4人の王子に囲まれて

*YUA*

文字の大きさ
上 下
134 / 202
結衣の心

結衣side

しおりを挟む



大雅兄の目が覚めてからも私は毎日病院に通った。






太「こーら。結衣ちゃん!検診にも来ないで大雅のところにいたのか!」

結「あ!今日検診だった!!」

太陽さんが検診のことをすっかり忘れている私を探しにきた。



大「結衣、検診受けておいで。」

そう言って大雅兄は私の背中を軽くポンと押した。


結「うん…。太陽さん…今日痛いことある?」

太「ちょっと今月は採血しときたいなぁ…」

と少し困ったような笑顔で言ってきた太陽さん。



結「じゃあ…やっぱり今度にしとこうかな…」

大「結衣。受けなさい。」

そう言っている大雅兄はとても怖い顔だ。


結「なんで大雅兄まで…」

大「当たり前だろ。」

太「結衣ちゃんなら頑張れるよ。一緒に頑張ろ!」

そう言って私の手を引く太陽さん。



結「でも……」

太「じゃ、ここでしちゃう?」

結「え!?それはちょっと…聴診とかもあるし……」

太「だって2人とも付き合ってるんだし…いいとこまではいってるんでしょ?」

そうニヤニヤする太陽さん。

結「いいとこ?えと…水族館とか行ったよね!」

私がそう言うと大雅兄は慌てて私の耳を塞ぎ、太陽さんに何かを話していた。





太「じゃあ…診察室で検査しよ!」

結「また今度…」

太「ダメ。先延ばしにしても恐怖心煽るだけだろ?」

結「でも…」

太「ほら、おいで。」




私は無理矢理診察室へと連れて行かれた。



太「結衣ちゃんが採血いながるなんて久しぶりじゃん。どした?」

そう言いながらも準備をしだす太陽さん。


結「うーん…。今日は琉生お兄ちゃんは?」

太「あー琉生ね…。今日は病棟のどこかには居ると思うけど…」


結「じゃあ太陽さんだけ?」

太「そ!じっくりと診察してやるからな?」

そう言うと太陽さんはニヤニヤし始めた。


結「やめて下さいっ!」

太「冗談だって!さ、じゃあ先に採血しちゃおうか!」

結「えっ!いや…後がいい…。」

太「本当どうした?最近克服してきたんじゃないのか?」

結「それは…。」


私が下を向くと太陽さんは何かを察したように私の頭を手をポンと乗せた。

太「左手見せて。」

結「……。」

私は右手を出した。


太「これは右手。採血はいつも左手でしょ?」

結「今日は右手でいい!!」

私がそう言うと太陽さんは私の隠していた左手をとり、袖をまくり始めた。


太「やっぱり…頑なに嫌がってたのはそーゆーことね。」

結「……。」

太「なんでこんな左手傷だらけなの?」

結「……。」

太「結衣ちゃん?言わなきゃわからないよ。」

結「……。」

私は口を閉ざした。

何も言えなかった。

言ったって伝わることじゃない。

まるで自分を殻に閉じ込めるように……。



太「…ま、いいや。…大雅や琉生は知ってるの?」

そう尋ねる太陽さんに私は首を振った。

太「そっか。じゃあ普通に問診するね。最近ご飯ちゃんと食べられてる?」

私はまた首を振った。

太「んーじゃあ夜眠れてる?」

結「いつもそんな事聞かないのに…」

太「答えて。」

結「眠れてないです…。」


太「ん…分かった。じゃあ今日は右腕で採血しよう。次回、琉生同伴で左手で採血するからそのつもりで。」

結「え……。次回も??」

太「こんなことをした罰です。絶対来ること。分かった?」

結「はい…。」


そう言うと太陽さんは採血をしだした。

それがいつもより痛く感じて私は少し泣いてしまった。


太「じゃあお薬少し増やすから絶対飲むこと。あとで大雅のとこ持って行くからそっちで待ってて。」

そう言っている太陽さんは少し怒っているように見えた。

仕方ない。悪いのは全て私だ。

そう思った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...