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一緒に花火が見たい
結衣side
しおりを挟む誰もいない大雅兄の部屋の入り口で…
私は1人しゃがみこんだ。
遅かった…。
私があの時花火なんて…って笑って我慢してれば良かったんだ。
今までの私ならきっとそうしてきた。
なのに…なんであんなわがまま言ってしまったんだろう。
そして…
どうしてあの時最後まで大雅兄の話を聞かなかったんだろう。
なんで遮ってまでして大雅兄を突き放す言葉を言ってしまったのだろう。
もう…後悔しても遅いのだ。
私は結局ダメダメじゃん。
そもそもお父さんは友情や恋にうつつ抜かさぬよう、私に勉強勉強言い聞かせた。
分かっていた。
それなのに……。
勉強も大事なのは重々承知してる。
でもそれよりも大事なものが出来てしまった。
大事な人が現れた。
それはかけがえのない事実。
だけどそれは…勉強なんかよりもとても難しくて。
人への接し方は答えなんかなくて…
難しい。
どうしていれば正解だったのか……
それすらもう…分からない。
そんな事を考えて私はひたすらに泣いた。
もう一度謝ったら許してくれるだろうか。
今から走って駅に向かえば大雅兄に会えるだろうか。
話を聞いてくれるだろうか。
でも……
たくさん走ったせいで私の足は靴擦れでもうボロボロになっている。
ダメだ…ダメだダメだ。
結「……何しているのだろう。本当に。」
大「本当だよ。何してるんだよ。こんなところで。」
と、キョトンとした顔で私の真横にしゃがみ込み私の顔を覗いている大雅兄。
結「えっえっ?大雅兄!?」
あまりの驚きで涙すら止まってしまった私。
大「そうだけど…。」
大雅はなんで泣いているんだろうとでも言いたげな顔で私の顔を見ていた。
結「えっ?だって帰っちゃったんじゃ…」
大「お前が待ってろって言ったんだろ。アホか。」
そう言いながら大雅兄は私のおでこをピンと指で弾いた。
結「ほ、本物だ…。大雅兄…。帰っちゃったかと思ったぁぁあ。」
私は安心したせいか、涙が止まらなくなった。
大「な、なんでそんなに泣くんだよ。俺はお前が笑顔でいられないなら帰るっつったんだよ。」
結「ごめんなさい…。ごめんなさい。私……」
大「分かった。……分かったから。はぁ…全く。お前は本当困った妹だな。」
そう言うと大雅兄は私の体をひょいとあげて自分の部屋のソファーに座らせた。
大「今救急箱持ってくっから。待ってろ。」
私の足の傷をみてそう言った大雅兄は私の涙を手で拭うと救急箱を取りに行ってしまった。
……良かった。
本当に。
安心したら…なんだか体の力が抜けてきちゃったな。
私はそのまま意識を失うように眠ってしまっていた。
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