魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」

涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。

だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。

それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。

「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」

毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。

必死に耐え続けて、2年。

魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。

「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」

涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

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