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レインバッドエンド 愛していると言わない男
9 禁句 ✤
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注)器具責め陵辱(詳細なし)があります
***
レインが帰ってこない。
地下室に一人きり取り残されたヴィクトリアは、今レインがどうしているのか考える度に心が擦り切れそうになっていた。
レインは仕事だと言っていたが、本当は別の女の所にいるのではないかと悪い方にばかり考えてしまう。
入浴をしてももう気持ちを切り替えることができない。レインとの結婚写真だけが今のヴィクトリアの支えたった。
ヴィクトリアは写真を見つめながら自分に言い聞かせる。
(信じなきゃ…… レインは私の唯一の番なのだから、信じないと……)
たとえ愛していると言ってくれなくても。
「レイン!」
何日ぶりだろう、レインが帰って来てくれた。
ヴィクトリアは喜び勇んでレインに飛びついた。レインの身体から女の人の匂いは全くしない。
(やっぱりこの人は私だけのレインだ。信じて良かった)
「ごめん、ヴィクトリア。遅くなった」
レインが抱きしめてくれる。この人の腕の中にいることがヴィクトリアの至上の幸せだった。
夕食前の時間帯だったので、レインが湯浴みをしている間に食事の準備をした。夕食の仕度をしながら、ヴィクトリアはある一つのことを決意していた。
今はレインがそばにいてくれるから気持ちが上向いているが、またいなくなれば沈み込み、暗いことばかり考えてしまう。延々と悩み続けるのも良くないし、ヴィクトリアはこの際はっきりと聞いてしまおうと思った。
ティナという人は誰なのかを。
夕食はステーキと、スープを用意した。食材がもう少なくなっていると告げると、レインは「明日は休みにしたから買い出しに行ってくるよ」と言った。
「どうした? まだ調子悪い?」
レインは任務のことなど外であった話をヴィクトリアにしてくれる。外の話は新鮮なので、それまでだったらいつもニコニコと笑顔でレインの話を聞いていたヴィクトリアだったが、寝言で呼んだ女性のことを聞こうと決めていたので、どこか緊張した面持ちでいたようだ。
ヴィクトリアは首を振った。月経はもう終わっているのだ。
ヴィクトリアはナイフとフォークを置いた。
「レインに聞きたいことがあるの」
「何?」
「ティナって誰?」
その瞬間、レインの表情から全ての色が消えた。
ダン! とナイフとフォークを叩きつけるように置いたレインが激しい音を立てて椅子から立ち上がった。
「レ、レイン、どうしたの……?」
レインはヴィクトリアの問いに答えることもなく、無言で階段を上る。ギィィ…… と扉が開く音がして、レインは一階に行ってしまった。
ヴィクトリアはレインを怒らせてしまったと思って、胸がぎゅっと圧迫されたようになった。ティナが誰かなんて聞いてはいけなかったのか。ヴィクトリアは激しい不安に襲われて何もできずにいたが、レインはすぐに戻ってきた。
「レイン、ごめ……」
謝ろうと開いた口が途中で止まる。階段を下りるレインの手には男性器を模した張型が握られていた。しかも最初に使ったものよりも大きくて太い。
衝撃が身体中を突き抜けた。レインが再びそれをヴィクトリアに使おうとしているのは明らかだった。
ヴィクトリアは椅子を倒して逃げた。
(裏切られた、また…………)
あんなもので貫かれるのは他の男と性交することと同じだ。それが番の手によるものでも到底受け入れられない。
外に出なければと思ったが、一階へ続く扉は番号で解除する仕組みになっていて、おまけにレインは度々番号を変えているらしく、番号の予想はつかない。調理台上の換気口だって狭すぎて外には出られない。逃げ場なんかなかった。
ヴィクトリアは足を止めて振り返った。説得してやめるように言うしかない。けれど振り返った瞬間、首筋にプスリと何かを刺されて痛みが走った。
すぐにレインから距離を取って刺さったそれを首から抜くが、手の中にある注射器の中身は空であり、既にヴィクトリアの体内へ取り込まれてしまった後だった。
「……なんで…………」
呆然と握りしめた注射器を見ながら、力なく呟くヴィクトリアの膝がその場に落ちた。身体中の力が急速に抜けていく。口から摂取するよりも注射針で入れた方が薬の回りが早いのか。
ヴィクトリアは刺された首の場所を抑えながら、涙がぼろぼろ溢れる瞳に絶望を湛えてレインを睨み上げた。
「二度としないって言ったじゃない!」
レインは何も答えなかった。感情を押し殺したような冷たい目でヴィクトリアを見下ろしているだけだった。
レインは慟哭し恐怖でガタガタと震えているヴィクトリアの腕を掴んで無理矢理立たせると、彼女の抵抗を抑え込み、引きずるように寝室へと連れ込んだ。
***
レインが帰ってこない。
地下室に一人きり取り残されたヴィクトリアは、今レインがどうしているのか考える度に心が擦り切れそうになっていた。
レインは仕事だと言っていたが、本当は別の女の所にいるのではないかと悪い方にばかり考えてしまう。
入浴をしてももう気持ちを切り替えることができない。レインとの結婚写真だけが今のヴィクトリアの支えたった。
ヴィクトリアは写真を見つめながら自分に言い聞かせる。
(信じなきゃ…… レインは私の唯一の番なのだから、信じないと……)
たとえ愛していると言ってくれなくても。
「レイン!」
何日ぶりだろう、レインが帰って来てくれた。
ヴィクトリアは喜び勇んでレインに飛びついた。レインの身体から女の人の匂いは全くしない。
(やっぱりこの人は私だけのレインだ。信じて良かった)
「ごめん、ヴィクトリア。遅くなった」
レインが抱きしめてくれる。この人の腕の中にいることがヴィクトリアの至上の幸せだった。
夕食前の時間帯だったので、レインが湯浴みをしている間に食事の準備をした。夕食の仕度をしながら、ヴィクトリアはある一つのことを決意していた。
今はレインがそばにいてくれるから気持ちが上向いているが、またいなくなれば沈み込み、暗いことばかり考えてしまう。延々と悩み続けるのも良くないし、ヴィクトリアはこの際はっきりと聞いてしまおうと思った。
ティナという人は誰なのかを。
夕食はステーキと、スープを用意した。食材がもう少なくなっていると告げると、レインは「明日は休みにしたから買い出しに行ってくるよ」と言った。
「どうした? まだ調子悪い?」
レインは任務のことなど外であった話をヴィクトリアにしてくれる。外の話は新鮮なので、それまでだったらいつもニコニコと笑顔でレインの話を聞いていたヴィクトリアだったが、寝言で呼んだ女性のことを聞こうと決めていたので、どこか緊張した面持ちでいたようだ。
ヴィクトリアは首を振った。月経はもう終わっているのだ。
ヴィクトリアはナイフとフォークを置いた。
「レインに聞きたいことがあるの」
「何?」
「ティナって誰?」
その瞬間、レインの表情から全ての色が消えた。
ダン! とナイフとフォークを叩きつけるように置いたレインが激しい音を立てて椅子から立ち上がった。
「レ、レイン、どうしたの……?」
レインはヴィクトリアの問いに答えることもなく、無言で階段を上る。ギィィ…… と扉が開く音がして、レインは一階に行ってしまった。
ヴィクトリアはレインを怒らせてしまったと思って、胸がぎゅっと圧迫されたようになった。ティナが誰かなんて聞いてはいけなかったのか。ヴィクトリアは激しい不安に襲われて何もできずにいたが、レインはすぐに戻ってきた。
「レイン、ごめ……」
謝ろうと開いた口が途中で止まる。階段を下りるレインの手には男性器を模した張型が握られていた。しかも最初に使ったものよりも大きくて太い。
衝撃が身体中を突き抜けた。レインが再びそれをヴィクトリアに使おうとしているのは明らかだった。
ヴィクトリアは椅子を倒して逃げた。
(裏切られた、また…………)
あんなもので貫かれるのは他の男と性交することと同じだ。それが番の手によるものでも到底受け入れられない。
外に出なければと思ったが、一階へ続く扉は番号で解除する仕組みになっていて、おまけにレインは度々番号を変えているらしく、番号の予想はつかない。調理台上の換気口だって狭すぎて外には出られない。逃げ場なんかなかった。
ヴィクトリアは足を止めて振り返った。説得してやめるように言うしかない。けれど振り返った瞬間、首筋にプスリと何かを刺されて痛みが走った。
すぐにレインから距離を取って刺さったそれを首から抜くが、手の中にある注射器の中身は空であり、既にヴィクトリアの体内へ取り込まれてしまった後だった。
「……なんで…………」
呆然と握りしめた注射器を見ながら、力なく呟くヴィクトリアの膝がその場に落ちた。身体中の力が急速に抜けていく。口から摂取するよりも注射針で入れた方が薬の回りが早いのか。
ヴィクトリアは刺された首の場所を抑えながら、涙がぼろぼろ溢れる瞳に絶望を湛えてレインを睨み上げた。
「二度としないって言ったじゃない!」
レインは何も答えなかった。感情を押し殺したような冷たい目でヴィクトリアを見下ろしているだけだった。
レインは慟哭し恐怖でガタガタと震えているヴィクトリアの腕を掴んで無理矢理立たせると、彼女の抵抗を抑え込み、引きずるように寝室へと連れ込んだ。
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