21 / 28
初の依頼
しおりを挟む「カンカン!カーン!勝負アリ!」
そう言ってベルさんはゴングと金槌を持って宣言してきた。いや持ってるなら使えよ!
「叩くと疲れるんですよねぇ」
「……前に思いっきりぶっ叩いて壊したからだ」
ベルさんの言葉にドロンさんは僕たちコソッと真実を教えた。どれだけ強く叩いたんだ?
「ありがとうございました。チンピラ冒険者さん方!」
「いててて!はやく!はやく!ベルちゃん!話すように言って!」
「あっはい、アイさーん。もう大丈夫ですよー」
『一本くらい……』
「やばいよぉおおお!ボソッと何か聞こえたよぉおおお!」
アイの言葉にヒャッハー男はビクビクし始めた。
「アイやめてあげて」
『了解です』
アイはそう言うとすぐに男から手を離した。
そういえばどうして正面戦闘が出来るんだろう?
すごく慣れた手つきで無力化してたけど。
『ふふふ……やはり戦闘モードは良いですね』
「ちょっと待って僕それ知らない」
毎回思うんだけど、アイは僕が知らないうちに勝手に自分を改造してない?
『まぁ……「俺にしか体をいじらせるな」なんてマスターのエッチ!』
「違うからね⁉︎」
アイが体をクネクネさせる。
やめろやめろ!変なことをしてるように見えるだろ!
「すまんな坊主」
そう言われて声がした方を見ると、さっき僕と戦ったモヒカンがいた。
「怪我をしてねぇか?」
そう言ってモヒカンは僕の体をキョロキョロ見回す。
「大丈夫です」
「それは良かった。ランちゃーん。変身解いてもいいか?」
「良いですよー!」
「変身?」
「見ればわかる」
ベルさんと男のやりとりに僕が首を傾げていると、モヒカン男は姿を変えて、20歳くらいの見た目茶髪男性になった。
『マスター!見た目が変わってますよ!』
アイはその光景に目を丸くした。
「ちょっとした魔法の道具を使うが、俺はこうやって姿を変えれんだよ」
男はそう言って、僕に手を伸ばす。
「さっきはビビらせて悪かったな。ここ銀クラスの冒険者“ヴァン・シュタイン”だ」
「アーク・ミリアムです」
シュタインさんと僕はお互いに握手をして自己紹介をした。
『じゃあもう一人の人も変身ですか⁉︎』
アイはキラキラした顔でもう一人のモヒカンを見る。
「あぁアレは普通にモヒカンなだけだ」
「普通にモヒカン」
なかなかのパワーワードじゃないだろうか?
「いてて……怖かった……めっちゃ怖かった……大丈夫?腕折れてない?一箇所凄い曲がるんだけど」
「そこは関節だ馬鹿」
シュタインさんの近くにモヒカンの人が行き、僕たちの方を見た。
「オレの名前は“ヴァン・エルカ”、シュタインの弟だ」
そう言って頭を下げる。
「アーク・ミリアムです」
『アイです』
「もう二度とアイさんとは戦いたく無いです」
そう言ってシュタインの背中側に回ろうとしているのを見るとどうやらアイはかなりの恐怖を植え付けたようだ。
「さてと自己紹介が終わったところで!」
そう言ってベルさんは手をパンパンと叩く。
「アーク君とアイちゃんはこのヴァン兄弟と一緒に依頼に行ってもらいます!」
『えっ⁉︎そうなんですか⁉︎』
「はい!初めての依頼は簡単な物ですが、依頼の受け方、依頼主との交流、そして報酬の貰い方など!最初の一回は絶対に誰かと受けてもらいます!ちょっと待っててくださいね!」
そう言って一度、受付のところに戻ると今度はドラムを持ち出してきた。
そして、そのままドルルルルルとドラムを打ち出す。
いやそんな演出いらないから!
「お二人の最初の依頼それは」
ドルルルルルル!
「[デデン!]です!」
「『被ってる!』」
ドラムのやつで依頼のやつ全部消えたわ!
「失礼しました!草むしりです!」
『「へっ?」』
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
〖完結〗王女殿下の最愛の人は、私の婚約者のようです。
藍川みいな
恋愛
エリック様とは、五年間婚約をしていた。
学園に入学してから、彼は他の女性に付きっきりで、一緒に過ごす時間が全くなかった。その女性の名は、オリビア様。この国の、王女殿下だ。
入学式の日、目眩を起こして倒れそうになったオリビア様を、エリック様が支えたことが始まりだった。
その日からずっと、エリック様は病弱なオリビア様の側を離れない。まるで恋人同士のような二人を見ながら、学園生活を送っていた。
ある日、オリビア様が私にいじめられていると言い出した。エリック様はそんな話を信じないと、思っていたのだけれど、彼が信じたのはオリビア様だった。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
浮気中の婚約者が私には塩対応なので塩対応返しすることにした
今川幸乃
恋愛
スターリッジ王国の貴族学園に通うリアナにはクリフというスポーツ万能の婚約者がいた。
リアナはクリフのことが好きで彼のために料理を作ったり勉強を教えたりと様々な親切をするが、クリフは当然の顔をしているだけで、まともに感謝もしない。
しかも彼はエルマという他の女子と仲良くしている。
もやもやが募るもののリアナはその気持ちをどうしていいか分からなかった。
そんな時、クリフが放課後もエルマとこっそり二人で会っていたことが分かる。
それを知ったリアナはこれまでクリフが自分にしていたように塩対応しようと決意した。
少しの間クリフはリアナと楽しく過ごそうとするが、やがて試験や宿題など様々な問題が起こる。
そこでようやくクリフは自分がいかにリアナに助けられていたかを実感するが、その時にはすでに遅かった。
※4/15日分の更新は抜けていた8話目「浮気」の更新にします。話の流れに差し障りが出てしまい申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる