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仲良くなるにはどうしたら良い?
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『 Silver Soldier』
それは多くの人を魅了した架空戦闘バトルロワイヤル、実際に用意された会場で死ぬことのない肉体で戦うこのスポーツともゲームとも言えるこの戦いは多くの人を魅了していた。
ーーーーー「30世紀のゲーム大全より抜粋」
ミーンミンミンミンミンミーン
蝉が元気よく歌う、夏の真ん中、季節の暑さが男のいる倉庫を熱いサウナに変えていく。
『続きまして次のニュースです!つい先日、行われたB級カップ イン サマー!夏の暑さにも関わらず客席は満席!インターネットの配信でも多くのログインがあり過去最高の始まりとなりまし……』
「あ~やめだやめだ!」
彼はそう言いながら倉庫にあったラジオを消し、持っていたレンチを収納箱にしまう。
「シャワー浴びて飯!」
そう言い、彼は慣れた手つきで作業用のシャツを脱ぎ、シャワーを浴びた。
「ふんふん♪ふんふん♪」
シャワーを浴びた後、彼はラフな格好に着替え、冷蔵庫に何か無いか探した。
「……はぁ……」
しかし、そこには何もなく。
そう言えば昨日の夕飯に全部フライパンにぶち込み使い切ったんだと思い出す。
「たまには外で食うか……暑いけど」
彼はそう言いながら、財布を取りいくら入ってるか確認をし、外に出た。
彼の目の前には道路があるが、そこを通る人たちは少ない。
どうやら暑いのを嫌がる人が多いらしい。
「……」
彼はカツカツと足音を鳴らし、近くの公園に向かった。
公園はそこそこの大きさで、暑さに負けずに元気に遊ぶ子ども達が見れる。
なぜこんな炎天下の中、クーラーの効いたレストランに行かずに、この公園にきたのか?
「なぜなら、この公園にいる販売車のホットドックをコーラと共にいただくためだ」
木陰に身を休めながら、熱々のホットドッグを食べ、冷えて炭酸が効いているコーラが喉を潤す。
そんな未来を夢見て、そしてそれが。
「今、実現を果たす!」
買ったホットドッグのソーセージの匂いが更に食欲を刺激する。
「いただきます!」
彼はそう言い、ホットドッグを食す。
「ピリ辛なソースがソーセージとよくあってる。コーラも美味い」
彼は満足げな表情でホットドッグを食べきった。
「ねぇおじさん」
「ん?」
声がする方を見てみるとそこには少女がいた。
髪は茶髪で短く整えられていて、状況が状況なら今、公園で遊んでいる子どもたちの中にいても不思議ではないだろう。
しかし、それを否定するものがたった一つだけあった。
それは彼女が座っていた車椅子だった。
スポーツ用の物ではなく、医療用の物だった。
「どうした?がきんちょ」
彼はゴミ箱にホットドッグを包んでいた紙やコーラを入れいたプラスチック製の容器を入れながら聞いた。
「がきんちょじゃない……私の名前は薫だ」
「そうかそれは悪かった」
そう言って、男はボリボリと首の横をかく。
「それで聞きたいことがあるんだけど」
「ん?」
「病院の場所知らない?抜け出したら道に迷って」
「はぁ~なんじゃそりゃ」
彼はそのすっとんきょうな質問に思わずため息がもれる。
「仕方ないだろ!病院は退屈なんだ」
「病院は退屈な物だぞ、諦めろ」
その後、「やれやれ」と彼はそう言いながら、少女の後ろに回る。
「えっ?」
「さっさと病院に戻るぞ、それとも連れがいるのか?」
そう言って車椅子の取っ手をとる。
「……」
それを見て、少女の顔は「心底意外だ」と言っているような表情をしていた。
「なんだ?」
「いや、そんな優しいことをこんな顔の人間が言うんだなと思っただけだ」
「しばくぞがきんちょ」
その後も少女はブーブー言いながら病院の場所を渋々彼に教え、男は言われた通りに車椅子を押しながら進んでいく。
「あそこの病院か?」
「そうだ」
「すごいな」
少女の車椅子を押していき、その病院の大きさに驚いた。総合病院2個分はあるのではないだろうか?
(家から結構近いな)
公園からは少し離れた位置にあるが、家とは近い位置にあった。
「私、結構珍しい病気になってるらしくてね」
彼が病院の大きさに驚いてなのか少女はどうしてこのような大きな病院に自分がいるのかを話した。
「そうなん?」
「うん。先生がそう言ってた」
「……」
そう言った少女の顔を男は見たが、彼女の目からは涙が溢れたりはせず、会った時から表情が変わらなかった。
「体のあちこちに悪いやつがあって、手術をするんだって」
「治るんだな」
「わからない」
少女の返しに「成功率が低いのだろうか?」と彼は思ったが聞くことはせず病院に向かって車椅子を押していった。
「ありがとうございます!」
病院に入り、看護師に少女が本当にここの患者か聞いたら看護師は慌てて電話をかけ数分もしないうちに少女の母親が病院に来た。
「ほんとありがとうございました!娘に何かあったらと思うと!」
母親の目から大粒の涙がポロポロと溢れていく。
「ほら!薫も早く!お礼言って!」
「あ~大丈夫ですよ……」
「えっ!しかしお礼が……」
「大丈夫です」
彼は居心地が悪いのか頭をポリポリと掻きながらその場を後にする。
「あっ!また明日あの公園で!」
後ろから少女の声が響くがそれに対して何のリアクションも無しに男は足早に自分の家へと戻っていった。
『さぁまだまだ続きます!B級カップ!観客席の中には「G I T」や「紅狼」などのA級の人たちも見に来ていました!』
『これは珍しいことです。B級カップを観にくるのは大抵……』
「ちっ」
家に着いた時、ふと今日のニュースを見ようとリモコンを押したがそ彼は舌打ちを一つするとテレビを消した。
その後、彼は足早にシャワーを浴び、寝床についた。
「よっ」
「……」
そして、彼は迂闊にも翌日と同じように公園にいきお気に入りのホットドックを食べてしまった。
その目の前を車椅子の車輪を自分でまわしながら目の前に移動する。
「またしばかれるぞ、たしか……薫か」
「今日は病院にも知らせてる」
そう言って薫が指を刺している方向を見ると、そこには薫の母親が車の近くで立っておりこちらに向かってお辞儀をしていた。
「……」
彼も座りながらではあるが頭を下げる。
「病院がさ『ちょっとだけの外出』を許可してくれたんだよ」
「そうなのか」
おそらく病院で駄々をこねたに違いないなと彼はぼんやりと思う。
「そういえばあんたの名前を聞いてなかったよね?」
「知らなくて良いだろ」
「私は薫って名前を知られてるぞ」
「……それだけ聞くと犯罪臭がするな」
そう言って彼は観念したように言う。
「俺の名前は東雲……東雲 秋だ。漢字は東の雲と四季の秋だ」
そう言って彼、東雲 秋は自分の本名を伝えた。
「いや名字だけでよかった」
「しばくぞ」
こうして、2人はなかなか歩調の合わないスタートを切った。
それは多くの人を魅了した架空戦闘バトルロワイヤル、実際に用意された会場で死ぬことのない肉体で戦うこのスポーツともゲームとも言えるこの戦いは多くの人を魅了していた。
ーーーーー「30世紀のゲーム大全より抜粋」
ミーンミンミンミンミンミーン
蝉が元気よく歌う、夏の真ん中、季節の暑さが男のいる倉庫を熱いサウナに変えていく。
『続きまして次のニュースです!つい先日、行われたB級カップ イン サマー!夏の暑さにも関わらず客席は満席!インターネットの配信でも多くのログインがあり過去最高の始まりとなりまし……』
「あ~やめだやめだ!」
彼はそう言いながら倉庫にあったラジオを消し、持っていたレンチを収納箱にしまう。
「シャワー浴びて飯!」
そう言い、彼は慣れた手つきで作業用のシャツを脱ぎ、シャワーを浴びた。
「ふんふん♪ふんふん♪」
シャワーを浴びた後、彼はラフな格好に着替え、冷蔵庫に何か無いか探した。
「……はぁ……」
しかし、そこには何もなく。
そう言えば昨日の夕飯に全部フライパンにぶち込み使い切ったんだと思い出す。
「たまには外で食うか……暑いけど」
彼はそう言いながら、財布を取りいくら入ってるか確認をし、外に出た。
彼の目の前には道路があるが、そこを通る人たちは少ない。
どうやら暑いのを嫌がる人が多いらしい。
「……」
彼はカツカツと足音を鳴らし、近くの公園に向かった。
公園はそこそこの大きさで、暑さに負けずに元気に遊ぶ子ども達が見れる。
なぜこんな炎天下の中、クーラーの効いたレストランに行かずに、この公園にきたのか?
「なぜなら、この公園にいる販売車のホットドックをコーラと共にいただくためだ」
木陰に身を休めながら、熱々のホットドッグを食べ、冷えて炭酸が効いているコーラが喉を潤す。
そんな未来を夢見て、そしてそれが。
「今、実現を果たす!」
買ったホットドッグのソーセージの匂いが更に食欲を刺激する。
「いただきます!」
彼はそう言い、ホットドッグを食す。
「ピリ辛なソースがソーセージとよくあってる。コーラも美味い」
彼は満足げな表情でホットドッグを食べきった。
「ねぇおじさん」
「ん?」
声がする方を見てみるとそこには少女がいた。
髪は茶髪で短く整えられていて、状況が状況なら今、公園で遊んでいる子どもたちの中にいても不思議ではないだろう。
しかし、それを否定するものがたった一つだけあった。
それは彼女が座っていた車椅子だった。
スポーツ用の物ではなく、医療用の物だった。
「どうした?がきんちょ」
彼はゴミ箱にホットドッグを包んでいた紙やコーラを入れいたプラスチック製の容器を入れながら聞いた。
「がきんちょじゃない……私の名前は薫だ」
「そうかそれは悪かった」
そう言って、男はボリボリと首の横をかく。
「それで聞きたいことがあるんだけど」
「ん?」
「病院の場所知らない?抜け出したら道に迷って」
「はぁ~なんじゃそりゃ」
彼はそのすっとんきょうな質問に思わずため息がもれる。
「仕方ないだろ!病院は退屈なんだ」
「病院は退屈な物だぞ、諦めろ」
その後、「やれやれ」と彼はそう言いながら、少女の後ろに回る。
「えっ?」
「さっさと病院に戻るぞ、それとも連れがいるのか?」
そう言って車椅子の取っ手をとる。
「……」
それを見て、少女の顔は「心底意外だ」と言っているような表情をしていた。
「なんだ?」
「いや、そんな優しいことをこんな顔の人間が言うんだなと思っただけだ」
「しばくぞがきんちょ」
その後も少女はブーブー言いながら病院の場所を渋々彼に教え、男は言われた通りに車椅子を押しながら進んでいく。
「あそこの病院か?」
「そうだ」
「すごいな」
少女の車椅子を押していき、その病院の大きさに驚いた。総合病院2個分はあるのではないだろうか?
(家から結構近いな)
公園からは少し離れた位置にあるが、家とは近い位置にあった。
「私、結構珍しい病気になってるらしくてね」
彼が病院の大きさに驚いてなのか少女はどうしてこのような大きな病院に自分がいるのかを話した。
「そうなん?」
「うん。先生がそう言ってた」
「……」
そう言った少女の顔を男は見たが、彼女の目からは涙が溢れたりはせず、会った時から表情が変わらなかった。
「体のあちこちに悪いやつがあって、手術をするんだって」
「治るんだな」
「わからない」
少女の返しに「成功率が低いのだろうか?」と彼は思ったが聞くことはせず病院に向かって車椅子を押していった。
「ありがとうございます!」
病院に入り、看護師に少女が本当にここの患者か聞いたら看護師は慌てて電話をかけ数分もしないうちに少女の母親が病院に来た。
「ほんとありがとうございました!娘に何かあったらと思うと!」
母親の目から大粒の涙がポロポロと溢れていく。
「ほら!薫も早く!お礼言って!」
「あ~大丈夫ですよ……」
「えっ!しかしお礼が……」
「大丈夫です」
彼は居心地が悪いのか頭をポリポリと掻きながらその場を後にする。
「あっ!また明日あの公園で!」
後ろから少女の声が響くがそれに対して何のリアクションも無しに男は足早に自分の家へと戻っていった。
『さぁまだまだ続きます!B級カップ!観客席の中には「G I T」や「紅狼」などのA級の人たちも見に来ていました!』
『これは珍しいことです。B級カップを観にくるのは大抵……』
「ちっ」
家に着いた時、ふと今日のニュースを見ようとリモコンを押したがそ彼は舌打ちを一つするとテレビを消した。
その後、彼は足早にシャワーを浴び、寝床についた。
「よっ」
「……」
そして、彼は迂闊にも翌日と同じように公園にいきお気に入りのホットドックを食べてしまった。
その目の前を車椅子の車輪を自分でまわしながら目の前に移動する。
「またしばかれるぞ、たしか……薫か」
「今日は病院にも知らせてる」
そう言って薫が指を刺している方向を見ると、そこには薫の母親が車の近くで立っておりこちらに向かってお辞儀をしていた。
「……」
彼も座りながらではあるが頭を下げる。
「病院がさ『ちょっとだけの外出』を許可してくれたんだよ」
「そうなのか」
おそらく病院で駄々をこねたに違いないなと彼はぼんやりと思う。
「そういえばあんたの名前を聞いてなかったよね?」
「知らなくて良いだろ」
「私は薫って名前を知られてるぞ」
「……それだけ聞くと犯罪臭がするな」
そう言って彼は観念したように言う。
「俺の名前は東雲……東雲 秋だ。漢字は東の雲と四季の秋だ」
そう言って彼、東雲 秋は自分の本名を伝えた。
「いや名字だけでよかった」
「しばくぞ」
こうして、2人はなかなか歩調の合わないスタートを切った。
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