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想いは箱の中に7
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亮が乗るように促されたのは、一台の背の高いレクサスだ。同世代の年収では到底手の届かない最上級の国産車を優璃は幾つで購入したのだろうか。
亮は車の前で足を止めた。
「ごめん、本当に此処でいい…ありがとう…」
「…牧野?」
「じゃ…あな」
亮はここで離れておこうと決めた。
夢にまでみた高瀬に奇跡的に再会し、世話まで焼いてもらえた。神様が亮にくれた最高のプレゼントだ。それで十分だった。彼に甘え、彼の車に乗ってはいけない。
助席は危険だ。きっと自分の欲望が地を出す。期待を膨らませ、うっかり思いを伝えてしまうかもしれない。それは失態では済まされないだろう。
大切にしていた美化された思い出を失ってしまいたくない。
亮は優璃の視線から目をはずす。
申し訳ないと思っている。
自分に声をかけたことを後悔しているだろう相手の顔は見ずとも想像できる。
「牧野…」
「もしかして、彼氏に遠慮してる?」
「え?…」
「……真面目なんだな」
「違っ……」
「違う!そんなんじゃない!」
亮は優璃の思い違いに驚き、すぐに訂正しなければいけないと思った。
自分には彼氏と呼べる相手はいないし、ましてや優璃に対して妙な警戒は一切していない。
これ以上優璃に不快な思いをさせたくない。
「高瀬…がイヤなんじゃないんだ!」
「……うん」
「……これは…お、俺の…問題で…」
「…うん」
「知ってるよ」
運転席のドア付近にいた優璃がゆっくり近づいてきた。そっと亮のこめかみを手で撫でる。
亮は驚き顔をあげた。自身の目に映った光景を見て心が熱くなる。
やわらかい眼差しで自分を見つめる綺麗な顔。亮のかつての恋心までもを汲み取っているような趣ある深く澄んだ瞳。
(…高瀬…)
(…高瀬……ごめん…)
亮は車の前で足を止めた。
「ごめん、本当に此処でいい…ありがとう…」
「…牧野?」
「じゃ…あな」
亮はここで離れておこうと決めた。
夢にまでみた高瀬に奇跡的に再会し、世話まで焼いてもらえた。神様が亮にくれた最高のプレゼントだ。それで十分だった。彼に甘え、彼の車に乗ってはいけない。
助席は危険だ。きっと自分の欲望が地を出す。期待を膨らませ、うっかり思いを伝えてしまうかもしれない。それは失態では済まされないだろう。
大切にしていた美化された思い出を失ってしまいたくない。
亮は優璃の視線から目をはずす。
申し訳ないと思っている。
自分に声をかけたことを後悔しているだろう相手の顔は見ずとも想像できる。
「牧野…」
「もしかして、彼氏に遠慮してる?」
「え?…」
「……真面目なんだな」
「違っ……」
「違う!そんなんじゃない!」
亮は優璃の思い違いに驚き、すぐに訂正しなければいけないと思った。
自分には彼氏と呼べる相手はいないし、ましてや優璃に対して妙な警戒は一切していない。
これ以上優璃に不快な思いをさせたくない。
「高瀬…がイヤなんじゃないんだ!」
「……うん」
「……これは…お、俺の…問題で…」
「…うん」
「知ってるよ」
運転席のドア付近にいた優璃がゆっくり近づいてきた。そっと亮のこめかみを手で撫でる。
亮は驚き顔をあげた。自身の目に映った光景を見て心が熱くなる。
やわらかい眼差しで自分を見つめる綺麗な顔。亮のかつての恋心までもを汲み取っているような趣ある深く澄んだ瞳。
(…高瀬…)
(…高瀬……ごめん…)
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