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シドハッピーエンド 王の女

5 番になる ✤✤✤

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精液舐め(少量)、塗り注意

***

 シドの陰茎にズブリと奥まで犯されたヴィクトリアは、これまで守ってきた純潔を、よりにもよって一番渡したくなかった相手義父に散らされてしまった衝撃に、一瞬呼吸を忘れた。

 自分の母親を何度も抱いていた男と身体を繋げるなんて、正気の沙汰ではないはずだ。それでなくても様々な女と関係した男と身体を繋げるなんて、獣人としては有り得ないことである。

 しかし現実は、ヴィクトリアはシドに犯されていて破瓜の血の匂いも漂ってきてしまい、自分たちがもう戻れない一線を越えてしまったのだと感じた。

 ヴィクトリアは、二度とシドのことは父親とは思えないだろうと思い、そのことに悲しみを覚えた。

 そして何より、愛するレインを裏切ってしまった罪悪感に、心の中がバラバラになりそうだったが――――

 伸びてきたシドの手により鼻を摘まれたことで、混乱は一旦落ち着いた。

「大丈夫だ、すぐにくなる」

 見上げれば、こちらを観察するような赤い瞳と目が合った。シドはヴィクトリアを安心させるような優しい声音で告げてから、挿入したまま静止していた腰をゆるゆると動かし始めた。

「あうっ…… あぅぅっ……」

 グチュ、グチュ、と結合を繰り返す音が聞こえてきて、鼻を摘まれる前は挿入によって寒気を覚えていた体温が急速に上がり始めて、鼓動の速さも増すのを感じた。

「ヴィクトリア、愛している」

 そう告げながら、交わりに乱れるヴィクトリアをじっと見つめるシドの赤い瞳の中には、おそらくヴィクトリア限定かもしれないが、こちらへの慈しみの情や思いやりや優しさといった、愛情に満ちた思いが確かに存在していた。

「……あ、い…… 愛…………」

「そうだ。俺はお前だけを愛している。だからお前も俺だけを唯一愛してくれ」

 どこか懇願するような響きと共に、色気を滲ませた低い声で甘く囁いたシドは、気遣うようにゆっくりと進めていた抽送を変化させた。自由に操れる肉棒で中を探り、ヴィクトリアが一際喘ぎを強める場所を何ヶ所か見つけ出すと、重点的にそこを交互に責め始めた。

「ああ! 駄目! おかしくなる!」

 グチュッ、グチュッ、と高まる淫らな音と共に、ヴィクトリアの中でも、暴力的なほどに溢れそうで制御不能な快楽が広がっていく。

「ヴィクトリア、愛している…… 俺を受け入れてくれ」

「やあぁぁっ! 気持ちいいの来ちゃう! だめなの! やめてっ!」

 シドが「天国に連れて行く」と宣言した通り、貫かれている身体には最初から痛みはないし、それどころか意識のないうちから散々高められていたヴィクトリアの身体は、男根の侵入に喜びを覚え、穿たれる度に強烈な快感を感じていた。

「駄目じゃないだろ、ほらイけ! イけ!」

「あああああっ!」

 激しくなるばかりの性交に、ヴィクトリアは身も心も全てが壊れそうになってしまって、何もわからなくなった。

 上り詰める直前、ヴィクトリアの脳内で硝子の割れた音が響き、その後すぐにカチカチカチという不思議な音が鳴ったのを、彼女はシドの男根で中イキさせられながら聞いていた。

 ヴィクトリアは深すぎる絶頂の余韻と、自分の全てが引っくり返されて作り変えられてしまったかのような感覚を味わって、呆然としていた。そんなヴィクトリアの膣内を、射精する気配が全くなく、ガチガチに硬いままのシドの強すぎる陰茎が、また行き来し始めた。

 ヴィクトリアはシドとの極上すぎる交わりに、また絶頂感を覚えてすぐに意識を飛ばしそうになり、実際にその後も幾度となく正体不明になった。

 いつしか鼻を摘まれていた手は外されて、ヴィクトリアはシドの両腕に抱きしめられた状態で律動的リズミカルに揺らされ、身体の中心部を繋げた状態で口と口をねっとりと合わせていた。

 シドの男根で性器を貫かれているのもとても気持ちが良いけれど、口の中の柔らかい部分を合わせて絡め合うのも、とても気持ちが良くて、ヴィクトリアは改めて自分はキスがすごく好きなのだと知った。

「ヴィクトリア、全部覚えていてくれ。俺の匂いを忘れるな」

 一方的にイかされるばかりだったヴィクトリアは、シドは絶頂しない生き物なのではないかと少し思ってしまったが、愛情の込もった瞳と切なそうなシドの表情を見て、ようやく彼も達することができるのだと思った。

 それから―――― シドの言葉の意味から、自分も彼の他の女たちと同様に鼻を焼く必要が出てくるのだろうと感じて、ヴィクトリアはシドが過去にたくさんの女たちと愛し合っていた事実を突きつけられた気がして、胸を抉られたような気持ちになった。

「悲しむな。俺が愛しているのはお前だけだ」

 シドはそう言ってまた口付けながら抜き差しを早め、ヴィクトリアが達したのを見届けてから熱杭を引き抜き、ヴィクトリアの腹の上に大量の白濁液を放った。

 体力のなくなりかけていたヴィクトリアは、激しく呼吸を繰り返してぐったりとしてしまったが、シドは自身の匂いを強くまとった精液をヴィクトリアの身体に塗り込み始めた。

 精液をまぶされる行為を受けながら、ヴィクトリアが『本当は中に出して欲しかったな』と思っていると、シドは指の先に精液を取り、それをヴィクトリアの口元に近付けた。

 ヴィクトリアは促されるまま、指先を舌で舐め取りシドの精を身の内に飲み込んだ。

「明日になったらまた風呂に入れてやるから、今日はもう休め」

 処刑場から離れた後ヴィクトリアはいつの間にか気絶していて、目を覚ましてからの展開も怒涛すぎて前後のことも良くわかっていなかったが、シドは一度ヴィクトリアと入浴を済ませてから行為に及んでいたらしい。

 起きた時はまだ昼間だったはずだが、長時間営んでいたようで、部屋の中も既に真っ暗だった。

 獣人は暗くても嗅覚で周囲のことはある程度わかる。

 ヴィクトリアが今いる部屋は、石造りや木製の硬い床とは違う、干した草を密に編み込んだ珍しい素材の床をしているし、飾り棚には高級そうな壺もあって、芳しい香りを放つ花々が綺麗に生けられている。

 二人が今寝そべっている寝具も、いつもの寝台とは違って、枠のない低い寝具が使われていた。

 そこまで周囲を探った所で、ヴィクトリアは獣人の重要な感覚である嗅覚を無くさないといけないのは、悲しいことだという気持ちを持った。

 けれどこのあとシドは里に帰るのだろうし、里にはシドの女たちも住んでいるから、彼女たちとシドが関係した匂いを目の当たりにすれば、番ではなかったこれまでとは違い、とても苦しい思いをするのだろうと簡単に予想はつく。

 ヴィクトリアは、番になり最愛の存在になったシドと生きていくためには、「嗅覚を失うことも受け入れざるをえないこと」だと、腹を括るしかないと思った。

 ヴィクトリアは暗闇の中でこちらを抱きしめて微笑んでいるシドの存在だけを感じながら、疲れた身体を休ませるべく、目を閉じた。
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