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日常
結衣side
しおりを挟む段々と気候は暑くなり気付けば7月になっていた。もうすぐ2年生になって初の期末テスト。
正直少し気が重い。
そして今日も榊さんが迎えに来て帰宅……のはずが…
榊さんの車がない!!!
……どうしたんだろう。
すると
「矢神!」
と後ろから声をかけられた。
結「近藤くん!」
二年生になりクラスが変わってすっかりと関わりがなくなってしまった太陽さんの弟の近藤陽斗くんだ。
近「あれ?今日は迎えの車来ないの?」
結「うん…来てないみたい。もう少し待ってみようかな。」
近「じゃ、じゃあ俺と一緒に帰らない?送るよ!」
結「えっ!でも…そうしたら近藤くん遠回りだよね?それは悪いよ…。」
近「大丈夫だよ!少しくらい!」
そう言って近藤くんは一緒に帰るように背中を押してきた。
結「じゃあ一緒に帰ろうか!」
近「そうしよう!」
結「ありがとうね!近藤くん!」
近「いいよ!俺も矢神と…帰りたかったし…。」
近藤くんは少し嬉しそうな顔でそう言ってくれた。
そして2人で肩を並べて帰宅する。
その感じが少し大雅兄と一緒に帰ってる時を思い出させた。
結「ふふっ。なんか大雅兄と一緒に帰ってた時みたい。」
近「矢神ってさ…。大雅先輩の事…好きなの?」
近藤くんは少し気まずそうにそう聞いてきた。
結「え?」
近「いや…異常なほど仲良いし…2人を見てるとなんか…兄妹とは違う特別な関係なんかなって…。」
結「うん…。私は大雅兄の事好きだよ。」
私は近藤くんに堂々とそう伝えた。
近「でも…兄妹なんだよね?それでも好きなの?」
結「うん。大雅兄は私にとって…特別だから…。」
近「そっか…。」
それだけ言うと近藤くんは下を向いた。
なんか今日の近藤くんは少し様子がおかしい。
結「近藤くん何かあったの??顔くらいよ??」
近「矢神…。俺、兄貴には諦めろって言われてたけど…諦めきれなくて…。」
諦めきれない…?
その言葉には主語がない。
鈍感な私は太陽さんに受験の事でも反対されているのかと勘違いをしていたのだ。
結「諦めなくて…いいんじゃないかな。」
そしてそんな簡単な答えを口にした。
近「え?」
結「だって…将来なりたい姿や、やりたい仕事を他人に決められる権利は無いから…。」
私がそう言うと近藤くんは困った顔で微笑んだ。
そしてすぐに真剣な顔になると
近「矢神…!」
そう言って私の両手首を掴んだ。
結「近藤くん?どうしたの?」
近「俺さ…、大雅先輩に勝てるとは思ってないけど。やっぱり気持ち伝えようと思うんだ。」
大雅兄に勝てない?
あ、近藤くんもお医者さんになりたいって事?
近「俺…前から、矢神の事……。」
榊「結衣様!!遅くなり申し訳ありません!」
近藤くんが何か言いかけた瞬間榊さんが迎えに来てくれたのだった。
結「榊さん!」
榊「あ…なんか…おじゃましてしまいましたか??」
近「あ、いや!迎えきたなら良かったな!じゃあ俺行くわ!また今度な!矢神!」
そう言うと近藤くんは走って行ってしまった。
私の気持ちは何となくモヤモヤしていたのだった…
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