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『番の呪い』後編
96 男の影(ナディア視点)
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蒸気機関車が駅の構内に入り、ゆっくりと停車する。ここは首都から南に位置する主要な街の駅で、石炭の補給のために三十分ほど停車するらしい。
ちょうど夕食時に差し掛かり他の乗客たちが食事を求めて構内の店に向かう中、ナディアは少し離れた場所にある厠へと向かう。
周囲の目がないことを確認してから、ナディアは個室になっている男性用の厠へ入って鍵をかけた。一人用の厠の中は狭いが、便器の他に手洗い場と鏡があった。
ナディアは鏡の前に映る中年男の姿を見て嘆息する。
(何だろうこのくたびれたおっさんは)
中年の哀愁漂う猫背と光を失ったような濁った目に、たわんだ顎肉と腹の肉。しかも頭頂部に毛は全くなくて、日焼けした地肌が見えていた。
マグノリアは、ナディアを十代の娘とは真逆の位置にいるような容姿にして、極力正体がわからないようにしたかったのかもしれない。
(でもそれにしたって、これはちょっと酷すぎじゃない?)
マグノリアが意図してやってるならただの悪戯心なのかもしれないが、若干の悪意すら感じる。
(せめて髪の毛はフサフサにしてほしい)
「ねえマグ、聞こえる?」
鞄から札を取り出して交信を試みる。声までおっさんのダミ声だ。
(中身は乙女なのに嫌になるわ)
魔法にかかった直後は顔と頭の様子なんてわからなかったし、ナディアは自分の声が中年男性のガラガラ声になっているのはさすがに理解していたが、逃げるのが先決だったのであまり気にしていなかった。
『なあに?』
やや間があって頭の中にマグノリアの声が響く。
「ちょっとこの姿なんとかならない? 銃騎士隊の目を欺くためなのはわかるけど、こんな冴えないおじさんの姿じゃなくても良くない?」
『そう? それはそれで可愛いと思うのに。家族のために身を粉にして一生懸命働く大黒柱感が表現できるような設定にしてみました』
「そういう設定はいいから」
『見た目がどうであろうと、中身がナディアという素敵な女の子であることに変わりはないわ。私はそれを伝えたかったのよ』
「何かもっともらしいことを言ってるけど、じゃあマグはもしロイ兄さんが将来ハゲデブで目が死んでるようなくたびれた中年に変わり果てても、兄さんに今と変わらない愛を捧げ続けることができるのね?」
『私はロイがどんな姿になろうと、ロイがロイで居続ける限り愛し抜けるわ。私はどちらかと言うとあの人の中身に惚れたのよ』
「へぇ……」
ナディアは相槌を打ちながら、別のことを考えた。
「でも、中身が大事なのはわかってるけど、外見だってとても大事。外側が整っていればそれに引っ張られて沈んだ心だって上がっていくのよ」
『そういうことは確かにあるけど、ナディアはちょっと外見のことばかりにこだわりすぎてる気もするわ。
でもまあ、そうね、今回はちょっとやりすぎたかもね。じゃあ、もっと違う感じにしてみるわね』
鏡の前に立つナディアの姿が一瞬にして変わる。背がさらに伸びて、出ていた腹部は引っ込んで引き締まり、洒落た服を着込んだ金髪碧眼の若者へと早変わりした。
年齢だけなら二十歳ほど若返っていて、顔付きもかなり整っている。
けれどその姿を鏡で確認したナディアは、一瞬驚きに目を見張り顔を強張らせる。
「マグ、これは――――」
『大変! お肉が焦げちゃう!』
料理中だったらしきマグノリアの声が聞えて、ナディアの声が阻まれた。
「マグ?」
『ごめんねナディア、ちょっと料理を失敗したけど魔法で戻したから大丈夫よ。何か言いかけてなかった?』
「あの、髪の毛と目の色は違う色にしてほ――――」
『あっ! カナ!』
再びマグノリアが短く叫ぶ声がする。
「どうしたの? 大丈夫?」
『カナがコップで飲んでいたミルクを溢しちゃったの。掃除するからちょっと待ってて』
一緒に暮らしていた頃、カナリアが何か失敗した時には、マグノリアは魔法を使わずに通常の方法で掃除をしたり、壊れたおもちゃはもう直せないと諭したりしていた。
魔法で何でも簡単に元に戻ると思ってしまうと教育上良くないからだそうだ。
「ええ、わかったわ」
しかし、しばらく待ってみても何も言ってこない。ナディアは蒸気機関車の発車時刻が気になり始めた。
『ナディア、待たせてごめんね。ええと、髪の毛と目の色を違う色―――― え? おしっこ? 今?』
今度はカナリアの厠への付添いらしい。
『漏れそうって、もう少し早く言って! ごめんねナディア、もうちょっと待っ――』
「ううん、やっぱり大丈夫」
マグノリアの言葉に被せるようにナディアはそう言った。
「もうすぐ列車の発車時刻なの。これに乗れなかったら今日中に次の列車があるかもわからないし、とりあえずさっきよりはマシだからこれでいいわ」
『ごめんね、また何かあったら言ってね』
「ええ、それじゃまた」
マグノリアも急いでいる様子だったので、やり取りはそこで終わった。
ナディアは札を鞄にしまい厠の個室から出ると、急ぎ足で蒸気機関車が止まっている場所まで戻った。
途中で店に立ち寄り、座席で簡単に食べられそうなものを買ってから列車に乗り込み、ややあって出入り口の扉が閉まった。
(何とか間に合って良かった)
列車の中はそれなりに人が乗っているが、ナディアが座った相向かいになっている座席には誰もいなかった。
ナディアは購入した鶏肉が棒に刺さった軽食の包みを開けようとして、ふと、窓の外に目をやった。
窓硝子には列車内の光を受けて、一人の青年の姿が写っていた。
マグノリアの魔法で変えられた今のナディアの姿だが、青年は艶めく金色の髪と、良く晴れた青い空のような、とても澄んだ瞳の色をしている。
青年の姿をしている自分を見るナディアの表情には、どこか悲しみが滲んでいた。硝子の中のナディアの背後には夜の闇が広がっていて、暗くて何も見えない。
ナディアはなるべく窓の方を見ないようにしながら、包みの中の軽食を食べきった。
列車に揺られて物憂げに考え込んでいると、そのうちに次の停車駅に止まった。今度は十分程度駅に留まってから発車するという。
ナディアは立ち上がった。
再び厠を見つけて、その中に飛び込んだ。鍵を閉めて、鞄の中から札を取り出す。
ナディアはもう一度マグノリアを呼び出そうかとも思ったが、列車の停車時間は先程よりも短いし、今頃は向こうも夕食の時間だ。マグノリアも忙しくしているだろう。
(変装道具なら私だって持ってるし、銃騎士隊からはもう充分に逃げてきた………… もういいよね)
ナディアは決別したはずの相手と似た姿でいることが耐えられなかった。
魔力の込もった札を二つに破くと、途端に、ナディアは元の少女の姿に戻った。
ナディアは鞄から長い黒髪のウィッグと眼鏡を取り出すと、手早く着けて変装してから厠を出た。
急いで列車が停車している場所まで戻りながら、ナディアは札を破いたことでマグノリアと交信できなくなってしまったことに気が付いた。
けれど、まあ後は何とかなるだろうとナディアは楽観的に考えた。
ちょうど夕食時に差し掛かり他の乗客たちが食事を求めて構内の店に向かう中、ナディアは少し離れた場所にある厠へと向かう。
周囲の目がないことを確認してから、ナディアは個室になっている男性用の厠へ入って鍵をかけた。一人用の厠の中は狭いが、便器の他に手洗い場と鏡があった。
ナディアは鏡の前に映る中年男の姿を見て嘆息する。
(何だろうこのくたびれたおっさんは)
中年の哀愁漂う猫背と光を失ったような濁った目に、たわんだ顎肉と腹の肉。しかも頭頂部に毛は全くなくて、日焼けした地肌が見えていた。
マグノリアは、ナディアを十代の娘とは真逆の位置にいるような容姿にして、極力正体がわからないようにしたかったのかもしれない。
(でもそれにしたって、これはちょっと酷すぎじゃない?)
マグノリアが意図してやってるならただの悪戯心なのかもしれないが、若干の悪意すら感じる。
(せめて髪の毛はフサフサにしてほしい)
「ねえマグ、聞こえる?」
鞄から札を取り出して交信を試みる。声までおっさんのダミ声だ。
(中身は乙女なのに嫌になるわ)
魔法にかかった直後は顔と頭の様子なんてわからなかったし、ナディアは自分の声が中年男性のガラガラ声になっているのはさすがに理解していたが、逃げるのが先決だったのであまり気にしていなかった。
『なあに?』
やや間があって頭の中にマグノリアの声が響く。
「ちょっとこの姿なんとかならない? 銃騎士隊の目を欺くためなのはわかるけど、こんな冴えないおじさんの姿じゃなくても良くない?」
『そう? それはそれで可愛いと思うのに。家族のために身を粉にして一生懸命働く大黒柱感が表現できるような設定にしてみました』
「そういう設定はいいから」
『見た目がどうであろうと、中身がナディアという素敵な女の子であることに変わりはないわ。私はそれを伝えたかったのよ』
「何かもっともらしいことを言ってるけど、じゃあマグはもしロイ兄さんが将来ハゲデブで目が死んでるようなくたびれた中年に変わり果てても、兄さんに今と変わらない愛を捧げ続けることができるのね?」
『私はロイがどんな姿になろうと、ロイがロイで居続ける限り愛し抜けるわ。私はどちらかと言うとあの人の中身に惚れたのよ』
「へぇ……」
ナディアは相槌を打ちながら、別のことを考えた。
「でも、中身が大事なのはわかってるけど、外見だってとても大事。外側が整っていればそれに引っ張られて沈んだ心だって上がっていくのよ」
『そういうことは確かにあるけど、ナディアはちょっと外見のことばかりにこだわりすぎてる気もするわ。
でもまあ、そうね、今回はちょっとやりすぎたかもね。じゃあ、もっと違う感じにしてみるわね』
鏡の前に立つナディアの姿が一瞬にして変わる。背がさらに伸びて、出ていた腹部は引っ込んで引き締まり、洒落た服を着込んだ金髪碧眼の若者へと早変わりした。
年齢だけなら二十歳ほど若返っていて、顔付きもかなり整っている。
けれどその姿を鏡で確認したナディアは、一瞬驚きに目を見張り顔を強張らせる。
「マグ、これは――――」
『大変! お肉が焦げちゃう!』
料理中だったらしきマグノリアの声が聞えて、ナディアの声が阻まれた。
「マグ?」
『ごめんねナディア、ちょっと料理を失敗したけど魔法で戻したから大丈夫よ。何か言いかけてなかった?』
「あの、髪の毛と目の色は違う色にしてほ――――」
『あっ! カナ!』
再びマグノリアが短く叫ぶ声がする。
「どうしたの? 大丈夫?」
『カナがコップで飲んでいたミルクを溢しちゃったの。掃除するからちょっと待ってて』
一緒に暮らしていた頃、カナリアが何か失敗した時には、マグノリアは魔法を使わずに通常の方法で掃除をしたり、壊れたおもちゃはもう直せないと諭したりしていた。
魔法で何でも簡単に元に戻ると思ってしまうと教育上良くないからだそうだ。
「ええ、わかったわ」
しかし、しばらく待ってみても何も言ってこない。ナディアは蒸気機関車の発車時刻が気になり始めた。
『ナディア、待たせてごめんね。ええと、髪の毛と目の色を違う色―――― え? おしっこ? 今?』
今度はカナリアの厠への付添いらしい。
『漏れそうって、もう少し早く言って! ごめんねナディア、もうちょっと待っ――』
「ううん、やっぱり大丈夫」
マグノリアの言葉に被せるようにナディアはそう言った。
「もうすぐ列車の発車時刻なの。これに乗れなかったら今日中に次の列車があるかもわからないし、とりあえずさっきよりはマシだからこれでいいわ」
『ごめんね、また何かあったら言ってね』
「ええ、それじゃまた」
マグノリアも急いでいる様子だったので、やり取りはそこで終わった。
ナディアは札を鞄にしまい厠の個室から出ると、急ぎ足で蒸気機関車が止まっている場所まで戻った。
途中で店に立ち寄り、座席で簡単に食べられそうなものを買ってから列車に乗り込み、ややあって出入り口の扉が閉まった。
(何とか間に合って良かった)
列車の中はそれなりに人が乗っているが、ナディアが座った相向かいになっている座席には誰もいなかった。
ナディアは購入した鶏肉が棒に刺さった軽食の包みを開けようとして、ふと、窓の外に目をやった。
窓硝子には列車内の光を受けて、一人の青年の姿が写っていた。
マグノリアの魔法で変えられた今のナディアの姿だが、青年は艶めく金色の髪と、良く晴れた青い空のような、とても澄んだ瞳の色をしている。
青年の姿をしている自分を見るナディアの表情には、どこか悲しみが滲んでいた。硝子の中のナディアの背後には夜の闇が広がっていて、暗くて何も見えない。
ナディアはなるべく窓の方を見ないようにしながら、包みの中の軽食を食べきった。
列車に揺られて物憂げに考え込んでいると、そのうちに次の停車駅に止まった。今度は十分程度駅に留まってから発車するという。
ナディアは立ち上がった。
再び厠を見つけて、その中に飛び込んだ。鍵を閉めて、鞄の中から札を取り出す。
ナディアはもう一度マグノリアを呼び出そうかとも思ったが、列車の停車時間は先程よりも短いし、今頃は向こうも夕食の時間だ。マグノリアも忙しくしているだろう。
(変装道具なら私だって持ってるし、銃騎士隊からはもう充分に逃げてきた………… もういいよね)
ナディアは決別したはずの相手と似た姿でいることが耐えられなかった。
魔力の込もった札を二つに破くと、途端に、ナディアは元の少女の姿に戻った。
ナディアは鞄から長い黒髪のウィッグと眼鏡を取り出すと、手早く着けて変装してから厠を出た。
急いで列車が停車している場所まで戻りながら、ナディアは札を破いたことでマグノリアと交信できなくなってしまったことに気が付いた。
けれど、まあ後は何とかなるだろうとナディアは楽観的に考えた。
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