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学園2年目

クリスマスイベント4. 地獄のファッションショー

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「ゴード先輩、お気を確かに」
「う…あ…」

負けた方は閨着姿を披露する…
考えてみてほしい。
いかつい男の総レース紐パンを見たいか?
答えは否である。
リリー君の衣装のほうが見たかった。
きっとかわいいに違いない。
ゴード先輩はリリー君に負けたことも閨着を着せられることもショックで、半分魂が出ている。

「ルース、これ、どこにどう留めるんだ」
「これは…ここに、こうだね」

カイト君の家から来た衣装は紐のところどころに布が付いてるみたいなやつで、こことここをこうしたら乳首隠れて、こことここを合わせたらナニを隠せて…みたいな、半分パズルみたいな衣装。

「師匠…これでホントに合ってる?」
「合ってる合ってる、エロいエロい」

アレクさんのは、首にかけた紐をクロスさせて後ろでくくればこのヒラヒラで胸のとこ隠れて、腰の布はナニの上ギリギリで留めて、ま、これでいいでしょ。

しかし、倫理観がよくわからんな。
どの衣装でも、何とか乳首は隠したいという意図が見える割に、チン毛は半分くらい見えてんの。
つか、セックス前にわざわざ着る服っていう概念がよくわからん。

そんなの裸で良くない?

それで何で俺、着付け手伝ってるんだろ。
こんな不毛な事、台湾カステラをガーベラ先輩に託してまですることなのか…?

「いーわよ、みんなセクシーに仕上がってるわ。
 自信持って披露していらっしゃい!」

もーいいや。
俺も何のテンションかオネエ口調になってるし。
3人を連れて2階の部屋からリビングへと降り、集まっているみなさんへのショータイム。

「はーい、お待たせ!ようやく着せられたわ!
 ほーら、3人とも、早くいらっしゃい!」
「口調が変わってる…不穏だ」「無理っすよ…」

もー、往生際が悪い!

「こういうのは堂々と出るのが1番なのよ!
 大丈夫、みんな可愛くてセクシーよ!!」
「本当か?」
「そーよ、モジモジしてると傷口が広がるわよ!
 度胸よ、度胸!」
「お…おう…」

ようやく観念したのか、3人が出てくる。

「はーい、じゃあまず、アレクちゃんからね!」
「…うう…どーだ!」
「はーい、ここでポーズ!いいわ、セクシーよ!」
「お、おう…こう…かな?」

みんなの反応は…

「あー、いいじゃん、可愛い!」
「意外と悪くないのお」
「腰のラインがエロくていいな」
「似合ってる…いい!」

お、そんなに悪くないな。

「はーい、じゃあ後ろ向きでセクシーポーズ!
 …次はカイトちゃんよー!いらっしゃい!」
「…ええい、仕方ねえ!」

真ん中でポーズ!キレてるよ!

「布少なっ!!」
「攻めてるなー!」
「出しすぎてセクシーが足りないんじゃないか」
「薄衣を上から着るといいかもね~」

そーなのよ、この衣装攻めすぎなのよ。
腰のとこの紐解いたら全部脱げるからね…
ほぼ裸よ?着る意味ある?

「はーい1回転してー、正面でもう一回ポーズ!
 次はゴードちゃんよ!みんな覚悟はいい?
 じゃあ、出てらっしゃーい!」
「……」
「ほら、早く!こういうのは勢いなんですって!
 モジモジしてると逆に笑えないから!」
「……笑うのか?」
「笑われるより笑わせるほうがいいでしょ!
 ほら早く!」

考えて欲しい。
180cm以上ある筋骨隆々の男の、総レース。
上はおヘソが見えるデザインのキャミソール。
そして紐パン。
親は何を考えてこれを贈ってきたのか……。

「…くそっ、もうどうにでもなれっ…!」
「はーい、ここでポーズ!いよっ!筋肉山脈!」
「…そうか?むん!」
「いーねー!キレてるキレてる!」

完全にボディビルの応援と化してる俺。
みんなの反応は…

「おー、すげえ!」
「いい体してるなー」
「うむ、良く鍛えているな」

完全に閨着を無視した感想だ。

「はーい、じゃあ後ろ向いてポーズ!
 3人とも並んでー!はーい、最後のアピール!
 皆さんいかがかしら?ご満足頂けた?」

もうこれで十分だろう…
3人とも、良く頑張ったぞ!
みんなは何故かスタンディングオベーション。

「いいぞー!」
「よくやった!」
「感動した!」

ケンタウレア先生…どこで感動したの?
まあいいや。
比較的好評のうちに終わったということで…

「じゃあ、これで閨着披露は終わり!解散!」

と、俺が強制的に宴を終了させようとしたとき、
リリー君が元気よく手を挙げて言った。

「はーい、質問でーす。
 ルースさんの閨着は披露しないんですか~?」
「ならん」

殿下が食い気味に否定する。
俺はそれに乗っかる。

「ですよねー殿下!
 それに、うちからそういうの来てないもん」

すると、今度はエルグラン王子が挙手して言った。

「え~本当ですか?さっき何か来てましたよね?」

王子!なぜ思い出す!?

「ちっちゃい小包が来ただけで、そういうのは入ってないと思いますよ」
「何が届いたのか、まだ見てないんですか?」
「うん、まあ…明日でもいいかと思って」

そう答えると、罰ゲームを受けた3人から不満の声が上がる。

「今開けてみてくださいよ!」
「そうだ、閨着かもしれないじゃないか」
「閨着だったら…俺と勝負だ!!」

こいつら…
頑張って後片付けしてた人間になんたる仕打ち!

「開けてみよーよ!」「開けましょうよ~」
「そうですよ、開けてみましょうよ」
「見たい見たい!」「見たーい」「見たい」
「見ーたい」「みーたーい」「みーたーい」…

訳の分からないテンションで、見たいコールが始まる。

「あーもう、開ける、開けるってば!」

ったくもう…
ま、俺も何が来てるか気になるけどさ。

「じゃあ、ちょっと開けてみますか…
 何が入ってても文句言わないでくださいよ!」

皆が見守る中、台所の棚に乗せていたそれを持ってきて、そっと包みを開けてみた。
そこに入っていたのは…

「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」



まっさらな白いパンティーが一枚。



「シンプルが一番…か…」

そう呟き、殿下はそれをさっと掴んでポケットに突っ込み、足早に2階へと上がっていった。


「……どういうこと?」


そしてあれは閨着なのか閨着でないのか…
残されたメンバーでの議論は紛糾したまま、
次の日を迎えた。
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