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解熱剤
太陽side
しおりを挟む俺がこっそり結衣ちゃんの病室の前を通ると電話をしてる結衣ちゃんの楽しそうな声が聞こえた。
やっぱり結衣ちゃんは大雅なんだなぁと思い知らされる。
結衣ちゃんの病室を出る前に大雅に送ったメール
“仮眠するから10分後鬼電して!”
優しい大雅なら何やかんや連絡くれると思った。
結衣ちゃんも何度もかかってくれば流石に出てくれるだろうと。
そしてしばらくしてから通ると聞こえなくなっていた声。
俺は病室をチラッと覗いた。
そこには俺の携帯を握りしめながら眠っている結衣ちゃん。
おでこに触れると少し熱が下がっているように感じた。
太「ごめんな。少し熱測らせてな。」
そう言って熱を測ってみると38.9℃。
結衣ちゃんにとって大雅が解熱剤か…。
いいなーそーゆー関係。
禁断の恋って感じあるけど…
ゆーても2人は血の繋がらない関係。
出逢い方さえ違っていればもっといい恋人になれたのかもな。
俺はそんなことを考えていた。
それからしばらく経つと結衣ちゃんは起きていた。
太「結衣ちゃん起きてたか。おはよ。」
結「太陽さん!」
太「なんかさっきより元気になったな。なんかいい事あったか?」
俺がそう言うと結衣ちゃんは突然笑い出した。
結「太陽さんわざと携帯置いて行ったんですよね?」
太「えっ…なんでっ!」
結「大雅兄何度も電話かけてくるような人じゃないもん。それに…わざと大雅兄って分からないように着信時、大雅兄の名前出ないように設定してたみたいだったから…」
太「なんだ……。」
結衣ちゃんは鋭いな。
結「でも…声が聞けて…嬉しかった……っ。」
そう言って涙がポタリと布団に落ちた。
太「会いたい?大雅に。」
俺は結衣ちゃんに聞いた。
すると……結衣ちゃんはコクリと頷いた。
そんな結衣ちゃんの頭をポンポンと撫でることしか出来ない。
俺じゃ大雅の代わりなんてなれっこ無いのだ。
太「そーだ。お腹の調子はどう?」
結「……。」
太「背中も痛いとかある?」
俺がそう聞くと結衣ちゃんはコクリと頷いた。
太「ちょっとお腹触らせてね。そのまま仰向けになってて。」
俺がお腹に少し手を当てると不安そうな顔で結衣ちゃんは訪ねてきた。
結「……痛い?」
太「優しく触るけど…もし痛かったら教えて?すぐやめるから。」
俺はゆっくり下腹部から触りはじめた。
その手を段々と上腹部に向かって触っていくと結衣ちゃんが叫びはじめた。
結「痛いっ!!!」
太「おおっと。ごめんな。痛かったな。」
そう言うと突然ブワーっと出てきた結衣ちゃんの涙。
太「そんなに痛かった!?ごめんね。」
俺が焦っていると琉生が部屋に入ってきた。
琉「準備出来たぞ。」
太「了解!」
結「何の準備?」
明らかに不安そうな結衣ちゃんの顔。
太「結衣ちゃんのお腹ね、出血してる様子なのは結衣ちゃん自分でわかるよね?」
結「うん…」
太「まだちゃんと見てみないと判断は出来ないんだけど…そこの止血をしないとなんだ。」
結「やだ…。」
泣きながらそう言う結衣ちゃんはこれまで辛かった1ヶ月を思い返しているようだった。
琉「どうして。」
結「痛いのも苦しいのももう嫌だ。」
結衣ちゃんが泣きながらそう言うと琉生はため息をついた。
琉「あのな…」
太「俺が話すから、琉生ちょっと部屋でてろ。」
今結衣ちゃんや榊さんの件で結構参っている琉生は結衣ちゃんに何を言うか分からない。
俺は琉生を少し病室から出すと結衣ちゃんを説得しようと話しはじめた。
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