど行きまして、大神殿へ移動します。
 ここは長距離の乗合馬車が出ています。
 この長距離乗合馬車ですが、国内の交通網を仕切るセリンセ商会が初導入したものでして…。
 是非お2人にも試乗をお願いします」

「待って、長距離乗合馬車って何?」
「道中御者と馬を交代させながら夜通し走るんだ。宿泊施設も無いから車中泊で…早朝には着くよ」

長距離バスみたいなもんか…なるほど。

「大神殿で、古代魔法は文献、魔石工学は聖遺物等の調査…といっても、聖遺物は触ったり動かしたりは出来ませんから、見学程度しかできない…ということで、魔石工学研究室はそこから北東の鉱山都市へ移動し、採掘現場の見学と工房の視察等行います。
 鉱山都市と大神殿の間にリリー侯爵家の領地がありますから、カート君の里帰りにお付き合い頂きまして、古龍の墓へ戻ります。古代魔法は神殿から古龍の墓へ戻ります」

「で、ここで全研究室がもう一度集合します。
 ここから…魔法総合は「暗き森の遺跡」へ」

あっ、ちょっとそれっぽい話をしただけなのに、組み込んでくれたのか…
さすが気が利くアイリス商会。
この場合はおじいちゃん先生なのかもだけど。

殿下が言う。

「なかなかの強行軍だな」
「申し訳ありません。
 その代わり、宿は防音の効いた部屋を」
「うむ」

うん、ちょっと待って?

「ここの〇印の移動は、馬車で」
「さすがアイリス商会だ、素晴らしい」
「お褒めにあずかり光栄です」

何、その「特製馬車」って!?
嫌な予感しかしないんですけど!!


そんなところに気を利かせなくて結構です!!

うわーん!

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