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雨と泥水3
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ベッドの横の窓がわずかに開いているせいか外から湿気を帯びた雨の匂いが入ってくる。
もともと今日は雨の予報で、少し前から雲で覆われていた空がちょうど今、一気に影を落とし室内が暗くなっていく。間もなく夕立のような雨音がここまで聞こえてきた。
少し非日常のような空間の中で優璃はベッドの前で佇んでいた。
自分でも覗きのような俗っぽいことはしたくはなかったが、どうしても目の前の同級生から視線を逸らす事ができなかった。
熟睡しているものの、少し眉間を寄せた苦しい表情の跡をみると、彼が仮病でここに来たのではないと優璃は悟った。
肌が白いのは知っていたがこの暗がりのせいで白磁器のような白さを放ち、かつそれに際立たせて赤みを持った唇に驚かされる。
(……女みたいだ…)
端的に言うとそうなのだが、亮の中性的な魅力を優璃がいざ言葉にしようとしても出てこない。脳で考えさせられるような事ではなく、優璃の身体の内側に虫でも這わされるような感覚に近かった。亮の寝顔には優璃の性的な部分を芯からぞくぞくさせるものがあった。
窓の外の雨音は一層強くなる。
一瞬閃光が空に飛び散り、秒も待たずに激しい雷鳴が轟いた。
優璃は自分で思いもよらぬ事を考えていたことに気づき、すんっと大きく息を吸う。
(……アホだな…俺も)
雷鳴を聞いた後も足をその場から動かせないままでいた。
優璃は一瞬巡らせた考えを降って湧いた雑念だとバカにしつつも、亮の赤く携えた唇からしばらく目が離せなかった。
もともと今日は雨の予報で、少し前から雲で覆われていた空がちょうど今、一気に影を落とし室内が暗くなっていく。間もなく夕立のような雨音がここまで聞こえてきた。
少し非日常のような空間の中で優璃はベッドの前で佇んでいた。
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熟睡しているものの、少し眉間を寄せた苦しい表情の跡をみると、彼が仮病でここに来たのではないと優璃は悟った。
肌が白いのは知っていたがこの暗がりのせいで白磁器のような白さを放ち、かつそれに際立たせて赤みを持った唇に驚かされる。
(……女みたいだ…)
端的に言うとそうなのだが、亮の中性的な魅力を優璃がいざ言葉にしようとしても出てこない。脳で考えさせられるような事ではなく、優璃の身体の内側に虫でも這わされるような感覚に近かった。亮の寝顔には優璃の性的な部分を芯からぞくぞくさせるものがあった。
窓の外の雨音は一層強くなる。
一瞬閃光が空に飛び散り、秒も待たずに激しい雷鳴が轟いた。
優璃は自分で思いもよらぬ事を考えていたことに気づき、すんっと大きく息を吸う。
(……アホだな…俺も)
雷鳴を聞いた後も足をその場から動かせないままでいた。
優璃は一瞬巡らせた考えを降って湧いた雑念だとバカにしつつも、亮の赤く携えた唇からしばらく目が離せなかった。
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