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おうちに帰りたい
太陽side
しおりを挟むいつも注射を嫌がる結衣ちゃんが抵抗すらしなかった。
俺が行くから待っててと言ってもあまり反応を示さなかった結衣ちゃん。
俺は少し心配になった。
太「お待たせ!結衣ちゃん!」
結「え!!別に太陽さんのこと待ってたわけじゃないです!」
太「そんな冷たいこと言うなよ!この後時間ある?ご飯食べいこ!」
結「まぁ時間はありますけど…」
太「じゃ、行こ!!」
俺は結衣ちゃんの手を引いて駐車場まで出た。
太「はい、助手席どーぞ!」
結「あ、ありがとうございます。」
俺はそのまま行きつけの居酒屋へと連れてった。
店「おぉ、太陽くん!今日も生でいい?」
太「あー今日車なんだよ。だからノンアルで!今日は個室借りるわ!」
店「おう!」
俺が店主と話してるのをじっと見つめてる結衣ちゃん。
俺は結衣ちゃんを個室へと案内した。
結「なんで居酒屋なんですか?」
太「あぁ…個室の方が話しやすいかなーと。嫌だった?」
結「嫌では無いです。」
太「そういえばこの前ごめんな。俺踏み込まれたく無いようなこと聞いちゃって。
結「いや…大丈夫です!」
太「とりあえず何か頼むか!何食べる?」
結「お腹すいてなくて…」
太「食欲…ない?」
結「最近夜食べてなかったから…」
太「どうして?」
結「それは……えと…」
太「話せない?」
結「えっと……だ、ダイエットです!」
太「ダイエット?本当に?」
結「はい!」
そう言って結衣ちゃんは笑った。
太「……じゃあ、何か低カロリーなやつ頼もうか。飲み物は何がいい?オレンジジュースとかでいい?」
結「はい!オレンジジュースで大丈夫です。」
そう言った瞬間確信した。
結衣ちゃんはダイエットなんてしていない。
ダイエットなんてしてたらまずジュースではなくお茶やお水を飲みたがるだろう。
俺は適当に食べ物を選んで注文し、結衣ちゃんの話を聞いた。
太「新しい生活はどう?楽しい?」
結「はい。楽しいです。」
そう言う結衣ちゃんは笑ってはいなかった。
太「それは本当??少しでも前の生活の方が良かったとか思わない?」
俺がそう言うと結衣ちゃんはしばらく黙ったまま下を向いた。
結「思わない…と言ったら嘘になります。」
太「なら…」
結「でも…元々もしお母さんが再婚してなければ今の生活だったんです。」
太「……」
結「最初は違った。みんなもっと意地悪で、毎日なんで私ばっかりこんな事になるのって思ってました。」
まーあいつらの性格はな……
わからなくもない。
結「それなのに……こんなに一緒にいるのが当たり前になってしまうなんて……。みんなに会いたい。こんなに急に一緒に住めなくなってしまうなんて……」
そう言っている結衣ちゃんはポロリと涙をこぼした。
太「なら会いに行ったらいい。いつでも帰ったらいい。それは違うのか??」
結「でも…それは私のエゴなのです…。それにみんなからしたら私は義理の兄妹でしかない。………私がそばに居たってまた体調を崩したりしたら迷惑かけてしまう。」
太「ずっと思ってたんだけど…結衣ちゃんってどうして体調崩したら迷惑だと思うの?」
結「それは……」
太「結衣ちゃん?ちょっと…」
結「お、お手洗い行ってきます…」
そう言って席を立った結衣ちゃん。
向かいの席に座っていても分かるほどの喘鳴だった。
俺がいるから言えばいいのに…
なんで1人で抱えようとするんだ。
なんで誰にも助けを求めようとするんだ。
結衣ちゃん…
何が君の枷になっているんだよ。
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