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真実
告白
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「シエラ!?」
咄嗟にシエラを抱き留めようとするグレイにシエラは「お願い、やめて!」と大きく叫ぶ。
雨音が2人の僅かな沈黙を湿らせた。
「お願い……グレイ。これ以上、あなたのことを好きにさせないで」
喉が引き絞られているかのような、か細く苦し気な声だった。
「……君が私のことを好きになることの、何がいけないんだ?」
グレイは僅かに首を傾げ、そして何かに思い当たったかのように「もしかして」と言葉を重ねる。
「今日、誰かに何かを言われたのか?」
「……」
シエラは静かに頷いて、収まる気配を見せてくれない涙を手の平で擦った。
「……君は、僕以外の誰かに……僕の何かを聞いたとして、それを鵜呑みにするのか?」
「……っ」
悲しげな声音に、シエラは顔を上げる。雨のせいだろうか。グレイの顔色は悪く、泣いているようにさえ見えた。
(違うの、なんて言えない)
実際、シエラはカーティスの言葉を鵜呑みにした。素直に全て信じるのは良くないと分かっていながら、自らの思考に飲み込まれて。
「何を言われたんだい」
「……」
「言ってみたらいいよ、シエラ」
さすがにこれ以上は口を噤んでいられず、シエラはおずおずと口を開いた。
「あなたと、ディアナ様が……恋仲だと」
「誰がそんなことを?いや、待って……言わなくていい。答えは分かりきっている。カーティスだろう?」
「え……どうして」
「あいつのやりそうなことだから」
端的に返された答えに、シエラはどう答えていいのか分からなくなった。カーティスが言ったことは本当なのか、嘘なのか。この会話のやりとりだけで汲めるほど、シエラは敏いわけではなかった。
「それで?」
「……」
「君はそれを聞いて本当だと信じ、僕と離縁しようとしていたのかな?」
グレイの声音は平坦だった。平坦故に、底知れぬ恐ろしさを感じて、シエラは一歩下がる。しかしほんの少しの距離もグレイの足の長さでは1歩程度の距離しかない。グレイが一歩近づくと、2人の距離がまた近くなった。
「こんなくだらないことを理由にされては、堪ったものではない」
きっぱりとしたその言い草に、さすがのシエラも苛つきを覚えて反論する。
「くだらないことじゃないわ!私にとってはすごく大事なことよ」
「君が私と離縁するのに都合のいい事だからだろう?」
会話が全く嚙み合っていない。そう直感したシエラは何をどう伝えていいのか分からず、文脈も何もかもをすっ飛ばして「あ、あなたのことが好きなのに、どうして離縁したいだなんて思うのよ!」と叫んでいた。
咄嗟にシエラを抱き留めようとするグレイにシエラは「お願い、やめて!」と大きく叫ぶ。
雨音が2人の僅かな沈黙を湿らせた。
「お願い……グレイ。これ以上、あなたのことを好きにさせないで」
喉が引き絞られているかのような、か細く苦し気な声だった。
「……君が私のことを好きになることの、何がいけないんだ?」
グレイは僅かに首を傾げ、そして何かに思い当たったかのように「もしかして」と言葉を重ねる。
「今日、誰かに何かを言われたのか?」
「……」
シエラは静かに頷いて、収まる気配を見せてくれない涙を手の平で擦った。
「……君は、僕以外の誰かに……僕の何かを聞いたとして、それを鵜呑みにするのか?」
「……っ」
悲しげな声音に、シエラは顔を上げる。雨のせいだろうか。グレイの顔色は悪く、泣いているようにさえ見えた。
(違うの、なんて言えない)
実際、シエラはカーティスの言葉を鵜呑みにした。素直に全て信じるのは良くないと分かっていながら、自らの思考に飲み込まれて。
「何を言われたんだい」
「……」
「言ってみたらいいよ、シエラ」
さすがにこれ以上は口を噤んでいられず、シエラはおずおずと口を開いた。
「あなたと、ディアナ様が……恋仲だと」
「誰がそんなことを?いや、待って……言わなくていい。答えは分かりきっている。カーティスだろう?」
「え……どうして」
「あいつのやりそうなことだから」
端的に返された答えに、シエラはどう答えていいのか分からなくなった。カーティスが言ったことは本当なのか、嘘なのか。この会話のやりとりだけで汲めるほど、シエラは敏いわけではなかった。
「それで?」
「……」
「君はそれを聞いて本当だと信じ、僕と離縁しようとしていたのかな?」
グレイの声音は平坦だった。平坦故に、底知れぬ恐ろしさを感じて、シエラは一歩下がる。しかしほんの少しの距離もグレイの足の長さでは1歩程度の距離しかない。グレイが一歩近づくと、2人の距離がまた近くなった。
「こんなくだらないことを理由にされては、堪ったものではない」
きっぱりとしたその言い草に、さすがのシエラも苛つきを覚えて反論する。
「くだらないことじゃないわ!私にとってはすごく大事なことよ」
「君が私と離縁するのに都合のいい事だからだろう?」
会話が全く嚙み合っていない。そう直感したシエラは何をどう伝えていいのか分からず、文脈も何もかもをすっ飛ばして「あ、あなたのことが好きなのに、どうして離縁したいだなんて思うのよ!」と叫んでいた。
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