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学園2年目

これが世界のやり方か…!

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勇気が無くて中身を読めない俺の代わりに、王子が記事を読んだ。

「貧乏子沢山で有名なユーフォルビア伯爵家の末子はなんと十二男!?」

はあ、そうですね。

「周辺を取材したところ、どうやら殿下とこの末子は幼馴染みであり、その立場を利用して殿下に取り入ろうとしているようだ」

は?

「資本もなく家格も揃わないことから、関係筋からは正室に迎えるなどあってはならないとの批判の声も高く、なれても側室の末席が精々だろうが、その繁殖力をたてに王家に正室の座を迫ったとも…」
「ちょっと待って?俺どういう扱いなの?」

繁殖力って何?家畜か何かですか?

「先の14人が正々堂々戦いを挑んでいるのに、1人だけ卑怯な手を使って正室に成り上がろうとする意地汚い貧乏貴族…的な…?」
「どーゆーこと!?」
「よく分かりませんけど、ルースさんのこと貶めるようなことばっかり書いてありますね」

途端にトレッドさんが慌てる。

「ええ!?ちょっと待て、俺そんな話してないぞ!
 うっすらとした記憶であれだけど…殿下とラブラブなんだぜ~としか…というか、そんな悪いイメージ、そもそもこいつに持ったことないのに、そんな話しないだろ!?」

すると、エルグラン王子が無表情で言った。

「ふーん、なるほど…つまり、ルース先生はこの賭けを盛り上げるための悪役にされたわけですね」
「えっ…」
「くだらん遊びをするものだ。
 仕方ない、王家から版元へ厳重に抗議し信用を無くさせた後に記事を書いた者を死刑にしよう」
「さらっととんでもないことを言いましたね」

みんながわあわあ言ってる声が遠くなる。
状況が分からない…いや、分かってる。

俺、この世界の悪役になったんだ。
何の理由もなく、この世界ゲームを成立させるためだけに。

えっ…なんで?

なんか…した?

「うち…これ以上没落したら…どうなんの…?」
「ルースさん!?お気を確かに!」


当て馬にならないようにはしてきたよ?

だからなの?

だからってこんなの酷くない?


「もう…本当に家出するしか…ないじゃん…」
「ルース?」

「どうしよう…俺のせいでうちが…」
「しっかりしろ、ルース」


「何でこんなことに…」
「ルース!」

頭がぐるぐるして、耳鳴りがガンガンして、立っていられなくなって、そこから先は…



覚えていない。



気がついたら、俺は自分の部屋のベッドで…
殿下に抱きしめられて寝ていた。
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