4人の王子に囲まれて

*YUA*

文字の大きさ
上 下
195 / 202
気まずい2人

結衣side

しおりを挟む



大雅兄が片付けをしてくれて私は逃げるように部屋へ戻った。


結「これ……。」

さっき買い物した時に陽斗君にもらったやつ。

1人の時に開けてって言ってたもんね。

今開けちゃおうかな。


わー!マカロンだ!

しかもこのマカロンいろんな動物のデザインがされててすごく可愛い!!


……でも。これ…1人でいるとき開けてってなんでだろう。

こんな可愛いデザインを買ったのが恥ずかしかったからとか?

それとも数的に兄妹で喧嘩になるとか思ったのかな??

よくわからないけどとても可愛くて美味しそう。


私はその可愛いマカロン達を写真に収めた。


すると……


結「あれ?……これ。」


それは一通の手紙だった。

中を見てみると…





拝啓 矢神結衣様

俺は矢神が初めて眼鏡を外してきた日、人生で初めて一目惚れをしました。

そして、それから何度か会話を交わすうちにどんどん矢神への想いが増してきて、いつしか好きになっていました。

矢神は大雅先輩の事が好きなのは分かっている。
でも大雅先輩とは兄妹だし、俺にも少しくらいチャンスないかな、と思って今回手紙を書きました。

この前会った時…俺矢神元気ないなぁって思ったんだ。

矢神の大雅先輩への気持ちがもし“辛い気持ち”になっているんじゃないかなって。

もしそうだとしたら…もし少しでも俺にチャンスがあるとしたら俺と付き合ってほしい。

    近藤陽斗


それはとてつもなく丁寧に書かれた文面だった。

それを読んで私は途端に涙が溢れた。

この手紙……きっと近藤君がいっぱい考えて、いっぱい悩んで書いてくれたんだ。

私は胸に手を当てて考えた。



大雅兄への“好き”は本当に“辛い”のか。


たしかに最近少し気まずくて…
まともに目も合わせていない。


でもやっぱり私は大雅兄の事が……



……‥大好きだから。







そう考えているとコンコンとノックする音が聞こえた。


大「結衣…あの…琉兄がさ。」

結「ごめん!大雅兄!!ちょっと出かけてくる!!」


大「あ…結衣!そんな走ってどこに…」

大雅兄はそう叫んでいたけど私には届かなかった。


今なら走ればきっと近藤君に追いつくはず!!






それからしばらく走り続けると近藤君の家の近くで追いつく事が出来た。

結「ハァ……ハァ…こんど……くん。」

近「矢神…!」

結「あの…ハァ……手紙……読んで……ハァハァ…」

近「あ…うん。俺、矢神の事本気だよ。」

結「あのね…ハァハァ…私やっぱり…大雅兄の事が…好き。大雅兄の事好きな気持ち…辛くなんかないよ。むしろ好きでいられて…とても幸せなの。」

近「うん。」

結「だから…ごめんなさい!」

私は近藤君に深々と頭を下げた。

結「でも…私も近藤君のこととても大切な友達だって思ってる。…だからこれからもずっと友達で居てほしい。……ってわがままかな。」

近「ううん。なんか矢神らしいわ。俺さ、矢神が眼鏡かけている時も…放課後花に水やったり、黒板綺麗にしていたり…みんなの机並べていたり…そーゆーの見てすげーなって思ったんだよね。」

結「え?」

近「あぁ、この子は本当に優しい子なんだろうなぁって。でも……そういや矢神と大雅先輩は血が繋がってないんだもんな。」

結「え……」

近「だから俺は矢神が幸せなら…応援するよ。」


近藤くんはそう言って笑った。




……いえない。

こんな優しいこと言ってくれる近藤くんに。

本当は血が繋がっているなんて……。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...