4人の王子に囲まれて

家族との時間

結衣side

あの口付けを交わした日から2日が経過した。

もうすぐ花火が打ち上がる時間。

そして屋根裏部屋には秀兄、瑛斗兄、大雅兄と私の4人。

どうやら先程何か言い合いになったらしく……。

結「なるほど。それで…瑛斗兄と秀兄も一緒に花火見るんだね！」

大「ったく……空気読めって。」

瑛「んー？なんか言ったか？」

大「なんでもねぇよ！！」


4人で見るのもまた楽しいとは思うけど大雅兄は少し不機嫌だ。

私も大雅兄と2人で見るつもりだったからなんとなく少し残念な気がしてしまう。



秀「大雅はすぐ結衣ちゃん独り占めしようとするからね～」

大「は！？なんでそうなるんだよ！」


瑛「違うのか？結衣、こんなやつやめて俺にしとけば？」

結「えぇ？何言ってるの？瑛斗兄。」

私の目線に合わせてそう言ってくる瑛斗兄に思わず私は視線をずらした。



秀「俺だって結衣ちゃんを色んな面でサポート出来ると思うけどな～」

結「え？秀兄までどうしたの～！」


突然の2人の発言に少々私が戸惑っていると大雅兄が私の耳を塞ぎ始めた。


大「結衣、こんなやつの言う事聞くな。」

秀「ほら、また独り占め。」

瑛「結衣。こっち来いよ。俺と2人で見ようぜ。」


そう言いながら私の手を強く引き、抱きしめてきた瑛斗兄。

ほんのりと香る瑛斗兄の香水の香り。

一瞬の動きすぎて抵抗が～。


結「わわわっ！だ、ダメ！！」

大「んだよ！！触んな。瑛斗兄。」

そう言って私を引っ張り自分の元へ引き寄せた大雅兄。

結「びび、びっくりした……」


大「こら。お前も顔赤くしてんじゃねぇよ！」

結「だって……」



分かってる。

分かってるけど……

こんなイケメン揃いにこんな扱いされたら誰でもこうなるよ……。


秀「あ。2人は結衣ちゃん傷付けるから俺が今日は独り占めする。」

そう言って秀兄まで私を引っ張り出した。

でもさすがに秀兄は抱きしめたりはせず私の頭にポンと手を置き、頭を優しく撫でた。

これが大人の余裕というものなのだろうか。



大「あ！秀兄どさくさに紛れて！！」


そうこうしている間に打ち上げられた花火。

結「あ…願い事…。」

大「打ち上げられちまったな。」

結「うん。…でも綺麗。」


花火が打ち上がった途端にみんなが静かになり4人で並んで花火大会を楽しんでいた。

願い事を言えなかったのは残念だけど…ひと夏に２つの願い事をするのは贅沢なんだと思うことにしよう。