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仮面の女
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➖コロス!
禁術の書から封印されてた男が出てきた。
男の体は木の木目の様な模様がついている。
『ここは……』
男が周りを見渡す。
『どうやら故郷の森ではない様だな』
その後、僕達を見る。
『まずは貴様らを……』
『警備員!』
「「「ハッ!」」」
司会を務めていた女性が屈強な男達を呼ぶ。
『皆様ご安心ください!とう会場の警備員は屈強です!今しばらくお待ちください!』
今、禁術の書から男が出て来たのに誰も逃げようとしない。
「ここで逃げたら馬鹿にされるから逃げないんだろうな」
「そうですよね」
「やはり、お偉い方の考えはわからん」
「考えても仕方がないでしょう」
命あっての物種だと思うが他国に見くびられたくないんだろうな。
『ほらあなた方も!』
女性は僕達を見る。
『今すぐ席に戻って下さい!』
「いやしかしだね……」
ガードナーが反論しようとするが、
「「「ぐぁ!」」」
警備員達が客席まで吹き飛ぶ事で中断される。
『なっ……!』
「あぁ……やっぱり……」
危険が無いと言われていても、元は禁術の書、悪魔の力を持った人間が簡単にやられる訳ない。
『死ね!!』
その、瞬間男の体から凄まじい数の植物の根の様な物が男を中心に伸びる。
「ぎゃあ!」
「ぐぁぁぁぁああ!!」
「グギィ!?」
沢山の人が根に力強く絡まり圧死したり、刺さったりして命を落としていく。
「エメルやばいぞ!」
マウグスはモアさんを脇に抱えながら根を躱している。
「やばいですね!」
僕も上手く躱せているがはっきり言って時間の問題だ。
「わわわ!主そんな揺らさないでください!」
「無理だ!」
慌ててるモアさんも時折、魔法で木の根を弾いてマウグスの動きをサポートしている。
「こんな揺れは主の作った新薬の連鎖爆発に巻き込まれて以来です!!」
「そんなことが!?」
やはり彼女はやばいなこのままだと“知恵の塔”の本を全部焼く日が来そうだ。
「あの失敗は成功のもとになる物だぞ!」
「だけど結局その後、その新薬造りやめたじゃないですか!失敗もクソもないですよ!」
「あ!女の子がクソとかそんな事言うな!」
マウグスが自分の擁護をするがモアさんにすぐに反論してマウグスはモアさんの口の悪さを注意する。
……カオスだな。
「君達!仕事しろ!」
ガードナーが僕達を見てそう言う。
彼女もなんとか植物の根を躱していた。
「そうでした。マウグス!僕がアースを封印をします!サポートを!あなただと不安しかありませんが!」
「一言多いが任せろ!」
そして、僕達は男の所に向かって走り出した。
『なんだお前ら?』
男も僕達を見る。
『死ね!』
男がそう叫び根が僕達の所に向かって来るが、
「風よ!我が願いを聞き入れ敵を阻め!」
マウグスの風の魔法で弾かれる。
『鬱陶しぃな!』
「……発射!」
『む?なんだこれは?』
そんな中、僕の魔法陣も完成している。
僕の魔法陣から出した白い糸の様な物が男に絡まる。
「封!」
『!?』
その瞬間、男に絡まった糸が青く光りだす。
(良し!)
僕は思わずガッツポーズをする。後もう少しで魔法の封印が完成する!
『クソ!こんな所で俺が消えてたまるか!』
男は懸命に体をよじるが抜け出せない。
それどころか、
『根が動かないだと!?』
男が操った植物の根が動かない。
『お前!』
男が僕を睨む。
「はい。この糸はあなたの魔力を吸い取り封印の力に変換する様にしました」
『!?』
男が操った植物の根は凄く厄介だった。
おそらく、あの根に少しでも当たるとすぐに捕縛されて圧死してしまうだろう。
ならば、
「その根を動かす動力ごと使えなくすれば良い」
『……』
「そして、あなたはあの“力”を持っているのでその力を違う流れに使用する事にしました。それが封印の力を上げさせる事です」
“悪魔の力”に対抗する手段はずっと前から魔導連盟は研究している。
それがこの一つだ“無理矢理違う力に変換する”。
かなり強引な方法だが習得出来れば大分“悪魔の力”と渡り合える様になる。
「あともう少しで封印が完了します……」
糸の光が強まっているあともう少しで封印が完了して男は元の状態に戻る。
『……』
「何か言い残す事はありますか?』
僕は男を見据える。
男の目には諦めの色が浮かんでいた。
もう幾ら足掻いても意味のない事に気付いたんだろう。
『森を……』
「……」
『森を守ってくれ……』
「……」
『子供達の自然の遊び場だ……大切な物なんだ……』
「あぁ!任せろ!」
彼の言葉を聞き、マウグスは胸を張って言う。
いつの間にここに……。
「森は私がなんとかしてやるぞ!」
「不安しかない」
「なんだと!」
『ハハハハ』
男は僕達のやりとりを見て笑った。
『お前達は面白いな……村の人達みたいだ』
「「……」」
『頼んだぞ……』
そう言って、男は消えてそこには本が落ちていた。
本は茶色一色の本だった。
これが禁術の書“アース”だ。
「封印は成功したみたいだね」
ガードナーもこちらに歩いて来た。
「それにしても……」
ガードナーは“アース”を拾う。
「最後の言葉も森の事だなんて……憐れだね」
「……そうですね」
「魔導連盟も自然保護をしていく様にお願いしとくよ」
「ありがとうございます」
「いやいや“アース”の封印が解けたら嫌だからね。上の方も否が応でも自然保護はしていくことになるだろうね」
「……」
「じゃあ出ようか」
「はい」
「あぁ」
ガードナーを先頭にこの会場から僕達は出ようとする。
木の根はまだ残っているが会場の扉までには伸びていない。
「あっ……」
「どうしたんですかマウグス?」
ガードナーが扉に手を掛けた瞬間、マウグスが声を上げた。
「いや、今この現状だったらあの妖精を救えないか?」
「あっ」
確かにそうだ。
今この会場には僕達以外誰もいない。
“アース”に殺されたか、上手く逃げたからだ。
「そうだね」
ガードナーはドアノブから手を離す。
「丁度良いや。違法物の回収もやっておこう」
「では探しますか」
僕達は壇上の上まで戻る。
競売品は全てステージの横から出て来た。
ならステージの横には品を置いておく場所があるんだろう。
「ドアがあったぞエメル!」
ステージの横にはやはり扉があった。
かなり頑丈に作られている。
「魔法で壊すか」
「「「待て待て待て待て!」」」
僕達は慌ててマウグスを止める。
「扉の近くにあの妖精がいたらどうするんですか!?」
「あっ!そうだな」
「全く……あなたは」
僕がマウグスに注意していると、
ドカン!
扉が壊れたしかもバラバラなって崩れる形で。
「「「「……………………」」」」
僕達の間に長い沈黙が走る。
「マウグス!」
僕はマウグスを見る。
「違う違う!今のは私じゃない!」
「ならどうして壊れたんですか!?」
「知るか!偶然だ!運命だ!」
マウグスは自分を擁護する。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて……」
「そうですよ。エメルさん、主は時々……というか毎回やらかしてますけど今回は違いますから」
「モア!?」
マウグスがモアさんの発言に耳を疑っていた次の瞬間、
「風よ~!」
ブワァ!
扉の向こうからの女の声と共に凄まじい勢いで風が吹く。
「うわぁ!?」
「なっ!」
「くっ!」
「きゃあ!」
僕達はそれに問答無用でステージの端まで吹き飛ばされた。
「なんですか~?君達は~?」
扉の向こうからは会場の仮面……いや違う仮面舞踏会の仮面を身につけた人が現れた。
手には“魔女の宝玉”が握られていた。
「まぁ良いや~物の回収は出来たし~」
そう言って女性は天井に手を向けた。
「!まさか!」
僕は慌てて魔法陣を描く。
「風よ~!」
しかし、遅かった。
彼女の手から吹く暴風は会場の屋根を突き破り風穴を開けた。
「さようなら~」
そう言って女性は宙を舞い天井の風穴から出て行った。
「……なんだったんだ?」
マウグスから言葉が漏れる。
「とりあえずまともな人ではないでしょうね」
「だろうな」
「まさかマウグスと同じ位の事をする人がいたなんて……」
「いや待て。私でもあんな事はしないぞ」
「過去を振り返って言ってください」
そう言って僕は仮面の女性が現れた場所を見る。
するとそこには妖精が飛んでいた。
「おっ!探す手間が省けたな!」
「そうですね」
「やぁ妖精さん」
ガードナーが妖精に近づく。
『……』
しかし、妖精の方は警戒していてガードナーから距離を取る。
「私は君の味方だ」
『……』
「君の家に帰そうと思っている」
『……本当に?』
「あぁ本当さ」
そう言ってガードナーは手のひらを妖精に向ける。
『……』
妖精はその手のひらに乗った。
「さぁ帰ろうか……」
ガードナーがそう言ってまた会場の出口に向かった。
僕達も出口に向かう。
「あいつは一体なんだったんだろうな?」
会場から出て長い廊下を歩く時マウグスが言ってきた。
「わかりません」
その一言に尽きる。
まさにあの仮面の女性は何を考えているのかわからない。
「おそらく“魔女の宝玉”を回収の目的とした者だと思うよ」
ガードナーがそう答える。
「おそらくあの騒ぎに乗じてこっそり盗んだだろうね“魔女の宝玉”はかなり使えるから」
「なるほどな」
確かに“魔女の宝玉”は持ち主の魔力の底上げをする。
それならどの魔法使いも欲しい代物だろう。
「危険な事に使われないと良いが……」
「盗んでる時点で大分危険な事だと思ういますよ」
「……それもそうだな」
「着いたよ!」
僕達はガードナーの声で話を中断する。
そこには確かに僕達が入ってきた扉があった。
「やっと帰れる」
扉から出て表向きのオークション会場出て僕はそう漏らす。
「“アース”は当分、魔導連盟が保管するよ。安全の点検もしないといけないし」
「えぇ構いません」
また封印が解けて、あの男が暴れたらかなわない。
魔導連盟に預けた方が安全だ。
「ところで……」
「?」
ガードナーが訪ね難そうな雰囲気を出す。
「君達は同棲をしているのかい?」
「はぁ!?」
あまりの事に素っ頓狂な声が出た。
「なんでそうなるんですか!?」
「いや、君達が一緒に今回来たからそうなんじゃないかなと思って……」
「そんなことないですよ!?」
僕はガードナーが発言に反論するが、
「今日から同棲するつもりだが?」
「マウグス!?」
彼女の言葉で全て台無しになった。
「エメルと魔法研究をする為に私達は今日から“知恵の塔”にお世話になるつもりだったんだ」
「なるほど」
マウグスのガードナーが理解を示す。
そんな理解するなよ!
「じゃあまた近日中に会えるかもしれないね」
そう言ってガードナーは僕達に背を向けて歩く。
「じゃあ私は後始末があるからまたね!」
そう言ってガードナーは歩きながら手を振った。
「さてと……」
横でマウグスが言う。
「これからよろしく」
そんな言葉に返す言葉は一つだけだ。
「嫌だぁぁああ!!」
しかし、そんな願いは虚しく散って彼女達は“知恵の塔”に住む事になった。
ちくしょう!
禁術の書から封印されてた男が出てきた。
男の体は木の木目の様な模様がついている。
『ここは……』
男が周りを見渡す。
『どうやら故郷の森ではない様だな』
その後、僕達を見る。
『まずは貴様らを……』
『警備員!』
「「「ハッ!」」」
司会を務めていた女性が屈強な男達を呼ぶ。
『皆様ご安心ください!とう会場の警備員は屈強です!今しばらくお待ちください!』
今、禁術の書から男が出て来たのに誰も逃げようとしない。
「ここで逃げたら馬鹿にされるから逃げないんだろうな」
「そうですよね」
「やはり、お偉い方の考えはわからん」
「考えても仕方がないでしょう」
命あっての物種だと思うが他国に見くびられたくないんだろうな。
『ほらあなた方も!』
女性は僕達を見る。
『今すぐ席に戻って下さい!』
「いやしかしだね……」
ガードナーが反論しようとするが、
「「「ぐぁ!」」」
警備員達が客席まで吹き飛ぶ事で中断される。
『なっ……!』
「あぁ……やっぱり……」
危険が無いと言われていても、元は禁術の書、悪魔の力を持った人間が簡単にやられる訳ない。
『死ね!!』
その、瞬間男の体から凄まじい数の植物の根の様な物が男を中心に伸びる。
「ぎゃあ!」
「ぐぁぁぁぁああ!!」
「グギィ!?」
沢山の人が根に力強く絡まり圧死したり、刺さったりして命を落としていく。
「エメルやばいぞ!」
マウグスはモアさんを脇に抱えながら根を躱している。
「やばいですね!」
僕も上手く躱せているがはっきり言って時間の問題だ。
「わわわ!主そんな揺らさないでください!」
「無理だ!」
慌ててるモアさんも時折、魔法で木の根を弾いてマウグスの動きをサポートしている。
「こんな揺れは主の作った新薬の連鎖爆発に巻き込まれて以来です!!」
「そんなことが!?」
やはり彼女はやばいなこのままだと“知恵の塔”の本を全部焼く日が来そうだ。
「あの失敗は成功のもとになる物だぞ!」
「だけど結局その後、その新薬造りやめたじゃないですか!失敗もクソもないですよ!」
「あ!女の子がクソとかそんな事言うな!」
マウグスが自分の擁護をするがモアさんにすぐに反論してマウグスはモアさんの口の悪さを注意する。
……カオスだな。
「君達!仕事しろ!」
ガードナーが僕達を見てそう言う。
彼女もなんとか植物の根を躱していた。
「そうでした。マウグス!僕がアースを封印をします!サポートを!あなただと不安しかありませんが!」
「一言多いが任せろ!」
そして、僕達は男の所に向かって走り出した。
『なんだお前ら?』
男も僕達を見る。
『死ね!』
男がそう叫び根が僕達の所に向かって来るが、
「風よ!我が願いを聞き入れ敵を阻め!」
マウグスの風の魔法で弾かれる。
『鬱陶しぃな!』
「……発射!」
『む?なんだこれは?』
そんな中、僕の魔法陣も完成している。
僕の魔法陣から出した白い糸の様な物が男に絡まる。
「封!」
『!?』
その瞬間、男に絡まった糸が青く光りだす。
(良し!)
僕は思わずガッツポーズをする。後もう少しで魔法の封印が完成する!
『クソ!こんな所で俺が消えてたまるか!』
男は懸命に体をよじるが抜け出せない。
それどころか、
『根が動かないだと!?』
男が操った植物の根が動かない。
『お前!』
男が僕を睨む。
「はい。この糸はあなたの魔力を吸い取り封印の力に変換する様にしました」
『!?』
男が操った植物の根は凄く厄介だった。
おそらく、あの根に少しでも当たるとすぐに捕縛されて圧死してしまうだろう。
ならば、
「その根を動かす動力ごと使えなくすれば良い」
『……』
「そして、あなたはあの“力”を持っているのでその力を違う流れに使用する事にしました。それが封印の力を上げさせる事です」
“悪魔の力”に対抗する手段はずっと前から魔導連盟は研究している。
それがこの一つだ“無理矢理違う力に変換する”。
かなり強引な方法だが習得出来れば大分“悪魔の力”と渡り合える様になる。
「あともう少しで封印が完了します……」
糸の光が強まっているあともう少しで封印が完了して男は元の状態に戻る。
『……』
「何か言い残す事はありますか?』
僕は男を見据える。
男の目には諦めの色が浮かんでいた。
もう幾ら足掻いても意味のない事に気付いたんだろう。
『森を……』
「……」
『森を守ってくれ……』
「……」
『子供達の自然の遊び場だ……大切な物なんだ……』
「あぁ!任せろ!」
彼の言葉を聞き、マウグスは胸を張って言う。
いつの間にここに……。
「森は私がなんとかしてやるぞ!」
「不安しかない」
「なんだと!」
『ハハハハ』
男は僕達のやりとりを見て笑った。
『お前達は面白いな……村の人達みたいだ』
「「……」」
『頼んだぞ……』
そう言って、男は消えてそこには本が落ちていた。
本は茶色一色の本だった。
これが禁術の書“アース”だ。
「封印は成功したみたいだね」
ガードナーもこちらに歩いて来た。
「それにしても……」
ガードナーは“アース”を拾う。
「最後の言葉も森の事だなんて……憐れだね」
「……そうですね」
「魔導連盟も自然保護をしていく様にお願いしとくよ」
「ありがとうございます」
「いやいや“アース”の封印が解けたら嫌だからね。上の方も否が応でも自然保護はしていくことになるだろうね」
「……」
「じゃあ出ようか」
「はい」
「あぁ」
ガードナーを先頭にこの会場から僕達は出ようとする。
木の根はまだ残っているが会場の扉までには伸びていない。
「あっ……」
「どうしたんですかマウグス?」
ガードナーが扉に手を掛けた瞬間、マウグスが声を上げた。
「いや、今この現状だったらあの妖精を救えないか?」
「あっ」
確かにそうだ。
今この会場には僕達以外誰もいない。
“アース”に殺されたか、上手く逃げたからだ。
「そうだね」
ガードナーはドアノブから手を離す。
「丁度良いや。違法物の回収もやっておこう」
「では探しますか」
僕達は壇上の上まで戻る。
競売品は全てステージの横から出て来た。
ならステージの横には品を置いておく場所があるんだろう。
「ドアがあったぞエメル!」
ステージの横にはやはり扉があった。
かなり頑丈に作られている。
「魔法で壊すか」
「「「待て待て待て待て!」」」
僕達は慌ててマウグスを止める。
「扉の近くにあの妖精がいたらどうするんですか!?」
「あっ!そうだな」
「全く……あなたは」
僕がマウグスに注意していると、
ドカン!
扉が壊れたしかもバラバラなって崩れる形で。
「「「「……………………」」」」
僕達の間に長い沈黙が走る。
「マウグス!」
僕はマウグスを見る。
「違う違う!今のは私じゃない!」
「ならどうして壊れたんですか!?」
「知るか!偶然だ!運命だ!」
マウグスは自分を擁護する。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて……」
「そうですよ。エメルさん、主は時々……というか毎回やらかしてますけど今回は違いますから」
「モア!?」
マウグスがモアさんの発言に耳を疑っていた次の瞬間、
「風よ~!」
ブワァ!
扉の向こうからの女の声と共に凄まじい勢いで風が吹く。
「うわぁ!?」
「なっ!」
「くっ!」
「きゃあ!」
僕達はそれに問答無用でステージの端まで吹き飛ばされた。
「なんですか~?君達は~?」
扉の向こうからは会場の仮面……いや違う仮面舞踏会の仮面を身につけた人が現れた。
手には“魔女の宝玉”が握られていた。
「まぁ良いや~物の回収は出来たし~」
そう言って女性は天井に手を向けた。
「!まさか!」
僕は慌てて魔法陣を描く。
「風よ~!」
しかし、遅かった。
彼女の手から吹く暴風は会場の屋根を突き破り風穴を開けた。
「さようなら~」
そう言って女性は宙を舞い天井の風穴から出て行った。
「……なんだったんだ?」
マウグスから言葉が漏れる。
「とりあえずまともな人ではないでしょうね」
「だろうな」
「まさかマウグスと同じ位の事をする人がいたなんて……」
「いや待て。私でもあんな事はしないぞ」
「過去を振り返って言ってください」
そう言って僕は仮面の女性が現れた場所を見る。
するとそこには妖精が飛んでいた。
「おっ!探す手間が省けたな!」
「そうですね」
「やぁ妖精さん」
ガードナーが妖精に近づく。
『……』
しかし、妖精の方は警戒していてガードナーから距離を取る。
「私は君の味方だ」
『……』
「君の家に帰そうと思っている」
『……本当に?』
「あぁ本当さ」
そう言ってガードナーは手のひらを妖精に向ける。
『……』
妖精はその手のひらに乗った。
「さぁ帰ろうか……」
ガードナーがそう言ってまた会場の出口に向かった。
僕達も出口に向かう。
「あいつは一体なんだったんだろうな?」
会場から出て長い廊下を歩く時マウグスが言ってきた。
「わかりません」
その一言に尽きる。
まさにあの仮面の女性は何を考えているのかわからない。
「おそらく“魔女の宝玉”を回収の目的とした者だと思うよ」
ガードナーがそう答える。
「おそらくあの騒ぎに乗じてこっそり盗んだだろうね“魔女の宝玉”はかなり使えるから」
「なるほどな」
確かに“魔女の宝玉”は持ち主の魔力の底上げをする。
それならどの魔法使いも欲しい代物だろう。
「危険な事に使われないと良いが……」
「盗んでる時点で大分危険な事だと思ういますよ」
「……それもそうだな」
「着いたよ!」
僕達はガードナーの声で話を中断する。
そこには確かに僕達が入ってきた扉があった。
「やっと帰れる」
扉から出て表向きのオークション会場出て僕はそう漏らす。
「“アース”は当分、魔導連盟が保管するよ。安全の点検もしないといけないし」
「えぇ構いません」
また封印が解けて、あの男が暴れたらかなわない。
魔導連盟に預けた方が安全だ。
「ところで……」
「?」
ガードナーが訪ね難そうな雰囲気を出す。
「君達は同棲をしているのかい?」
「はぁ!?」
あまりの事に素っ頓狂な声が出た。
「なんでそうなるんですか!?」
「いや、君達が一緒に今回来たからそうなんじゃないかなと思って……」
「そんなことないですよ!?」
僕はガードナーが発言に反論するが、
「今日から同棲するつもりだが?」
「マウグス!?」
彼女の言葉で全て台無しになった。
「エメルと魔法研究をする為に私達は今日から“知恵の塔”にお世話になるつもりだったんだ」
「なるほど」
マウグスのガードナーが理解を示す。
そんな理解するなよ!
「じゃあまた近日中に会えるかもしれないね」
そう言ってガードナーは僕達に背を向けて歩く。
「じゃあ私は後始末があるからまたね!」
そう言ってガードナーは歩きながら手を振った。
「さてと……」
横でマウグスが言う。
「これからよろしく」
そんな言葉に返す言葉は一つだけだ。
「嫌だぁぁああ!!」
しかし、そんな願いは虚しく散って彼女達は“知恵の塔”に住む事になった。
ちくしょう!
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