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違法競売場
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「で?これからどうするんだ?」
ガンキン町に着いた僕等はある程度の観光を楽しみ今は近くの喫茶店でゆったりしている。
マウグスと僕はコーヒー、モアさんは大きいパンケーキを食べている。
「指示書にはここから近い駅にもう直ぐ魔導検察の協力者が来るらしいので会いに行きますか?」
「私達も行くのか?」
「何の為に来たんですか?モアさんは安全の為に何処かで待っといて欲しいです。マウグス、貴方は完全に大量殺人魔法兵器ですから市民の安全の為にもついて来て下さい」
「モアはコピー魔法があるから戦力としては充分過ぎる程頼もしいからついて来させるべきだ。あと何が大量殺人魔法兵器だ。私は人間だぞ、殺人眼鏡」
「誰が殺人眼鏡ですか?」
「お前だ」
「僕ですか……」
「モグモグ…あの……お二人共モグ喧嘩はモグやめて下さいモグモグモグモグ」
口喧嘩する僕達を見かねてモアさんがパンケーキを食べながら止めに入る。
「モグよ、食べながら喋るな」
「口の横にクリームがついてますよモグさん」
「誰がモグさんですか!」
それなのに僕達はモアさんを茶化す。
その後、モアさんの機嫌を直してから僕達は駅に向かった。
「ここか?」
「はいそうです」
この町の駅はあまり大きくは無いが小さいかと言われるとそうではない。
まぁ中くらいの大きさだ。
「駅と言うことは、そいつは箒には乗らないのか?」
彼女がそんなことを言う確かに魔法使いの移動手段と言えば箒だが、
「もし町で犯罪者との戦闘があった場合、箒からだと狙い辛いからですよ。空を飛びながら敵に撃つ訳ですから」
「なるほどな」
空中で滞空しながら撃つと言う方法もあるがそれは格好の的だ。
しかも、今回は禁術の書の回収もあるので目立つ事は極力避けるべきだ。
「箒って乗る物では無いですしね」
「そうですね。でも昔だって箒では無く“笊《ざる》”か“絨毯”を使って飛んで飛んでたんですよ」
「笊で!?」
「えぇ、だけどスピードがあまり出ずにいたので様々な道具を試し“箒”に行き着いた訳です」
「そんなことが」
そんなプチ知識をモアさんに伝授していると、
「おや?“協力者”は君たちかい?」
駅の出口から出て来た鞄を下げた女性が僕達に話しかける。
「!貴方は!」
「……久しぶりだな」
僕はその人に驚き、マウグスも僕以上ではないが多少驚いた様だ。
「あぁ久しぶりだね」
その人は赤髪の背の高い女性“薔薇の大魔導師”アミリア・ガードナーだった。
「まさか“協力者”が君達だったなんてね~。随分昔の事件と言い今回の事件と言い君達とは中々に切れない縁があるね」
「そうでしょうか」
「私はそうは思わないな」
“協力者”アミリア・ガードナーに連れられ僕達は現場に向かう事になった。
「所で……君達の後ろにいるその可愛らしい女の子は誰だい?髪の色を見る限り君達の子ではなさそうだが」
アミリアはモアさんを見る。
やばい。こう言う時の言い訳を考えていなかった。
「私の弟子だ」
「へー?君の?」
「そうだ……魔法は使えるし今回の事件でも充分な戦力になる筈だ」
「へー」
マウグスが何のこともないと言う表情で言う。
マウグスなら平然と嘘つくのうまそうだな、詐欺師に向いてそうだ。
「分かった今回の件の“協力者”は三人と言うことだね」
「感謝する」
「いやいや、人の手は多ければ多いほど良い」
そんなことを言いアミリアは鞄の中から穴が二つあいた白いお面を三つ取り出す。
「これは?」
「これから行く競売場は身分がバレるのがダメなんだ。だからこのお面を君達もつけて欲しい」
そう言う本人も僕達にお面を渡すと自分も似た様なお面を取り出しつけていた。
「気になっていたんですが」
「何だい?」
僕はアミリアに聞きたかったことを聞く。
「どうして競売場には魔導検察の権力が通用しないんですか?権力を使えば直ぐに“アース”も回収出来るでしょうに……」
「それはだね」
「簡単だエメル、“合法扱いされているだけの競売場”だからだ」
「そう言う事だよ」
「?」
「つまりだな」
僕が良く理解出来ない事にマウグスが気づき補足する。
「権力者達が作り上げだ違法競売場しかし、そんなのは“正統な正義”で潰される。だから表向きは違法競売場では無く高い商品を扱う“金持ち専門の競売場”として使用されているんだ」
「そう、そうしてそれが長く続けば他国のお偉いさんも来るようになり余計に手が出しづらくなった現状。やるなら」
「“正統な競り”で危険物を取ると」
「「そう言う事(だ)」」
彼女達の説明にようやく理解出来た。
要は“正義”ではなく“競り”で回収するしかないと。
「世も末ですね」
「そう言うな」
僕の嘆きにマウグスは笑って返す。
「あの~私はまだ話が理解出来ないんですけど」
モアさんはまだ話を理解出来ていない様だ。
「要はお金で悪者から指定の物を獲ると言う事だ」
「なるほど」
モアさんも理解し僕達はこの町の競売場に向かった。
「所でエメル」
「はい?」
「お前、私のことを詐欺師だと思っだろう」
「いえ」
「本当か?」
「ただなれるだろうなと思っただけです」
「同じだボケ」
マウグスに殴られた痛い。
ガンキン町に着いた僕等はある程度の観光を楽しみ今は近くの喫茶店でゆったりしている。
マウグスと僕はコーヒー、モアさんは大きいパンケーキを食べている。
「指示書にはここから近い駅にもう直ぐ魔導検察の協力者が来るらしいので会いに行きますか?」
「私達も行くのか?」
「何の為に来たんですか?モアさんは安全の為に何処かで待っといて欲しいです。マウグス、貴方は完全に大量殺人魔法兵器ですから市民の安全の為にもついて来て下さい」
「モアはコピー魔法があるから戦力としては充分過ぎる程頼もしいからついて来させるべきだ。あと何が大量殺人魔法兵器だ。私は人間だぞ、殺人眼鏡」
「誰が殺人眼鏡ですか?」
「お前だ」
「僕ですか……」
「モグモグ…あの……お二人共モグ喧嘩はモグやめて下さいモグモグモグモグ」
口喧嘩する僕達を見かねてモアさんがパンケーキを食べながら止めに入る。
「モグよ、食べながら喋るな」
「口の横にクリームがついてますよモグさん」
「誰がモグさんですか!」
それなのに僕達はモアさんを茶化す。
その後、モアさんの機嫌を直してから僕達は駅に向かった。
「ここか?」
「はいそうです」
この町の駅はあまり大きくは無いが小さいかと言われるとそうではない。
まぁ中くらいの大きさだ。
「駅と言うことは、そいつは箒には乗らないのか?」
彼女がそんなことを言う確かに魔法使いの移動手段と言えば箒だが、
「もし町で犯罪者との戦闘があった場合、箒からだと狙い辛いからですよ。空を飛びながら敵に撃つ訳ですから」
「なるほどな」
空中で滞空しながら撃つと言う方法もあるがそれは格好の的だ。
しかも、今回は禁術の書の回収もあるので目立つ事は極力避けるべきだ。
「箒って乗る物では無いですしね」
「そうですね。でも昔だって箒では無く“笊《ざる》”か“絨毯”を使って飛んで飛んでたんですよ」
「笊で!?」
「えぇ、だけどスピードがあまり出ずにいたので様々な道具を試し“箒”に行き着いた訳です」
「そんなことが」
そんなプチ知識をモアさんに伝授していると、
「おや?“協力者”は君たちかい?」
駅の出口から出て来た鞄を下げた女性が僕達に話しかける。
「!貴方は!」
「……久しぶりだな」
僕はその人に驚き、マウグスも僕以上ではないが多少驚いた様だ。
「あぁ久しぶりだね」
その人は赤髪の背の高い女性“薔薇の大魔導師”アミリア・ガードナーだった。
「まさか“協力者”が君達だったなんてね~。随分昔の事件と言い今回の事件と言い君達とは中々に切れない縁があるね」
「そうでしょうか」
「私はそうは思わないな」
“協力者”アミリア・ガードナーに連れられ僕達は現場に向かう事になった。
「所で……君達の後ろにいるその可愛らしい女の子は誰だい?髪の色を見る限り君達の子ではなさそうだが」
アミリアはモアさんを見る。
やばい。こう言う時の言い訳を考えていなかった。
「私の弟子だ」
「へー?君の?」
「そうだ……魔法は使えるし今回の事件でも充分な戦力になる筈だ」
「へー」
マウグスが何のこともないと言う表情で言う。
マウグスなら平然と嘘つくのうまそうだな、詐欺師に向いてそうだ。
「分かった今回の件の“協力者”は三人と言うことだね」
「感謝する」
「いやいや、人の手は多ければ多いほど良い」
そんなことを言いアミリアは鞄の中から穴が二つあいた白いお面を三つ取り出す。
「これは?」
「これから行く競売場は身分がバレるのがダメなんだ。だからこのお面を君達もつけて欲しい」
そう言う本人も僕達にお面を渡すと自分も似た様なお面を取り出しつけていた。
「気になっていたんですが」
「何だい?」
僕はアミリアに聞きたかったことを聞く。
「どうして競売場には魔導検察の権力が通用しないんですか?権力を使えば直ぐに“アース”も回収出来るでしょうに……」
「それはだね」
「簡単だエメル、“合法扱いされているだけの競売場”だからだ」
「そう言う事だよ」
「?」
「つまりだな」
僕が良く理解出来ない事にマウグスが気づき補足する。
「権力者達が作り上げだ違法競売場しかし、そんなのは“正統な正義”で潰される。だから表向きは違法競売場では無く高い商品を扱う“金持ち専門の競売場”として使用されているんだ」
「そう、そうしてそれが長く続けば他国のお偉いさんも来るようになり余計に手が出しづらくなった現状。やるなら」
「“正統な競り”で危険物を取ると」
「「そう言う事(だ)」」
彼女達の説明にようやく理解出来た。
要は“正義”ではなく“競り”で回収するしかないと。
「世も末ですね」
「そう言うな」
僕の嘆きにマウグスは笑って返す。
「あの~私はまだ話が理解出来ないんですけど」
モアさんはまだ話を理解出来ていない様だ。
「要はお金で悪者から指定の物を獲ると言う事だ」
「なるほど」
モアさんも理解し僕達はこの町の競売場に向かった。
「所でエメル」
「はい?」
「お前、私のことを詐欺師だと思っだろう」
「いえ」
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