4人の王子に囲まれて

一緒に花火が見たい

大雅side

って…結局買い出しに出てきてしまった俺。


さっさと飲み物を買い帰宅した。


屋根裏部屋からは楽しそうな声が聞こえてくる。

真「なぁ結衣。花火上がる瞬間に願い事言っとけば叶うって話知ってっか？」

結「えぇ！知らなかった！！」

紗「そんなの都市伝説だろ！！」

結「でも…本当に叶ったら素敵だね！」

真「うちらで試してみようよ！」

紗「しゃーねーなー。」

結「やったぁ！ありがとう！！」


俺はそんな会話を聞いて思わず頬が緩んだ。


こんな乙女チックな話…興味あるんだな。結衣にも。





それからまたしばらく俺は話に聞き入っていた。

すると花火が打ち上がると音と共に3人の願い事を唱える声が聞こえた。


真「結衣と紗希とずっと友達でいられますように！」

結「来年もこの3人で花火が見られますように！」

紗「彼氏ができます様に！」


結「ん？」

真「今裏切り者がいなかったか？」

紗「いーだろ！願い事なんだから！」

結「そうだね！みんなの願い叶うといいね！」

真「ま、そーだな！！そんな結衣は大雅と結婚出来ますようにって言わなくて良かったのか？」

紗「そうだよ！！うちらなんかよりそっちの方が大事じゃね？」

結「いいの。だってそれは……」

真「それは？」

結「な、なんでもない！！」

真「隠すなって！お前ら両想いなんだろ？」

結「えと…でも兄弟だし…。」

紗「そんなの関係ねぇじゃん！！」

結「そう…かな。でも…私…これ以上大雅兄に迷惑かけないようにって毎日必死だよ。」


そう言う声が聞こえてくる。

結衣はそんな事を考えていたのか。

普段そんな話聞かねぇからな。



真「んで？結衣は大雅のことどれくらい好きなの？」

結「ど、どれくらい？？んー。とてつもなく……大好き。もし、兄妹じゃなかったら…なんて、毎日考えてる。それに……」

真「それに？」






結「なんでもないや！！ちょっと私トイレに行ってくる！！」

紗「あー！逃げた！！」


トイレ！？やべ。思わず出て行くタイミング逃した！

すると隠し階段を降りてきた結衣と目がパッチリと合ってしまった。


結「た、大雅兄…」

大「あ、えと…俺ちょうど今帰って来て……」

俺がそう言うと結衣の顔は真っ赤になった。

結「今の話聞いてた！？」

大「は、話！？いや…えっと…何も聞いてないよ！！」


結「大雅兄のバカ！！」

結衣は俺の顔を見て察してしまったのかそう怒鳴ると隠し階段を急いで降りようとしているようだった。


でも…


大「結衣っ！！あぶねぇっ！！」


焦っていたのか結衣は足を滑らせ、それを庇おうとした俺の上に被さるように落ちてきた。


結「ご、ごめ…」

大「いや…えと…怪我はねぇか？」

結「……」

大「……」


落ちてきた結衣とあまりの顔の近さに心臓がバクバクして言葉が出てこない。

すると屋根裏部屋からひょっこり顔を出した2人がニヤニヤしながら俺を見てくる。


真「イチャつくね～！」

紗「ヒュー！うちら帰るか？」

真「邪魔者は退散する？」


結「わぁー！！違うの！！大雅兄ごめんね。えと…ト、トイレ行ってくる。」

そう言いながら結衣は走って行ってしまった。


大好き…か。

結衣の口から普段あまり聞くことのない言葉。

俺は思わず胸を締め付けられた。


それから俺は飲み物を真央達に渡すとすぐに自室に戻った。