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リュージュハッピーエンド 私の王子様

8 今度は拒まない ✤✤✤

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 何も感じない闇の中にいたはずのヴィクトリアの意識は急浮上しようとしていた。
 全身が心地良い感覚に包まれていて、ヴィクトリアの意志とは別に、その心地良い波に乗って自分の身体がどんどん高みに上がっていく。

 ヴィクトリアは上り詰めた先で多幸感と快感を感じながら全身を戦慄かせて、やがて弛緩した。

 状況がわからないながらも、おそらく性的に達して浮遊感を感じている間に、ヴィクトリアは自分を繋ぎ止めるように抱きしめてくれる腕があることには気付いていた。

 ヴィクトリアはその温もりをとても心強く、そして愛しく感じていた。

 絶頂後も身体に上手く力が入らなくてぐったりしていたヴィクトリアだが、何とか瞼を動かす。

「ヴィクトリア! 気が付いたのか!」

 目を開いた先には誰よりも愛しい人がいて、その人の匂いを嗅ぎ、声を聞いて、ヴィクトリアはとてつもなく安心した。

「……リュ…………」

 名前を呼びたいのに、声が上手く出なかった。全身が鉛のように重くて、自分の思った通りに身体を動かせなくなっていた。

 けれどヴィクトリアは再会の喜びに際限なく涙を流した。

「リュー…… ご……め…… あい……して……る」

「うん、わかってる…… わかってるから、何も言わなくていい」

 リュージュもヴィクトリアが意識を取り戻したのを見て泣いていた。

 言葉ではなく行動で心を示すように、リュージュが口付けてくる。

 その唇を、彼を拒絶してしまった二日前とは違う心境で受け入れながら、ヴィクトリアは幸せを感じていた。

 口付けはとても深く、舌で口の中を探られながら唾液を流し込まれると、上手く飲み込めずにヴィクトリアの唇から一筋こぼれた。

 リュージュの涙がヴィクトリアの肌に落ちて、泣かせるほど心配させてしまったことを申し訳なく思った。

「ふ…… あっ……」

 ヴィクトリアは長い眠りから目覚めた直後のような、頭にどこか霞がかかったような状態だったが、包帯は巻きつつも素っ裸のリュージュに抱きしめられているのはわかっていた。

 状況を良く確認すれば、ヴィクトリア自身も生まれたままの姿になっていた。

 マグノリアに消してもらったはずのリュージュの口付けの痕が身体中にたくさん付いていて、リュージュの所に帰ってきて気絶した後に、彼に愛されていたのだと知る。

 ヴィクトリアは自分の敏感な部分から、甘く痺れるような気持ち良い感覚と共に、クチュクチュという水音も聞いた。

 太腿と股の間にはリュージュの年相応よりも立派な男性の象徴が挟まれている。リュージュはヴィクトリアの秘裂や快感を生み出している秘芽を執拗に擦るように動いていて、性交の真似事をされていた。

 ヴィクトリアのお尻や太腿、下腹部の辺りは二人の体液によって濡れている。既にリュージュがこの状態で何度も精を放っていたのだと、残り香からリュージュが吐精する瞬間の絵を脳内に描き出してしまったヴィクトリアは、顔を真っ赤にさせた。

 リュージュは緩急をつけて腰を動かし男根を擦り付けながら、ヴィクトリアの身体に回していた片方の腕を動かして胸に触れ、揉みながら中心部で勃っている乳首を刺激していた。

 ヴィクトリアの口から微かな喘ぎ声が何度も漏れていく。

 ヴィクトリアは快感に翻弄されながらも、愛するリュージュが自分を求めているのならば、今度こそ全てを捧げたいと思った。

「リュー…… っ……う……」

 けれど事前了解もなく意識のない女性を襲ってくるのもリュージュらしくないと思い、ヴィクトリアはとにかくどういうことなのか尋ねたかったが、また達しそうなほどの深い快感に呑まれているのと、やはり口が上手く動かなくて、しゃべれなかった。

『リュージュ――』

 ヴィクトリアは精神感応テレパシーで呼びかけようとした所で、フッと意識を持っていかれる感覚があった。慌てた様子のリュージュにキスをされたことで、再びの気絶は防げた。

「ヴィクトリア、もう魔法は使うな。今のお前は危険な状態なんだ。

 過去に戻る魔法は禁断魔法で、魔法の発動後も、魔力は大量に消費され続けてしまって、魔力が枯渇すればお前は死んでしまうそうだ」

 リュージュが深刻そうな表情でそう言い、ヴィクトリアが魔法を使うことの危険性を説いてくる。

 ヴィクトリアは魔法についての知識は昔読んだ魔法書が頼りで、過去に戻れたあの魔法が、命に関わる危険な魔法であることは今知った。

「さっきマグノリアが来て、今はもう帰っちまったけど、お前が実は魔法使いだったとか、禁断魔法を使っても死なないようにするにはどうすればいいとか、教えてもらったんだ。

 こうやって誰かと肌を合わせていれば、魔力が自然と回復するそうだ」

「あっ…… ふぁっ……」

 言葉に合わせてリュージュが腰の動きを早めてくるので、陰核を強めに擦られたヴィクトリアは腰をビクビク震わせてしまい、再び達した。

 リュージュが性交の真似事をしていたのはそういうことだったのかと、ヴィクトリアは自分から尋ねる前に聞きたかったことを知ることができた。

「ヴィクトリア…… 挿れたい…… 駄目か?」

 吐息を乱すヴィクトリアを見つめながら、瞳の奥に欲望を宿したリュージュが尋ねてくるが、その声音にはどこか不安そうな響きがあった。

 リュージュを不安にさせているのは自分だとヴィクトリアは思った。二日前は拒んでしまったけれど、今度こそ、ヴィクトリアはリュージュと結ばれたいと強い思いを抱いた。

 声が上手く出せないので、ヴィクトリアはリュージュに向かって綺麗に微笑んだ。

 それだけで通じたらしく、リュージュも嬉しそうに笑みを返してくれた。

 ヴィクトリアの大好きな、愛情に満ちた太陽のように眩しい笑顔だった。

 ヴィクトリアは脚を大きく開かされた。秘裂の間を滑るように動いていたリュージュの熱杭が、進路を変える。

「ヴィクトリア、愛してる」

「あ…… んん……」

 先端が膣の入口に嵌まる感覚があって、リュージュの愛の言葉と共に、ゆっくりと彼自身がヴィクトリアと一つになるべく聖域に侵入してきた。

 破瓜の痛みはあったけれど、ヴィクトリアの身も心もリュージュ拒むことなく、むしろ、これまでの人生で一番の喜びと共に彼を最奥まで迎え入れた。

 二人はお互いに涙を流しながら、獣人にとっての至高の喜びの音を、頭の中で同時に聞いていた。
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