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三男編
初体験回想 ~結婚の「結」~ ✤✤✤
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指とは太さも大きさも違うものに押し開かれるのは、それなりに痛みもあり、アテナは思わず呻いていた。
十代半ばの、成長途中のノエルでこれくらいの痛みならば、大の大人が相手であればもっと痛かったに違いないと思い、初めてがノエルで良かったとアテナは思った。
「アテナ…… アテナ……」
快感よりも痛みが勝るアテナに対し、上擦った声でアテナの名を繰り返し呼んでいるノエルは、芸術作品級に整っている得難い美しい顔に情欲をまとわせ、これまでにないほどの凄絶な色気を醸し出しているので、アテナの心臓が加速度的に速さを増していた。
やがてノエルの先端がアテナの最奥に到達する。
「痛いよね、ごめんね…… 少し、このままでいるから」
ノエルは本当は動きたいのだろうが、我慢してアテナの身体を気遣ってくれる。丁寧語が抜けてもノエルはノエルだった。
ノエルが漏らす吐息と連動するように、アテナの中に収まる熱杭がビクビクと脈打つ。念願叶ってやっと一つになれたのだという現実感と共に、アテナの中で感動が生まれる。
ノエルの初めてをもらえて、眼福すぎる色気満載なノエルの姿を見られるのも自分だけなのだと思うと、アテナの身の内から幸福感が溢れてきて、貫かれている下腹部がきゅうっと疼いて躍動しかける。
「動くね。痛かったら言って」
「あ……っ…… あっ……」
アテナの漏らす声が喘ぎ混じりになってきたことを受けたノエルが、水音を立てながら陰茎を抜いていく。抜けかけた所で再度奥まで挿入して、ゆっくりと抽送を開始した
「あぁんっ……! あんっ……! ああっ……!」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と労るような動きであっても、卑猥な結合音が耳に入ってアテナを堪らない気持ちにさせた。初めてなのに気持ち良くなってきてしまって、心も身体も高揚して熱を持ち、繋がった部分の愛液が溢れるように増えていくのが自分でわかった。
滑りが良くなるとそれに合わせてノエルの動きも速くなっていく。アテナは届きそうで届かない快楽に翻弄され、涙を流しながら揺らされ続けた。
「……っ……うっ……!」
やがてノエルは歯を食いしばるようにして呻き、避妊具の中に吐精した。
初体験終えたアテナは、しばらく何も考えられず放心状態だった。
「アテナ……」
アテナの涙の跡をノエルが綺麗な指で拭いてくれる。
「結婚してください」
ノエルの突然の求婚に驚いたのは一瞬だけで、アテナの答えは決まりきっていた。
「はい。よろしくお願いします」
嬉しくて笑顔で返すと、ノエルも嬉しそうな表情で瞳を潤ませ、こちらに熱っぽい視線を向けてくる。
「アテナ、ありがとうございます…… すみません、もう一回だけ」
そう言って、裸のままのノエルが抱きついてくるので、二回戦へのお誘いに身体が火照るアテナだったが――――
「でも、もう避妊具がないわ」
アテナは頻繁にセックスをする予定はなかったので、一個しか持っていなかった。
「大丈夫です。中に出します」
「えっ? えっ?」
アテナはてっきり魔法で新しいものを出してくれるのだろうと思っていたので驚いたが、「私はアテナの排卵日がわかるようになったのですが、今日は違うから大丈夫です」と言われ、よく理解できないうちに丸め込まれた感のあるアテナは、気付けば生で挿入を果たされていた。
ぐちゅぐちゅと中を出入りするノエルの男性部分の感触があまりに気持ち良くて、アテナは快楽の渦に呑まれていった。
「あうっっ! ひあっ! あんんっ!」
「気持ちいいね…… 俺も達きそう…………
俺の全部を受け取って」
いつもの口調に戻っていたはずのノエルから、また丁寧語が取れている。ノエルもまた上り詰めている途中なのだと思ったアテナは、彼への愛しさが込み上げてきて絶頂し、思考を真っ白い世界ヘ漂わせた。
そこから下りてくると、目の前には荒く息を吐きながら壮絶な色っぽさを発揮しているノエルがいた。ノエルはアテナの膣内で陰茎をビクつかせていて、最奥に精を放った後だった。
ぬちっと音を立てて陰茎が抜かれると、そこには白いものの他に筋のような赤い線も混じっていて、破瓜の名残なのだと思った。
アテナは血が苦手だ。ノエルが気にかけてくれるおかげて少し克服傾向ではあるが、未だに恐怖は拭いきれていない。
けれど、ノエルとの愛の証なのだと思えば、この時ばかりは血への恐れは全く感じなかった。
一回だけではなく、その後も覆いかぶさってきたノエルに何度となく中に出されたアテナは、覚えたてのめくるめく官能の世界に溺れていった。
交際開始と初体験と求婚が一度にやって来た人生最良の日を、アテナは生涯忘れない。
********
ザザーン、とあの日も聞こえた波の音を聞きながら、アテナは船上での初体験を回想した。
「そう言えば、初中出し記念日でもあったわね」
「…………また突拍子もなく何を言っているんですか?」
感慨深そうに頷くアテナを見ながら、隣のノエルが訝しげに返す。
「そんな言葉、私以外の前で言ってはいけませんよ。誘っているのかと勘違いした男が、あなたを狙うようになったらどうするんですか?」
「言わないわよ、ふふふ。ノエルにだけよ」
時々垣間見えるノエルの独占欲に胸がキュンキュンする。
「ほら、私たちの初体験の時も、波の音がしてたなーって、思い出してたの。
そうそう、ノエルに『結婚してください』って言われた後に婚約記念エッチをしてたら、ノエルが絶倫化しちゃって止まらなくて、『もう無理ー』って私がギブアップしたら、『今更逃しませんよ』ってノエルに言われたのよね、キャ~」
アテナはバシバシとノエルの背中を叩きながら嬉しそうにはしゃいでいる。
「あの時は…… 初めてなのに無理をさせてしまってすみませんでした」
「いいのよいいのよ、わかるわよ、愛が止まらなかったのよね、愛がね! そんなに堅苦しく謝らなくてもいいのに。もう、真面目なんだから」
「でも好きでしょう? 真面目な男が」
打ち寄せる波の音だけが見つめ合う二人を包む。
「うん、好き」
アテナが手を伸ばすとノエルが抱きしめてくれる。ノエルが深いキスをしてくれるので、アテナも自分の気持ちを伝えるように口付けを返し、幸せに浸った。
「そろそろ我々も部屋へ行きましょうか」
「あ、待って」
たき火を消したノエルが転移魔法を発動しそうだったので、アテナが待ったをかけた。
「せっかくだから、歩いて帰ろう」
もう少し外で波の音を聞いていたいと思ったアテナは、ノエルと手を繋ぎ、別荘までの道のりを歩いた。
三男編了
十代半ばの、成長途中のノエルでこれくらいの痛みならば、大の大人が相手であればもっと痛かったに違いないと思い、初めてがノエルで良かったとアテナは思った。
「アテナ…… アテナ……」
快感よりも痛みが勝るアテナに対し、上擦った声でアテナの名を繰り返し呼んでいるノエルは、芸術作品級に整っている得難い美しい顔に情欲をまとわせ、これまでにないほどの凄絶な色気を醸し出しているので、アテナの心臓が加速度的に速さを増していた。
やがてノエルの先端がアテナの最奥に到達する。
「痛いよね、ごめんね…… 少し、このままでいるから」
ノエルは本当は動きたいのだろうが、我慢してアテナの身体を気遣ってくれる。丁寧語が抜けてもノエルはノエルだった。
ノエルが漏らす吐息と連動するように、アテナの中に収まる熱杭がビクビクと脈打つ。念願叶ってやっと一つになれたのだという現実感と共に、アテナの中で感動が生まれる。
ノエルの初めてをもらえて、眼福すぎる色気満載なノエルの姿を見られるのも自分だけなのだと思うと、アテナの身の内から幸福感が溢れてきて、貫かれている下腹部がきゅうっと疼いて躍動しかける。
「動くね。痛かったら言って」
「あ……っ…… あっ……」
アテナの漏らす声が喘ぎ混じりになってきたことを受けたノエルが、水音を立てながら陰茎を抜いていく。抜けかけた所で再度奥まで挿入して、ゆっくりと抽送を開始した
「あぁんっ……! あんっ……! ああっ……!」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と労るような動きであっても、卑猥な結合音が耳に入ってアテナを堪らない気持ちにさせた。初めてなのに気持ち良くなってきてしまって、心も身体も高揚して熱を持ち、繋がった部分の愛液が溢れるように増えていくのが自分でわかった。
滑りが良くなるとそれに合わせてノエルの動きも速くなっていく。アテナは届きそうで届かない快楽に翻弄され、涙を流しながら揺らされ続けた。
「……っ……うっ……!」
やがてノエルは歯を食いしばるようにして呻き、避妊具の中に吐精した。
初体験終えたアテナは、しばらく何も考えられず放心状態だった。
「アテナ……」
アテナの涙の跡をノエルが綺麗な指で拭いてくれる。
「結婚してください」
ノエルの突然の求婚に驚いたのは一瞬だけで、アテナの答えは決まりきっていた。
「はい。よろしくお願いします」
嬉しくて笑顔で返すと、ノエルも嬉しそうな表情で瞳を潤ませ、こちらに熱っぽい視線を向けてくる。
「アテナ、ありがとうございます…… すみません、もう一回だけ」
そう言って、裸のままのノエルが抱きついてくるので、二回戦へのお誘いに身体が火照るアテナだったが――――
「でも、もう避妊具がないわ」
アテナは頻繁にセックスをする予定はなかったので、一個しか持っていなかった。
「大丈夫です。中に出します」
「えっ? えっ?」
アテナはてっきり魔法で新しいものを出してくれるのだろうと思っていたので驚いたが、「私はアテナの排卵日がわかるようになったのですが、今日は違うから大丈夫です」と言われ、よく理解できないうちに丸め込まれた感のあるアテナは、気付けば生で挿入を果たされていた。
ぐちゅぐちゅと中を出入りするノエルの男性部分の感触があまりに気持ち良くて、アテナは快楽の渦に呑まれていった。
「あうっっ! ひあっ! あんんっ!」
「気持ちいいね…… 俺も達きそう…………
俺の全部を受け取って」
いつもの口調に戻っていたはずのノエルから、また丁寧語が取れている。ノエルもまた上り詰めている途中なのだと思ったアテナは、彼への愛しさが込み上げてきて絶頂し、思考を真っ白い世界ヘ漂わせた。
そこから下りてくると、目の前には荒く息を吐きながら壮絶な色っぽさを発揮しているノエルがいた。ノエルはアテナの膣内で陰茎をビクつかせていて、最奥に精を放った後だった。
ぬちっと音を立てて陰茎が抜かれると、そこには白いものの他に筋のような赤い線も混じっていて、破瓜の名残なのだと思った。
アテナは血が苦手だ。ノエルが気にかけてくれるおかげて少し克服傾向ではあるが、未だに恐怖は拭いきれていない。
けれど、ノエルとの愛の証なのだと思えば、この時ばかりは血への恐れは全く感じなかった。
一回だけではなく、その後も覆いかぶさってきたノエルに何度となく中に出されたアテナは、覚えたてのめくるめく官能の世界に溺れていった。
交際開始と初体験と求婚が一度にやって来た人生最良の日を、アテナは生涯忘れない。
********
ザザーン、とあの日も聞こえた波の音を聞きながら、アテナは船上での初体験を回想した。
「そう言えば、初中出し記念日でもあったわね」
「…………また突拍子もなく何を言っているんですか?」
感慨深そうに頷くアテナを見ながら、隣のノエルが訝しげに返す。
「そんな言葉、私以外の前で言ってはいけませんよ。誘っているのかと勘違いした男が、あなたを狙うようになったらどうするんですか?」
「言わないわよ、ふふふ。ノエルにだけよ」
時々垣間見えるノエルの独占欲に胸がキュンキュンする。
「ほら、私たちの初体験の時も、波の音がしてたなーって、思い出してたの。
そうそう、ノエルに『結婚してください』って言われた後に婚約記念エッチをしてたら、ノエルが絶倫化しちゃって止まらなくて、『もう無理ー』って私がギブアップしたら、『今更逃しませんよ』ってノエルに言われたのよね、キャ~」
アテナはバシバシとノエルの背中を叩きながら嬉しそうにはしゃいでいる。
「あの時は…… 初めてなのに無理をさせてしまってすみませんでした」
「いいのよいいのよ、わかるわよ、愛が止まらなかったのよね、愛がね! そんなに堅苦しく謝らなくてもいいのに。もう、真面目なんだから」
「でも好きでしょう? 真面目な男が」
打ち寄せる波の音だけが見つめ合う二人を包む。
「うん、好き」
アテナが手を伸ばすとノエルが抱きしめてくれる。ノエルが深いキスをしてくれるので、アテナも自分の気持ちを伝えるように口付けを返し、幸せに浸った。
「そろそろ我々も部屋へ行きましょうか」
「あ、待って」
たき火を消したノエルが転移魔法を発動しそうだったので、アテナが待ったをかけた。
「せっかくだから、歩いて帰ろう」
もう少し外で波の音を聞いていたいと思ったアテナは、ノエルと手を繋ぎ、別荘までの道のりを歩いた。
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