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対銃騎士隊編
49-2 危機一髪 2 ✤
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本編の続きです
***
(もう駄目――!)
ヴィクトリアがぎゅっと目を瞑った時だった。
ドンドンドン――――!
いきなり部屋の扉が叩かれた。
「銃騎士隊です。グランフェル主任、ここを開けてください」
二人の動きがピタリと止まる。その場に時が止まったかのような静寂が訪れたが、すぐにまた扉が叩かれる。
「開けてください」
レインは――――その声を無視して、再び下着に手を伸ばしてくるが……
「んーっっ!」
ヴィクトリアが唸り声を上げて自身の存在を主張した。
(助けてー!)
唸り声しか出せないが、ヴィクトリアはここぞとばかりに物音を立てようとする。
ドンドンドン、と再び強めに扉が叩かれた。
「いるのはわかっています。開けてください。開けないなら強行突破しますよ」
ヴィクトリアの心の声が届いたのか、扉の向こうの銃騎士隊員の語気が強まる。
レインは…… 苦虫を噛み潰したような、不快さが滲み出た表情をしている。
「グランフェル主任!」
扉が叩かれて、レインは、はぁーっと特大のため息を吐いた。
寝台から降りたレインが部屋の入口に向かって行く。入口からこの寝台は死角になっているので、やって来た隊員からヴィクトリアの様子は見えない。
(何で銃騎士隊員が来たのかはよくわからないけど、この隙にここから逃げないと!)
しかし手枷の鍵はレインが持ったままだ。手枷は人間用らしく、獣人用に比べたら華奢な造りではあるが、引きちぎるほどの力が今のヴィクトリアには無い。
(どうしたら……)
困り果てて部屋の中を見回していたヴィクトリアの目が、窓の異変を捉えた。壁の上部に取り付けられた小窓は磨り硝子だが、その向こうに人の姿がぼんやりと見える。
窓の鍵がある部分を中心として、音も無く半円状の切れ目が入った。その切れ目から硝子が取り外されて、窓に穴が開く。
その穴から、にょきり、と、人の腕が現れた。
***
(もう駄目――!)
ヴィクトリアがぎゅっと目を瞑った時だった。
ドンドンドン――――!
いきなり部屋の扉が叩かれた。
「銃騎士隊です。グランフェル主任、ここを開けてください」
二人の動きがピタリと止まる。その場に時が止まったかのような静寂が訪れたが、すぐにまた扉が叩かれる。
「開けてください」
レインは――――その声を無視して、再び下着に手を伸ばしてくるが……
「んーっっ!」
ヴィクトリアが唸り声を上げて自身の存在を主張した。
(助けてー!)
唸り声しか出せないが、ヴィクトリアはここぞとばかりに物音を立てようとする。
ドンドンドン、と再び強めに扉が叩かれた。
「いるのはわかっています。開けてください。開けないなら強行突破しますよ」
ヴィクトリアの心の声が届いたのか、扉の向こうの銃騎士隊員の語気が強まる。
レインは…… 苦虫を噛み潰したような、不快さが滲み出た表情をしている。
「グランフェル主任!」
扉が叩かれて、レインは、はぁーっと特大のため息を吐いた。
寝台から降りたレインが部屋の入口に向かって行く。入口からこの寝台は死角になっているので、やって来た隊員からヴィクトリアの様子は見えない。
(何で銃騎士隊員が来たのかはよくわからないけど、この隙にここから逃げないと!)
しかし手枷の鍵はレインが持ったままだ。手枷は人間用らしく、獣人用に比べたら華奢な造りではあるが、引きちぎるほどの力が今のヴィクトリアには無い。
(どうしたら……)
困り果てて部屋の中を見回していたヴィクトリアの目が、窓の異変を捉えた。壁の上部に取り付けられた小窓は磨り硝子だが、その向こうに人の姿がぼんやりと見える。
窓の鍵がある部分を中心として、音も無く半円状の切れ目が入った。その切れ目から硝子が取り外されて、窓に穴が開く。
その穴から、にょきり、と、人の腕が現れた。
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