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プロローグ
結衣side
しおりを挟むあの日から私の世界は180°変わったんだ。
結「お母さん朝だよー!起きて!!」
母「んん~」
私のお母さんはとことん朝が弱い。
結「昨日も遅くまでお仕事してたの?お弁当ここ置いておくね?」
そう言って私は2人分の朝食を作りテーブルに並べた。
私が小さい頃お父さんは亡くなったらしい。
それから私はお母さんと1LDKのアパートで2人暮らしをしている。
週5でバイトをして、学費だけは自分で払い残りは貯金。
そんな生活。
別に不自由してる事は何もない。
お母さんはお仕事で忙しいからその代わりに家事をする。
そんなの別に大したことではなかった。
高校生なのにお洒落は出来ない。
でもする時間も遊ぶ時間もない。
でもそんな当たり前だった生活はある日を境に……
母「おはよ~」
ふぁーっとあくびをしながら起きてくるお母さん。
結「おはよ。お母さん。」
母「ねぇ結衣。今日火曜日だからバイト休みよね?何か予定とか入ってる?」
結「もうすぐ中間だから図書館で勉強してくるけど……」
母「今日予定空けといてもらえない?」
突然のお母さんの言葉。
今までそんな事はなかったから私はとりあえず頷いた。
勉強なんていつでもできる。
でもそれがあの悪夢の始まりだった。
その日の放課後。
学校が終わると私はすぐに帰宅した。
結「ただいま~」
母「おかえりなさい。結衣!早速出かけるから準備して!」
結「出かけるの?わかった。」
まだ今の状況は理解できていないけど……
お母さんも忙しいから一緒に出かけるなんてかなり久しぶりだ。
だいたいこの時間にお母さんが家にいるのもおかしい。
とりあえず言われた通りに準備をして私たちは家を出た。
そして今に至る。
私はお母さんにダンディーで明らかにお金持ちそうなおじさまとイケメン4人を紹介されているのだ。
母「結衣、私ね再婚しようと思うの。」
結「え!?」
聞いてない……
てか何この状況、、
母「矢神さんもね、4人のお子さんがいらっしゃって……」
見ればわかるよ。
それに4人のうち2人は知ってるよ。
しかももう1人もなんだか見たことある気がするし。
それは同じ高校のイケメンヤンキー大雅先輩と
女子生徒から人気なイケメン教師 矢神 秀先生だもの。
そしてもう1人……
瑛斗さん?は見たことある……
最後は優しそうで賢そうなイケメンな人……
長男の琉生さん……
この人はお医者さん。
なんでそんな立派な家柄の人とお母さんが!?
なんかもう凄すぎて…
何も言葉が出ない。
こ、こ、こんなイケメンな人たちと私が兄妹になるの!???
母「とりあえず私と彼は明日からシンガポールに新婚旅行に行ってくるからあとはみんなで仲良くしてねっ!」
結「え…ちょっと…お母さん!??」
お母さんはダンディーな男の人と腕を組んで行ってしまった……
いやいや…勝手すぎるよ。
無理だよ……
やっていける気がしない。
大「なーんだ。せめてもっと可愛い妹が良かったー。」
琉「大雅!結衣ちゃんになんてこと言うんだよ。」
大「だってこいつ俺の学年でも有名なほどくそ真面目だし……まずなんだよ。このぐるぐるメガネにおさげ姿!」
そう言って大雅先輩は私がかけているメガネをカチャリと持ち上げ取ろうとした。
…でも。
結「やめてくださいっ!!」
私はそのまま走って家まで帰った。
なんなの!
なんなの!
なんなの!!!
みんながみんなイケメンだから騙されるわけじゃないんだから!
あんな人がこれからお兄ちゃんだなんて最悪。
いいもん。これから私一人でこのアパートに住むんだから。
それだけの事だから…
別に辛くも寂しくもないもん。
何も食べてこなかったからお腹すいた…。
はぁ…。
…バイトも増やそうかな。
次の日。
私はいつものように学校へ向かった。
結「はぁー。」
眠れなかった…
あんな事があった後だもん。
眠れるわけない……
そしてトボトボと歩いているとすぐに学校へと着いてしまった。
大「おい!ガリ勉!」
私の姿を見つけるなり、すぐさま話しかけてくる大雅先輩。
わたしの体はビクりと跳ね上がる。
そんな私をみて大雅先輩は目を細めて睨んできた。
結「な、なんですか。」
大「お前今日から俺らと……」
結「ご心配なく。私一人でも大丈夫ですから。」
貯金ならある。
別に大丈夫だもん。
大「あ…おい!!お前の家は今日で…もう………」
走り去っていく私にはそんな言葉は届いていなかった。
大雅先輩の後は矢神先生の授業って……
秀「………これをこの公式に当てはめてみると……」
本当……ついていない。
こんな高校来なきゃ良かったよ。
高校が違かったら少しは印象違かったのかな。
キーンコーンカーンコーーン
秀「じゃあ今日はここまで。あ、鈴木!昼休み職員室へ来い。以上。」
う……
昨日のこと…絶対言われる……
帰りたい。。
もーどうして私の人生こうなるの!?
コンコン
結「失礼します。」
昼休みになり、私は言われた通りに職員室へ向かった。
秀「おー鈴木、来たか。えと…昨日の事なんだけどさ。」
結「ご心配なく。みなさまのご迷惑になるようなことはしませんので。それじゃあ失礼します。」
秀「おい、鈴木!」
無視無視。
別に大丈夫なんだからねっ!
それに……
あんなイケメン4人と一緒に上手くやっていける気がしない。
学校が終わるとすぐにバイトへ行き、時刻はもう22時。
女「鈴木さんもう上がって~」
結「はい!お先に失礼します。」
バイトはいつも22時まで。
いつものように帰宅した私だけど……
今日はいつものようには行かなかった。
大「随分と遅い帰りだな。」
それは……
家の前は大雅先輩がいたから。
結「何してるんですか。人ん家の前で。」
大「テメェが朝話を聞かねぇからだろ!!」
そう怒鳴りつけてくる大雅先輩の声に私の体は再びビクリとした。
大「ここはもうお前ん家じゃねぇ。ほら、早く帰るぞ。」
へ?どう言う意味!?
意味もわからず家の戸を開けるとそこはもうすでにもぬけの殻になっていた。
結「えっ…」
大「だから人の話は最後まで聞け!ほら。帰るぞ。」
結「あ、ちょっと……」
そう言うと大雅先輩はグイッと私の手を引っ張りヘルメットを被せて私をヒョイと持ち上げてバイクへと乗せた。
結「へ?」
大「しっかり掴まってろよ!!」
ブイィィィィィン……
結「きゃーーーーーっ!とめてーー!」
突然走り出すバイク私は咄嗟に大雅さんにギュッと抱きついていた。
もう…本当っ!最悪っ!!
大「着いたぞ。」
結「……っ。」
大「へ!?なんで泣いてんだよっ!!」
結「だってぇ……グス…こわかったぁっ」
大「……ったく。こわがり。」
そう言って大雅先輩は私の眼鏡をそっと取り、涙を拭ってくれた。
…なんだ。
もっとこわい人かと思った。
結「ありがとうございま……へ?」
大「……/////……お、おう。」
みると大雅先輩の顔は赤くなっていた。
どうしたんだろう。
大「とりあえず…早く家入るぞ!」
結「は、はいっ!」
大「あ、あと……敬語…やめろ。これからは兄妹になるわけだし?」
結「う、うん!!ありがとう!」
私はそう言って微笑んだ。
だって、嬉しかったから。
もっと嫌われていると思ってた。
怖い人だと思ってたから。
色々戸惑うことばかりだけど、
これから頑張ろう。
そう意気込んだ瞬間だった。
大「それと。このぐるぐる眼鏡早くつけろ。」
結「え?う、うん。…なんで?」
大「い、いいから早くつけろ。」
結「う、うん…。」
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