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体調不良
結衣side
しおりを挟む結「ただいまー!」
大「ただいま。」
私たちはカフェへ行った後、大雅兄の意向ですぐに帰宅した。
秀「おかえり2人とも!デートは楽しめた?」
結「デ、デート!?」
そう言われると顔が熱くなる私。
でも大雅兄は違った。
大「あぁ、楽しかったよ。」
秀「デートってとこは否定しないのね。」
大「否定するのもめんどくせーしな。」
大雅兄はこんな調子だ。
なんか少し怒っているように見える。
大「結衣は今日はもう部屋へ行って休め。」
結「え?どうして?」
大「どうしても。」
結「私は全然大丈夫なのに…」
大「そーか?そーには見えないけど…」
そう言いながら私の頬に触れる大雅兄。
本当に私はなんとも無い。
喘息も出てるわけじゃ無いし、熱だって無さそうだ。
秀「うーん。大雅がそんなに心配してるなら一応兄貴に後で見てもらう?」
え。琉生お兄ちゃんに!?
結「えぇ!?私は本当に大丈夫だよ!」
秀「大丈夫ならいいけど…」
秀兄はそう言うとそのままキッチンへと行きお茶を淹れてくれた。
こんな大した事ない事で琉生お兄ちゃんに診てもらうなんて…。
大「じゃ、これ飲んだら結衣は少し休むんだぞ?じゃあ俺ちょっと買い物行ってくる。」
結「え?買い物なら私も一緒に…」
大「ダメ。本当にお前は休んでろ。」
結「分かった…。」
カフェでは優しかったのに…。
やっぱりなんだか私は大雅兄を怒らせてしまったみたいだ。
大雅兄から買い物から帰ってきたら謝ろう。
お茶を飲み終えた私はそんな事を考えながら部屋に戻った。
部屋へ着いた私は念のため熱を測ってみたものの…
結「やっぱり平熱。」
でも…大雅兄が言っていた通り…一応少し横になって休んでおこう。
これ以上大雅兄を怒らせちゃっても嫌だし…。
ちょっと心配しすぎな気もするけど…。
ひとまずベッドに横になった。
ぼんやりと天井を見つめる。
なんか…大雅兄に楽しんでもらおうとしたのに…空回りしちゃったかなぁ。
少し反省中。
どうしてこんなにも私は気が回らないのだろう。
そんな事を考えていると大雅兄が帰宅した。
玄関まで出迎えに行きたいけど…。
行ったら怒られてしまいそうで怖い。
すると……
大「結衣…起きてるか?」
部屋のドアの前でそう声をかけてきた大雅兄。
結「起きてるよ。」
私はそう答え、身体を起こした。
するとガチャリと開くドア。
大「お。珍しくちゃんと横になってたのな。えらいじゃん。」
そう言いながら笑顔を見せてくれた大雅兄はもう怒っている気配はない。
…でも謝らなきゃ。
結「あのね」
大「あのさ」
私が謝ろうとした瞬間大雅兄と声が被ってしまった。
結「大雅兄から先にどうぞ。」
大「お前から言えよ。」
結「大雅兄から言って。」
私がそう言うと大雅兄は頷いた。
大「ごめん。」
結「え?」
大「俺…全然気付かなくてさ、自分のことにいっぱいいっぱいになってて…結衣の誕生日…過ぎたんだよな。」
そう真っ直ぐに謝ってきてくれた大雅兄。
なんだ…。
怒ってたわけじゃなかったのか…。
でもなんで過ぎたって分かったんだろう。
結「私…てっきり大雅兄が怒ってたのかと。」
大「いや。気付かなかった自分にさ…。腹が立っちゃって…。それに結衣…やっぱりなんか具合悪そうだし。」
結「私は大丈夫だよ!それにしても大雅兄……わかりにくい!」
怒ってないと知って安心して笑い出した私を見て大雅兄も一緒になって笑ってくれた。
大「それで…さ。プレゼントとか用意してなくて…とりあえずこれ…。」
結「え?」
そう言って差し出したのは7本の向日葵の花束だった。
大「今急いで買ってきた。とりあえず仮だかんな!今度ちゃんとしたやつ買ってやっから。」
結「キレイ…!ありがとう…。」
嬉しい。嬉しすぎる。
私こそ大したことしてあげられなかったのに…。
いつも大雅兄には色々してもらってばかり。
結「でもなんで向日葵?」
大「なんか…お前っぽかったから……」
結「ん?」
大「バーカ!なんでもねぇよ!!」
結「えぇ!」
そんな他愛のない会話すら本当幸せだよ。
大雅兄…ありがとう。
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