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学園2年目

ようやく新学期

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春休みに散々な目に合わされて、王宮から寮に戻ってきた。
あの魔法に対抗する手段を得るために王宮の図書館で闇属性について調べまくったり、さらに光属性の練習をすべく近衛騎士団で救護のバイトをしたり。

バイトのとき、殿下が近衛騎士団と一緒に訓練をしていたのを見たけど、やっぱつえー。
大人より全然ちっこいのに、手加減されてる様子もないし、怪我もしないし。

俺も1回、新人の訓練に混ぜて貰ったんだけど…

「トルセンが言ってた通りだな!わはは!」

って、団長が大笑いするし、他の団員さんには気の毒そうな目で見られるし…泣く。

俺…剣術…駄目なのかなぁ。
落ち込んでいたら、殿下が優しい顔で言った。

「諦めろ。センスがなさすぎる」

そんなあ~!

……まあ、そんなことがありつつ、光魔法もかなり上達した。団長の顔のシミも消してあげた。
美容整形の、レーザーでシミ取りするアレだ。
結果「ちょっと光」が生まれて…「ちょっとシリーズ」はついに闇属性を除いて全てコンプリート。
おじいちゃん先生に報告だな。

闇属性、調べてみたけど…基本的に「人の心に作用する」ものが多いなという印象で、こんなものが市井に出回ったら、悪用される未来しか見えない。
だから肝心な部分は王家にしか伝わらないようにされているみたいだな…って、

俺知っちゃったけど大丈夫なの?

ちなみに対抗する手段は、何とか完成した。
結局「キス以外で」っていう約束は守られることなく、完成するまでほぼ毎日濃い目のキスをして…〈もう一人の俺〉を抑え込むのになかなか苦労したけど、要は「自分の影」に光をあてて影を消す感じ?

それでさ…俺、この対抗手段が完成したとき、ふいに当て馬が「ルース・ユーフォルビア」だけな理由に気がついたんだ。


「ルース・ユーフォルビア」は殿下のことが好きだから、殿下の恋路を邪魔したくて、攻略対象にコナをかけるんだ。

そして、毎度毎度それを繰り返すことで、殿下に自分のことを意識して貰おうとするんだ。


本当はどうなのか分からない。
でも今の状況からすると、多分そう。
「ゲームの強制力」とやらが俺の流されやすい性格を利用して、そう仕向けようとしてるんじゃないかな…殿下を使って。

じゃなきゃ、説明つかないよ。

前世で見たキャラクター紹介の絵にしても、今生でみる自分の顔にしても、恐ろしく十人並だもん。
名前のあるモブ、それ以上でも以下でもない。
体型も普通、顔も普通、経済力は普通以下。
キャラ立ちするような何もないんだぜ?

こうなってくると、ゲームに抗うべきなのかゲームに則るべきなのかわからなくなる。

主人公でんかに負担をかけるのは嫌だしな。
それに、ゲームから解放されたあとの俺の未来、どう考えても明るくなさそう…


あーあ、どうせなら、強制力で俺の剣術レベルをギュギューンと上げてくれないかな。

そしたら、俺の目指す冒険者になれるんだけどな…

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