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レインハッピーエンド 愛憎を超えて

7 いつか獣人と人間が ✤✤(レイン視点→ヴィクトリア視点)

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 レインは目を開けた。

 見慣れない部屋の光景が視界に入り、自分は寝台に横になっていて、一瞬だけなぜここにいるのだろうとわからなくなった。

 だがすぐにそれまでの経緯を思い出し、レインは部屋を見回して目当ての人物を探そうとした。

「レイン、目が覚めたの?」

 すると部屋の奥から心が洗われるような澄み切った美しい声が聞こえてきて、レインの頬が嬉しさで緩む。

「ヴィクトリア」

 愛しい人の名を呼び、レインは寝台から立ち上がった。寝起きのせいか身体がほんの少し重いように感じたが、記憶が途切れる前のしんどすぎる状態ほどではなかった。

 気絶する直前、魔法の効果が切れたためにほぼ動けなくなり、何とか合体はしたものの早漏などという不本意極まりない結果になって、レインにとっての初体験も当初の予定とはかなり違った終わり方になってしまった。

 本当は、ヴィクトリアの破瓜のも準備していた高級ハンカチで拭って一生保存しておくつもりだったのに、気を失ってそれすらも出来なかった。

(あんな初体験になるはずじゃなかったのに)

 それまでレインはヴィクトリアを必ず満足させるべく、実践こそ自らに固く禁じていたが、知識の吸収や妄想イメージトレーニングを繰り返し、来るべき日に備えていた。

 自分の本来の力ポテンシャルはあんなものではないはずだ。早漏が常だとヴィクトリアに思われるのも困るし――彼女自身は初体験は喜んでいたようにも見えたが――必ず挽回するぞという思いをレインは胸に秘めていた。

 ただ、これから始まるヴィクトリアとの新婚生活に夢や希望を抱いていた部分も多く、レインはヴィクトリアに親愛の情で接しようとした。

 なのに、現れたヴィクトリアを見たレインの思考は一気に色事エロ方面へ動いてしまい、下半身に血が集まっていくのを感じた。

 なぜならば、部屋の奥――たぶん浴室――から笑顔で現れたヴィクトリアが、バスタオルを一枚巻いただけという無防備すぎる姿だったからだ。

 レインは誘われているように感じた。

(抱いてくれと、初体験のやり直しをしてくれと、そういうことかな、ヴィクトリア――――)





******





 レインと真の番になってからかれこれ三日経つ。あれから襲撃が来ることもなかったが、首都の様子を見てくるとノエルがいなくなってしまって、現在この家にはヴィクトリアとレインの二人しかいない。

 寝たままずっと起きないレインの世話を魔法の力も借りて行いながら――着替えはレインの肉体を直に見て触ってドキドキしながら行ったが――ヴィクトリアは魔法書を読み込んだり趣味の入浴を繰り返す日々を過ごしていた。

 その日、ヴィクトリアはたまたま入浴中にレインが目覚めたことに気付いた。番の匂いは他の匂いに比べてより強く敏感に感じ取れる。

 笑顔になったヴィクトリアは早くレインの所に行きたくて、身体にバスタオルを巻き付けただけの格好で浴室から出てきてしまった。

「レイン、目が覚めたの?」

 ヴィクトリアは忘れていた。

 レインは、シャワーを浴びただけで誘っていると勘違いして襲ってきた前科があることを。

「起きられて良かったわ。三日も目覚めなかったから、すごく心配したのよ」

「三日か。じゃあ充分すぎるくらいにな。むしろ出さなきゃな」

 何を言っているのか意味がわからなかったが、ヴィクトリアは笑顔のままでレインに近付いた。

「お腹空いてる? 一応、魔法でずっと寝たままでも大丈夫なように身体の状態は維持していたけど、食べたいものがあれば出すわ」

「ヴィクトリアを食べたい」

「え? 何言って――――」

 レインがヴィクトリアを腕の中に閉じこめるよう抱きしめて、話を遮るように口付けてきた。

 舌をねじ込まれて、まるで本当に食べられているように口内を蹂躙される。

 肉食の獣人のお肉なんて食べてもきっと美味しくないわよと、ヴィクトリアも少しズレたことを一瞬だけ考えたが、お腹のあたりにはレインの勃起した雄が当たっているし、それを感じた所でレインの言っている意味を理解した。

 本当はヴィクトリアが現れた時から、レインは半裸姿のヴィクトリアをねっとりと絡みつくような欲望だらけの目で視姦していたが、少々男性免疫が足りないヴィクトリアは気付いていなかった。

 レインは胸あたりのバスタオルを掴んでずらし、ヴィクトリアの両胸を表出させた。緩んだバスタオルがそのままバサリと下に落ちて、ヴィクトリアは全裸になってしまう。

「ちょ、ちょっと……」

 なぜ寝起きでいきなり盛っているのかとヴィクトリアは焦ったが、レインは構わず両胸に触れてくる。

 レインは胸をすくい上げるように柔らかく揉み始め、指の腹で先端部をコリコリと刺激していて、ヴィクトリアは早くも快感めいたものを感じてしまった。

 もう片方の胸も揉みながら舌を這わせ、薄桃色の先端に到達すると、唾液を多分に含ませた舌で転がして吸い付いてくる。

「あ、ああ…… いやぁ……」

 恥ずかしいのと気持ちいいので思わず声が漏れてしまう。ヴィクトリアは顔を真っ赤にしながら胸への愛撫に耐えた。胸を食みながらこちらを探るように見上げてくるレインの表情が、熱を孕んでいていやらしかった。

 レインはちゅぱっと音を立てて勃起した乳首から口を離すと、今度は顔面を胸の谷間に埋めてきた。その状態でヴィクトリアを強く抱きしめながら息を大きく吸って吐く。

「お風呂上がりのヴィクトリア…… はぁ…… 石鹸のいい匂いがする…… あったかいなぁ………… きっと君の中もあったかくて気持ち良いよね…… 初めての時はすぐ終わっちゃったから実感が足らなくて………… お風呂でするのも夢だったけど、まずは寝台ベッドで初体験のやり直しをしようか」

「わ、私は…… 初体験、良かったけど…………」

 レインに抱きしめられたまま足の裏が浮いて寝台へ運ばれる最中、ヴィクトリアはレインを落ち着けるべく、やり直す必要はないと話したかった。けれどレインはヴィクトリアの言葉を聞いて首を振る。

「誤解してもらっては困るけど、俺の君への愛はあんなもんじゃないからね。もっと君を開発して気持ち良くしていかないと」

「か、か、か、か、開発」

 恋愛小説でそういう単語は見かけたことがあるので意味はわかる。ヴィクトリアは顔から火が出そうだった。

「獣人は抱けば抱くほど惚れてくる生き物らしいって――――アーク隊長もよくそんなこと言ってたし」

 ヴィクトリアはその名前を聞いて黙った。

(たぶんそれ、実体験――――)

 レインが眠っている間、ヴィクトリアはノエルと話をして、彼ら一家の詳しい事情――父アークは人間だが母ロゼが獣人――も聞いた。

 その際にノエルからは、「レインにもちゃんと真実を伝えたいが、自分たちとレインの関係性も色々あって、打ち明けるのは家族と相談してからにしたい」というようなことを言われていた。

 なのでノエルたちが話す覚悟が決まるまでは、ヴィクトリアは自分が伝えるべきではないと思っていたし、実際にノエルからも口止めされている。

 ただ、獣人のヴィクトリアを愛してくれたレインだから、きっと彼らのことも受け入れてくれるだろうとは思うけれど。

 いつか獣人と人間が、魔法がなくても一緒に暮らせるような世界に変わっていければいいと思う。
 
 そんなことを考えているうちに、ヴィクトリアは寝台に下ろされると同時に太ももを掴まれて、局所がレインに丸見えになるように開脚させられた。

「舐めさせてくれ。まずはそこからだ」

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