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日常
結衣side
しおりを挟む優しく声をかけてくれる太陽さん。
でも行動は全く優しくない。
太「さ、熱測ろうか。」
結「やだぁ。」
私がそう言うと琉生お兄ちゃんは私を押さえつけ、耳で測る体温計を持ってきた太陽さんに即座に熱を測られてしまった。
太「あら、高いね。だから嫌だったのね。」
結「もうおうち帰る~っ!」
自然と出てくる涙を堪えるほどの余裕は無かった。
太「じゃあちょっと胸の音聞くね。」
そう言ってくる太陽さんに抵抗しようとするけど琉生お兄ちゃんと2人がかりの診察では敵わない。
私はもう嫌で嫌で涙が止まらない。
太「じゃあちょっと左腕見せてね。」
そう言いながら太陽さんは左の袖を捲りはじめた。
やっぱり採血するんだ。
前回もやったのに。
そう思い抵抗するのを諦めてただただ泣いていると、太陽さんは私の頭を撫ではじめた。
太「傷口、治ってきたね。切ってないの分かったから今日は採血無しにしようか。」
結「えっ?」
太「でも解熱剤だけ出すからちゃんと飲んでね。それと最後にアーンして喉見せてくれたら今日はもうおしまいにしよう。出来る?」
私が頷くと太陽さんは笑顔になって喉をみた。
そして喉をみるとすぐに私は家に帰ることができた。
琉「結衣はもう部屋戻って寝ろ。」
結「うん…。」
琉生お兄ちゃんに言われて部屋に行くとそのまま着替えてベッドに横になった。
ここ最近毎日忙しかったけど…。
こうして時間ができてしまうと不意に大雅兄に会いたくなってしまう。
声が聞きたい。会いたい。触れたい。
……そばにいて欲しい。
大雅兄がいたら…。
いたら………。
すると突然私の携帯電話が鳴り出した。
結「もしもし…。」
大『結衣か?なんか声聞きたくなっちゃって…今忙しかった?』
と優しい大雅兄の声が電話越しで聞こえた。
なんでいつも求めてる時に…。
結「ううん…。ううん…。忙しくないっ。」
私は溢れてくる涙を必死に堪えるようにそう答えた。
大『ん?結衣…泣いてる?なんかあった?』
結「違う。私も寂しくて…大雅兄に会いたいって思ってたから…。」
大『ならいつでも電話して来ればいいのに!全然連絡くれねーんだもん。』
電話越しで笑いながらそう言っている大雅兄。
会いたい気持ちが増してくる。
大『それよりさ…結衣具合悪い?なんかいつもと違うような…』
さすが大雅兄。
私のことはなんでも気付いてくれる。
結「……会いたい。大雅兄…。」
大『俺もだよ。でももうすぐ夏休みだからな。絶対会おうな。』
結「うん…。絶対だよ。」
大『あぁ。約束だ。結衣もテスト頑張れよ。』
結「うん。大雅兄も頑張ってね。」
大『じゃあもう切るな。また連絡する。』
そう大雅兄が言うと電話はプツリと切れてしまった。
そして安心したからか私はそのまま眠ってしまっていた。
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