大魔導師と賢者

河内 祐

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白銀の街“世界樹”

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「合格とは?」
「そのままの意味です!」
「?」
「説明は明後日にしますね!」
「えっあの」
「それではドロン!」

そう言うと彼女たちの周りから煙が出る。

「ゴホッ!ゴホ!」

煙のせいで周りが見えず、僕は慌てて研究室の扉から抜けた。

「なんだったんだ?」

煙がなくなった研究室には彼女達はいなかった。

ウーウー!

『火災発生!火災発生!』
「やば!」

煙を吸ったせいで火災警報機が反応してる‼︎

「やばいやばい!とりあえず誰かに知らせないと‼︎」

僕は猛ダッシュで近くの職員さんに連絡をし、事情を説明した。

『先程の火災警報機は誤作動であることがわかりました。皆様にはたいへん……』

しばらくすると誤作動であることが放送で流された。

「マジで彼女はあとで説教されろ」

僕は気疲れからヨロヨロになって部屋に戻り、ベットに転がり、そのまま眠りについた。

ーーー
そして約束の明後日になったが彼女からの音沙汰は無し、僕は約束の132号室に向かった。
ガチャと扉を開け部屋に入ると僕の他にも多くの人がいた。
全員が三角帽子に大魔導師を証明するローブを身に纏っている。

「やぁ久しぶりだね」
「やはりあなたもいましたか」

そして、そこには“薔薇の大魔導師”アミリア・ガードーナがいた。

「私も今回の件で呼ばれていてね……立ち話もなんだし隣に座ると良い」
「これはどうも失礼します」

そう言って僕は隣に座る。

「ここに君も来るのは何となくわかっていたよ」
「そうなのですね」
「あぁ今回の件は、軍人である“大魔導師”以外にも人手が必要だった。その中でもトップクラスの実力を持つ君が此処に来るのは当たり前のことでもある」
「なるほど」
「試験も合格したのだろう?」
「試験……かはどうかはわかりませんが“合格”とそばかすのついた女性に言われました」
「あぁそれについてだが」

ガードーナがそう言おうとした時だった。

『はいはーい!ガードーナ君!説明は私からさせてくれたまえ!』

そう言って目の前にマイクを持った女性が現れた。
一昨日に僕と実験をし飯を奢らされたあの女性だ。

『皆さん。今日はお集まりいただいてありがとうございます!』

そう言って、彼女はお辞儀と同時に話し始めた。

『今回の悪魔の力の件、何故、試験を行ったのか?皆様の中には薄々気づいた人もいるでしょう……魔導連盟は多くの魔導師を白銀の街に派遣しようと考えていましたが、そこである問題が起きました』

そう言って額にペシりと手をぶつけた。

『皆様の実力が明確に判断出来ていなかったのです……悪魔の力は強大です。犠牲者を減らすために足手纏いはいりません!なので試験を行いました!「召集しといて何言ってんだ!」と思っても仕方ありませんが犠牲者が増えるよりは何倍も良いと言う判断です!』

そう言って、再度、彼女は頭を下げた。

『ここには合格になった人しかいません!皆様が今回の件を解決するにふさわしい実力であることがわかっています』

そう言って彼女は満面の笑みを見せた。

『さぁ皆様!これより作戦を説明しますがそれよりも先ずは自己紹介ですね!私は“文月の仙人”カオル・ナナミヤです。どうぞよろしく』
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