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同居と風邪
大雅side
しおりを挟むあいつの眼鏡を取った姿を見てからずっと頭の中にあいつがいる。
大「ちくしょう。」
あいつはあれから毎日2時半に起きて俺らの朝食と弁当を作りその後どこかへ出かけてから学校へ行っている。
学校の後もバイトとやらで帰りは夜の10時半過ぎ。
洗濯だって全てやってあって綺麗に畳んでおいてあるし晩飯までちゃんと用意してある。
ちゃんと寝てんのかな。
そんな事を考えながら寝ていると早朝4時過ぎ俺は目を覚ましてリビングへと向かうと
いつもなら用意されているはずの朝食と弁当が用意されていなかった。
瑛「なんだよ。あいつ……。寝坊かよ。まー久しぶりにコンビニで買うのもいいか。」
大「え?あいつが…寝坊??てかあいつの部屋どこ?」
瑛「第1倉庫。」
大「は!?ちょっと俺…みてくる。」
他にも部屋あんだろうが。
なんで倉庫なんだよ。
俺は第1倉庫まで走って向かった。
コンコン
ノックをしてから部屋を開けると
布団も無く床の上にゴロンと横になり
自分のコートをかけて眠っている結衣の姿があった。
大「んだよ。これ…」
俺がそう呟くとふと目を覚まし体を起こす結衣。
結「あ…ごめんなさ…私……寝坊しちゃって……すぐに朝食を……」
そう言って立ち上がろうとする結衣は顔も赤く、息もかなり上がっている。
大「うるせぇ。喋るな。」
そう言って結衣を抱き上げるとすぐに俺の部屋のベッドまで運んだ。
こいつ…。
本当に飯食ってんのか?
めちゃくちゃ軽いぞ。
結「大丈夫っ。急いで…作らなきゃ。ハァ…ハァ」
大「いいから寝てろっつってんだろ!」
俺が大声でそう怒鳴ると結衣はビクリと体が震えてそのまま横になった。
結衣を寝かすと俺は医者である琉兄を部屋に呼ぶとすぐに診察をしてくれた。
ピピピピッ
琉「熱は39°C…。疲労と栄養失調……なんでこうなった。」
結「ごめんなさ……あの。私大丈夫なので…っ」
遠慮しつつも謝り続ける結衣はずっと顔も赤くすごく辛そうだ。
琉「こんな熱が高くて大丈夫なわけあるか。今日は寝とけ。」
結「……」
しばらくすると今度は秀兄も部屋に入ってきて
秀「そーゆー事ね、最近授業に集中出来ていなかったのは。」
結「あ、いやっ!私が全部悪くて……要領悪いから…」
琉「とりあえずこんな熱高いんじゃ辛いだろ。今は点滴で様子を見よう。」
結「点…滴……?」
琉兄が点滴という単語を出した途端、結衣の顔色が変わった気がした。
琉「はい、腕出して。」
結「あの…私は大丈夫なのでっ」
琉「はやく出して。」
結「……はい。」
琉「はい、じゃあちょっとチクッてするよー」
針を刺した瞬間結衣の体はビクンとしてそのまま頬に涙が伝った。
琉「しばらくすればだいぶ体も楽になるだろ。何かあったら呼べ。」
そう言って琉兄と秀兄は部屋を出て行った。
大「結衣点滴苦手か?」
俺がそうたずねると下を向いたまま黙ったままの結衣。
大「よく頑張ったな。色々。」
俺がそう言いながら頭をポンポンとすると結衣は緊張が溶けたかのように突然泣き出した。
結「ふぇっ……」
今までかなり辛い思いさせてたんだな。
謝るのはこっちの方だ。
俺は気付けば泣いている結衣を強く、強く抱きしめていた。
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