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レインバッドエンド 愛していると言わない男
4 愛していると言わない男 ✤✤
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ヴィクトリアがレインの家の地下で暮らすようになってしばらく経つ。少し前にレインは任務のために首都から離れてしまい、ヴィクトリアは一人地下室でレインを恋しく思いながら過ごし、レインに会えることだけを心の支えにして生きていた。
外に出られないこととレインが仕事でいなくなって会えない時間が多いことを除けば、地下室の住み心地自体はそれほど悪くない。
その日も朝起きて、いつものように花壇のマリーゴールドに水をあげてから、先に洗濯を済ませてサンルームに干しに行く。
この部屋の光は一階のサンルームに注いだ光をさらに硝子に透過させているので、暗いわけではないのだが、外で浴びていたものよりも陽射しはどこか淡く儚げだ。
洗濯の後に昨日作った料理の残りで朝食を簡単に済ませようとするが、あまり食欲が出ずに半分ほど残してしまった。
皿を洗ったあとは地下中央のリビングにあるソファに座って何をするでもなくぼうっとしてしまう。最近はただぼうっとしている時間が増えた。
このままではよくないことはわかっている。ヴィクトリアは気持ちを奮い立たせて浴室に向かった。趣味である入浴をしている時は心が落ち着いていつもの自分でいられた。
お湯を溜め、里では禁止されていた入浴剤を入れて香りを楽しみながらお湯に浸かると、落ち込んでいた気分が少し上向いてきた気がする。
(自由がなく一人でいることが多かったのは里でも同じだった。だから大丈夫。あの頃はリュージュが支えだった。今はレインがいてくれる。私の番。大丈夫。レインの仕事が終わったらまた会える)
入浴後は昨日読みかけだった本を持ってサンルームへ向かう。書斎やリビングで読むこともあるが、椅子を持ち出してきてサンルームで読むのも頻回だった。外にいるようで少し気持ちが良いのだ。
読書に没頭しているといつの間にか陽の光が橙色に近付いていることに気付く。時間の感覚が麻痺してしまっていたが、もう夕方のようだ。そのうちここも暗くなる。
明かりの灯らないサンルームの夜は、真っ暗で怖いのであまり近付きたくない。ヴィクトリアは急いで洗濯ものを取り込むとサンルームを後にした。
昼食を飛ばしてしまったが、あまり空腹を感じない。とりあえずヴィクトリアはまたお風呂に入った。
入浴で気持ちをすっきりさせた後に夕食の準備に取り掛かる。保存庫の中にはレインが用意してくれた食材が入っている。
(今日は魚料理にしよう)
ヴィクトリアはレインが帰ってきてくれることを願って二人分調理するが、たぶん今日も彼は帰ってこない。だからこれはきっと自分の明日の朝食になるだろう。
皿に盛って用意はしたものの、手のつけられることのない向かい側の料理を眺めなら、ヴィクトリアはため息を吐く。レイン以外にここを訪れるものは誰もいない。孤独だ。
ここは里ではないが、里に似た場所だと思った。むしろ外に一切出してもらえずレイン以外の人物とは全く接触できない状況は、里にいた時以上にヴィクトリアを孤独にさせる。
シドの束縛から逃れて自分だけの番を持つことが長年の夢だった。その夢は叶った。もうシドの顔色を伺わなくてもいいし、いつ襲われてもおかしくないと、日常の中に潜んでいた身の危険に怯えなくてもいい。
けれど、番を持てば自然と孤独ではなくなるだろうという予測は外れた。唯一無二の番を得ても、現状、心は寂しいままだった。
レインはこのくらいの期間ヴィクトリアと会わなくても寂しくないのかもしれない。
レインは時間が不規則な仕事に就いているのだから仕方がないことはわかっているつもりだ。でも理屈じゃなくて心が寂しい。早くレインに会いたい。
レインが家にいるときは階上に上がって人間の新婚夫婦のような生活をするのだが、レインは休みの日よりも仕事でいない日の方が多いし、今回のように続けて何日も帰ってこないことも多い。地下で一人きりで過ごす時間の方が圧倒的に多かった。
レインと営む場所も地下ばかりだった。レインは地下室以外ではヴィクトリアを抱きたがらなかった。その代わり夜勤でなければ夜は地下に降りてきて寝室で一緒に寝てくれる。
レインは時々意地悪だけれど基本的に優しいし、奴隷に落とされたといっても、家の外へ出ることを一切禁止にしていることと、番になるために最初に強姦してきたこと以外では、酷いことはしない人だ。
そう思っていたのだが――――
その日の夜、料理台の上にある換気口の向こうから、激しい雨が降り注いでいる音がした。ヴィクトリアが本日最後の入浴と浴室清掃を終えてリビングに戻ってきたあたりから天候が急変し、外では激しい雨と風が吹いているようだった。
叩きつけるような雨の音が怖いし、一人の夜は寂しい。ヴィクトリアは寝室の明かりを暗くしてさっさと寝てしまうことにした。
でも雨の音が酷くて眠れない。寝台で一人でいると寂しさが身の内に募っていく……
なかなか眠れないヴィクトリアは人生で初めての行為をすることにした。
もうどうにでもなれというか、少し投げやりな気分だった。
レインが用意してくれた上等な寝間着の隙間から自分の手を滑り込ませる。指先が繁みを捉え、その先に進むと何度もレインと繋がった場所の入口に辿り着く。
ヴィクトリアは中に指を沈み込ませることはせず、秘裂の入口だけを指の腹でなぞっていた。
そこから先に入っていいのはレインだけだ。たとえ自分自身の指であっても中に入れることにとても抵抗を感じた。そこはレインだけに捧げた、レイン専用の場所だ。
中を刺激しなくても、レインのことを脳裏に描きながら縁を上下に擦っているだけで気持ちが高まってくる。
『とても綺麗だよ、ヴィクトリア』
レインはよくヴィクトリアの容姿を褒めてくれた。
『おっぱいも柔らかくて気持ちがいい』
寝間着をはだけさせたヴィクトリアは、レインがいつもそうしていたように胸を触って苛め始める。
『ここの具合も最高だ』
ヴィクトリアはレインの陰茎で中を擦られている時の事を思い出しながら、秘裂上部にある突起を弄り始めた。とぷりと溢れてくる蜜を指ですくい、陰核にまぶして捏ねると快感が強くなる。お腹の奥がキュンキュンしてしまい、想像ではなく早く本物で突いてほしいと思いながら、手の動きを早めた。
「んあっ…… あっ……」
呼吸を荒げながら呻いて果てる。全身を快楽が駆け抜けていった。
『愛してるよ、ヴィクトリア』
呼吸を整えるヴィクトリアの目尻にじわりと涙がにじむ。
想像の中のレインは、番になってからは一度も言ってくれない言葉を口にしてくれる。
(私も愛してる。愛してるわ、レイン……)
想像の中のレインに心で返してから、ヴィクトリアは再び陰核とむき出しの胸に手を添えた。
一人きりの地下室生活で欲求不満に陥っていたヴィクトリアは、想像の中だとしても自分を愛していると言ってくれるレインに会いたくて、自慰行為に耽溺した。
やがて股関と手を自分の愛液でベトベトにしながらも、不安感が拭われたヴィクトリアは心地よい眠りに誘われ、幸せな気持ちのままで、乱れた衣服も直さずにそのまま眠りに落ちてしまった。
ギィィ…… と、一階に続く階段上の扉が開く音がしたのは、ヴィクトリアがかなり深い眠りに落ちてしまった頃だった。
地下の階段を降りる隊服姿のレインの全身はずぶ濡れで、水滴がポタポタと床に落ちていく。レインの顔面は蒼白で、瞳は生気がないかのように虚ろだった。
レインはその状態のまま、真っ直ぐヴィクトリアのいる寝室へ向かった。
外に出られないこととレインが仕事でいなくなって会えない時間が多いことを除けば、地下室の住み心地自体はそれほど悪くない。
その日も朝起きて、いつものように花壇のマリーゴールドに水をあげてから、先に洗濯を済ませてサンルームに干しに行く。
この部屋の光は一階のサンルームに注いだ光をさらに硝子に透過させているので、暗いわけではないのだが、外で浴びていたものよりも陽射しはどこか淡く儚げだ。
洗濯の後に昨日作った料理の残りで朝食を簡単に済ませようとするが、あまり食欲が出ずに半分ほど残してしまった。
皿を洗ったあとは地下中央のリビングにあるソファに座って何をするでもなくぼうっとしてしまう。最近はただぼうっとしている時間が増えた。
このままではよくないことはわかっている。ヴィクトリアは気持ちを奮い立たせて浴室に向かった。趣味である入浴をしている時は心が落ち着いていつもの自分でいられた。
お湯を溜め、里では禁止されていた入浴剤を入れて香りを楽しみながらお湯に浸かると、落ち込んでいた気分が少し上向いてきた気がする。
(自由がなく一人でいることが多かったのは里でも同じだった。だから大丈夫。あの頃はリュージュが支えだった。今はレインがいてくれる。私の番。大丈夫。レインの仕事が終わったらまた会える)
入浴後は昨日読みかけだった本を持ってサンルームへ向かう。書斎やリビングで読むこともあるが、椅子を持ち出してきてサンルームで読むのも頻回だった。外にいるようで少し気持ちが良いのだ。
読書に没頭しているといつの間にか陽の光が橙色に近付いていることに気付く。時間の感覚が麻痺してしまっていたが、もう夕方のようだ。そのうちここも暗くなる。
明かりの灯らないサンルームの夜は、真っ暗で怖いのであまり近付きたくない。ヴィクトリアは急いで洗濯ものを取り込むとサンルームを後にした。
昼食を飛ばしてしまったが、あまり空腹を感じない。とりあえずヴィクトリアはまたお風呂に入った。
入浴で気持ちをすっきりさせた後に夕食の準備に取り掛かる。保存庫の中にはレインが用意してくれた食材が入っている。
(今日は魚料理にしよう)
ヴィクトリアはレインが帰ってきてくれることを願って二人分調理するが、たぶん今日も彼は帰ってこない。だからこれはきっと自分の明日の朝食になるだろう。
皿に盛って用意はしたものの、手のつけられることのない向かい側の料理を眺めなら、ヴィクトリアはため息を吐く。レイン以外にここを訪れるものは誰もいない。孤独だ。
ここは里ではないが、里に似た場所だと思った。むしろ外に一切出してもらえずレイン以外の人物とは全く接触できない状況は、里にいた時以上にヴィクトリアを孤独にさせる。
シドの束縛から逃れて自分だけの番を持つことが長年の夢だった。その夢は叶った。もうシドの顔色を伺わなくてもいいし、いつ襲われてもおかしくないと、日常の中に潜んでいた身の危険に怯えなくてもいい。
けれど、番を持てば自然と孤独ではなくなるだろうという予測は外れた。唯一無二の番を得ても、現状、心は寂しいままだった。
レインはこのくらいの期間ヴィクトリアと会わなくても寂しくないのかもしれない。
レインは時間が不規則な仕事に就いているのだから仕方がないことはわかっているつもりだ。でも理屈じゃなくて心が寂しい。早くレインに会いたい。
レインが家にいるときは階上に上がって人間の新婚夫婦のような生活をするのだが、レインは休みの日よりも仕事でいない日の方が多いし、今回のように続けて何日も帰ってこないことも多い。地下で一人きりで過ごす時間の方が圧倒的に多かった。
レインと営む場所も地下ばかりだった。レインは地下室以外ではヴィクトリアを抱きたがらなかった。その代わり夜勤でなければ夜は地下に降りてきて寝室で一緒に寝てくれる。
レインは時々意地悪だけれど基本的に優しいし、奴隷に落とされたといっても、家の外へ出ることを一切禁止にしていることと、番になるために最初に強姦してきたこと以外では、酷いことはしない人だ。
そう思っていたのだが――――
その日の夜、料理台の上にある換気口の向こうから、激しい雨が降り注いでいる音がした。ヴィクトリアが本日最後の入浴と浴室清掃を終えてリビングに戻ってきたあたりから天候が急変し、外では激しい雨と風が吹いているようだった。
叩きつけるような雨の音が怖いし、一人の夜は寂しい。ヴィクトリアは寝室の明かりを暗くしてさっさと寝てしまうことにした。
でも雨の音が酷くて眠れない。寝台で一人でいると寂しさが身の内に募っていく……
なかなか眠れないヴィクトリアは人生で初めての行為をすることにした。
もうどうにでもなれというか、少し投げやりな気分だった。
レインが用意してくれた上等な寝間着の隙間から自分の手を滑り込ませる。指先が繁みを捉え、その先に進むと何度もレインと繋がった場所の入口に辿り着く。
ヴィクトリアは中に指を沈み込ませることはせず、秘裂の入口だけを指の腹でなぞっていた。
そこから先に入っていいのはレインだけだ。たとえ自分自身の指であっても中に入れることにとても抵抗を感じた。そこはレインだけに捧げた、レイン専用の場所だ。
中を刺激しなくても、レインのことを脳裏に描きながら縁を上下に擦っているだけで気持ちが高まってくる。
『とても綺麗だよ、ヴィクトリア』
レインはよくヴィクトリアの容姿を褒めてくれた。
『おっぱいも柔らかくて気持ちがいい』
寝間着をはだけさせたヴィクトリアは、レインがいつもそうしていたように胸を触って苛め始める。
『ここの具合も最高だ』
ヴィクトリアはレインの陰茎で中を擦られている時の事を思い出しながら、秘裂上部にある突起を弄り始めた。とぷりと溢れてくる蜜を指ですくい、陰核にまぶして捏ねると快感が強くなる。お腹の奥がキュンキュンしてしまい、想像ではなく早く本物で突いてほしいと思いながら、手の動きを早めた。
「んあっ…… あっ……」
呼吸を荒げながら呻いて果てる。全身を快楽が駆け抜けていった。
『愛してるよ、ヴィクトリア』
呼吸を整えるヴィクトリアの目尻にじわりと涙がにじむ。
想像の中のレインは、番になってからは一度も言ってくれない言葉を口にしてくれる。
(私も愛してる。愛してるわ、レイン……)
想像の中のレインに心で返してから、ヴィクトリアは再び陰核とむき出しの胸に手を添えた。
一人きりの地下室生活で欲求不満に陥っていたヴィクトリアは、想像の中だとしても自分を愛していると言ってくれるレインに会いたくて、自慰行為に耽溺した。
やがて股関と手を自分の愛液でベトベトにしながらも、不安感が拭われたヴィクトリアは心地よい眠りに誘われ、幸せな気持ちのままで、乱れた衣服も直さずにそのまま眠りに落ちてしまった。
ギィィ…… と、一階に続く階段上の扉が開く音がしたのは、ヴィクトリアがかなり深い眠りに落ちてしまった頃だった。
地下の階段を降りる隊服姿のレインの全身はずぶ濡れで、水滴がポタポタと床に落ちていく。レインの顔面は蒼白で、瞳は生気がないかのように虚ろだった。
レインはその状態のまま、真っ直ぐヴィクトリアのいる寝室へ向かった。
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