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学園1年目

俺の許可は?

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高濃度のキスで場が凍ったその後。

コスモス先輩は、恐るべき精神力で立ち上がった。
そして俺に言った。

「あの、さ。
 これからも、魔法、教えてくれないか」
「……へっ?」
「俺、入学して一度も…魔法系の授業、受けてなくてさ、だから…2年分、追いつかないと、いけなくて。
 3年から…授業、選択したい、だから」
「え…と…」

俺は殿下と先輩を交互に見る。
ど…どうしたら!?

「コスモス、お前、どういうつもりだ」
「ど、どうって…その」
「何の目的があって、ルースこいつに近づく?
 言え」
「目的!?」

目的はそりゃ…殿下、だよ、ね?
た、多分…先輩は…攻略対象…だと思うんだけど?

「俺…、俺は、その」

先輩が目を泳がせる。殿下はそれを見て

「ああ…なるほど、分かった」
「えっ!?」

な、何が?

「コーラスに踊らされたな?」
「えっ、いや、あっ、」
「え、えっ!?」

えっ…あの、エルム君が?
のほほんピュアな感じしかしなかったけど?

「殿下、あの…コーラス…って、
 コーラス・エルム君、ですよね?」
「そうだ。腹黒財務大臣、エルム公爵の一人息子。
 コーラスのアレは父譲りだな」
「ええええええ!そんな、そ、そうなの?」

みんなのほうを見る。
おじいちゃんが頷き、エルグラン王子はクスクス笑う。でも、リリー君とヘザー先輩は手を振って知らないアピールをしてる…ありがとう、二人とも。
良かった、俺だけじゃなかった。

ふいに目が合った、エルグラン王子が言う。

「そうですよ?それが嫌で、この前の昼食会は辞退させて頂きましたから…気づかなかったんですか?」
「えー!そうなのぉ!?」
「ふふ…先生の想像力は、魔法に、特化してるんですね、うふふ、ふふ」

そんな笑うとこなのここ!?
あとナチュラルに先生っていうのヤメテ!

「財務大臣の息子が、会計部の息子を操るか。
 コスモスではエルムには逆らえんか?」
「ち、違う!俺と家は、関係ない!」
「家の話ではない。
 お前の両親は、正しくないことはきっちりと、大臣だろうが意見する気概がある。
 だからいつまでも会計部の下の方にいる」
「……っ」
「俺の下につくなら…こいつに魔法を教わっても構わんぞ?どうする、アレク・コスモス」
「お、俺…、俺はっ…」

コスモス先輩…

「……俺は、ただ…ルースを、守ってやることができるんなら、誰の下でも構わない」

えー!俺ーー!?
どゆこと!?
この人攻略対象じゃないの!?

「俺は、何も知らないこいつを…守りたいんだ」
「…ふん、勘違いも甚だしいが…
 まあ、盾ぐらいには使えるか?なあルース?」

えー!急に振らないでよ!?えーと、えーと、

「えーと、うーん、そうですねー、んー、雷なら盾じゃなくて、どっちかというと槍ですかね?」
「………。」
「……………。」

あー!
分かってるよ、そういう話じゃないのは!
あと長嶋茂雄のモノマネ(クソほど似てない)が通じないのもな!
でも、ここでボケなきゃどこでボケるんだよ!
スベってちゃ意味ないけどな!!

すると、

「…魔法馬鹿ですね」
「…魔法馬鹿じゃな」
「…魔法馬鹿だなぁ」
「…先生らしい、ふふふ、ふふ、ふふふふ」
「ルース、お前…はは、あははは」

ば、馬鹿じゃないもん!
みんなのためにボケたんだもん!
ちくしょう、スベり芸みたいで悔しい!

…けど、みんなが笑ってるなら、それでいっか。
何となく俺も一緒に笑っちゃう。ははは…

みんなで暫く笑いあった後…
殿下の前にコスモス先輩が片膝をついて、臣下の礼をとった。

「私アレク・コスモスは、殿下に忠誠を捧げます」
「決まりだな」
「はい! ……宜しくな、ルース師匠」
「……えっ?」



ちょっと!殿下!
俺の許可なく俺の弟子増やさないで!?


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